Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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喧嘩(すてごろ)/ 黒川 博行 

長らく翻訳もののミステリー(広義の)を中心に読んでいるが、最近、その意義を感じなくなってしまった。どれもこれも似通っているし、丁寧に読もうという気すらなくなり、内容が頭に残らない。(残っても意味はないが)
特に北欧系のものには正直辟易。芋料理ばかり食べさせられている気分になる。しかも同じ味付けで。
その時間さえ楽しければそれでいい、という人もいるだろうが、その実、満足感もほとんどない。
我ながら、無駄な読書をしているなぁ・・・と時々虚しくなる。

だからといって、新書や経済本、ノンフィクションの類は頭を使う。知識を得られるという喜びがあるし、刺激にもなるが、もともと頭の性能がよいわけではないので、そればかりだと疲れるのだ。


こういう状態のときに、気分転換させてくれるのが、黒川博行。

日本人作家を一段下にみている”翻訳ものかぶれ”のあなたにこそ、読んでほしい作家。
しかも、翻訳ものに比べると安いし、Kindle化もされているというサービスの良さ。

破門は直木賞を受賞作だ。芥川賞や直木賞受賞作なんて、詰まらないのばっかりやん。というアナタ。私もそう思う(笑)

ただし、「「破門」は別。
「破門」は、今や黒川博行の代表作となった「疫病神」というヘタレ建設コンサルタントの二宮と、イケイケ極道の桑原のコンビが活躍するシリーズものだ。
映画化もされ、現在、公開中だという。横山裕は非モテの二宮にしてはイケメンすぎだし、佐々木蔵之介はやや上品すぎる気もするが。
個人的にはシリーズ中、小作品な「破門」ではなく、「疫病神」「国境」に授与されてしまるべきだったと思うが、いずれにしても黒川博行の作品にははずれがない。シリーズものだが、どれから読んでも楽しむことのできるようになっている。
特に「国境」はシリーズ最高傑作との呼び声が高い。桑原のいうところの「パーマデブ」時代なので、時代は違うが今話題のあの国絡み。特に前半はいかにもまずそうなトウモロコシ麺や痩せた雀がご馳走だという、かの国の事情がしっかり描かれている。

それはさておき、「喧嘩」と書いて「すてごろ」と読ませる。「すてごろ」とは、素手の喧嘩のことをいうらしい。本書は、その「疫病神」シリーズの最近作にして、「破門」の続編だ。
二宮は、建設現場を荒らすヤクザをヤクザを持って制す「サバキ」の手配をすることを生業にしている自称、建設コンサルタントだ。彼の亡くなった父親がヤクザの幹部だったことから、その筋に多少縁があるというので、サバキで生計を立てている。が、暴対法の強化でビジネスは先細り。40歳になろうとしているのに、未だに母親からお年玉をもらっている。お年玉のみならず、母親への借金は100万やそこらではきかない。
その二宮が「疫病神」と呼んでいるのが、ヤクザの桑原だ。桑原と二宮は、コンビを組んでサバキをこなし修羅場をくぐってきた。イケイケの彼のせいで、肋骨を折ったことも一度や二度ではない。二宮からしてみれば、桑原の足元には地獄の釜が蓋を開けて待っている。
その割には、何かといっては桑原を頼り、ご馳走してもらっているのだが。
そんな桑原は、二宮の父親がいた組の幹部だったが、ある事件がもとで破門され、代紋を失ってしまう(「破門」)
組の後ろ盾のない桑原と、二宮が議員の利権をめぐって立ち回りを演じるのが、本書「喧嘩」なのだ。
文字通り、素手で喧嘩をすることとに掛けている。

このシリーズの何がいいって、ヘタレの二宮とイケイケ極道の桑原の掛け合い漫才的な会話がいい。関東の人間からみれば、大阪弁はそれだけで面白い。女の子がしゃべるとかわいいし、ヤクザがしゃべると凄みが増す。
だが、黒川作品のもう一つの良さは、エンタメ一辺倒ではないということ。毎回、サバキのネタとして裏社会のカラクリを垣間見せてもくれる。
このシリーズを読むたびに、自分は世の中の仕組みを何ひとつ知らなかったんだなぁ・・・と思う。
だいたい、議員報酬だけであんな家が建つわけもないのだが。

シリーズものは、マンネリに陥りがちだし区切りのいいところで終わるべきだと思うが、このシリーズだけは、まだ続いていって欲しい。

   

  

 

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category: ミステリ/エンタメ(国内)

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tag: 疫病神  映画 
2017/02/23 Thu. 11:44 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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