Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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晩夏の墜落 / ノア・ホーリー 

ついに8月になってしまった・・・

今日からお手紙の書き出しは「晩夏の候」になってしまった・・・
最近の8月は晩夏でもなんでもなく、暑さ本番!で、9月も引き続き暑くて、10月近くなってようやく朝晩過ごしやすくなってくるのかなぁという感じだ。そして秋がなくて突如冬っぽくなるという(苦笑)
ゲリラ豪雨も日常化しているし、これからはかつての夏らしい夏もなくなっていくのかも。

 


ところで「晩夏の墜落 」。著者は、海外ドラマ「Bones 骨は語る」でもお馴染みの人気脚本家で、本作は今年のエドガー賞受賞作。
エドガー賞受賞作は読むことにしているので読んでみた。

ら、、、
想像してたよりも、何倍も何十倍も良かった!
昨年の「地中の記憶」はイマイチ趣味に合わなかったが、これはドンピシャ。
物語は一見シンプルで、筆致も軽やかなのだが、その構成は練られていて読み応えもある。

確か、「ブラックランズ」のベリンダ・バウアーもTVドラマ系の方だったと記憶しているが、やっぱり上手いなぁと思う。
marthas-vineyard.jpg 

ある夏の日、マーサズ・ヴィンヤード島を出発したプライベート・ジェット機が大西洋上で墜落する。離陸してたった18分のことだった。

このプライベート・ジェットの乗客は、<ALCニュース>の代表デイヴィッド・ベイトマンとその妻のマギー、9歳の娘のレイチェルと4歳の息子JJのベイトマン一家と一家の護衛のル・バルグ、夫妻の友人で投資銀行家のベンとサラのキプリング夫妻、そしてマギーの友人の画家、スコット・バローズだった。乗員は、経験豊かな機長に、副操縦士、キャビンアテンダントの3名。
この惨事で生還できたのは、画家のスコットと4歳のJJだけだった。

泳ぎに覚えのあったスコットが命がけでJJを引っ張って夜の海を泳ぎ切り、奇跡的な生還を遂げたのだ。スコットは幼い子供を救ったヒーローとして一躍時の人となるが、マギーとの関係を勘ぐられ容赦ない好奇と疑惑の目が寄せられるようになる。
果たして、墜落の真相は・・・

noah-hawley.jpg 

面白いのは、スコットが追い詰められていく過程だ。
テレビの人間だけあって、ポピュリズムとマスコミの手法というのがよくわかっている。

個人的には今話題の加計問題を彷彿とさせた。
阿倍さんと加計学園の理事長は親友だ。そして、四国の加計学園は獣医学部を創設するのを許された。
それは何かあったのに違いないと憶測されるというわけだ。だが、これといった証拠は出てこない。
だからといって少なくない金のかかる国会で延々やり続けるのもねぇ?
しかし栄枯盛衰は理とはいえ、阿倍政権がこんなに早くグラつくとは。

二つの事柄が立て続けに起きると、人はそこに何らかの因果関係を認めたがる。
ちょうどこの本の前にマイケル・ルイスの「かくて行動経済学は生まれり」という本を読んでいたのだが、これは人間の脳のくせのようなものらしい。
「雨が降ると膝が痛む」とよく言うが、この本によると天気と関節炎の間には実は相関関係はないのだそうだ。この関節炎への反論は私ではなく本にお願いします(*ノェノ)

本書の主人公スコットは売れない画家。その売れない画家が億万長者の妻にプライベートジェットの同乗に誘われた。そこに当然何かがあると憶測する輩もいる。そして、その興味というか疑惑は強引な理屈で航空事故の原因にまで及んでいく。
スコットを巡る一連の騒動は、ジェット墜落の真相はどうなのか?と相まって実に面白い。

物語に限らず、現実社会においてもニュースがニュースショーになってからというもの、「事実よりもそれがどう見えるのかが大事」になった。そして、<ALC>ニュースのように、マスコミはニュースを創造することさえできる。
それはとても恐ろしいことだ。

スコットその人と彼を巡る騒ぎだけでなく、墜落機に乗っていた人一人一人の物語も読み応えがある。その一人一人に焦点を当て、それぞれの人物像と彼らが抱えていたものを描いていて、これがまたいい。



     

なぜ文庫とポケミス両方出してるのか?
ポケミスはコレクター向け???
それでも文庫2冊のほうがポケミスより安いです!

    

   

category: ミステリ/エンタメ(海外)

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tag: 海外ミステリ  文庫  早川書房  エドガー賞 
2017/08/01 Tue. 15:25 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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ブラック・ウィドウ / ダニエル・シルヴァ 

おおおぉぉぉぉぉぉ、これを待っていた!
4月の翻訳ミステリー大賞コンベンションでの版元対抗ビブリオバトルでは、「その犬の歩むところ」をはじめとした話題作に後塵を拝してしまったが、わたしは「ブラック・ウィドウ」に入れたもんね。
いや、「犬」も超よかったけども。

 

翻訳ミステリ界でも読書会でもちっとも話題にならないが、わたしは声を大にして世間に訴えたいのだ。
ダニエル・シルヴァは面白い!と。

初ダニエル・シルヴァは、「亡者のゲーム」だった。この出版不況の最中、ハーパー・コリンズ・ジャパンが爆誕し、そのときに目玉として出された本だ。ありがたいことにこの出版社は最初から文庫なばかりか、電子版も同時に出してくれる。

この「亡者のゲーム」にハマってしまい、過去出ているものは全て(図書館で借りて)読んだ。
なんたってガブリエル・アロン・シリーズは本書「ブラック・ウィドウ」で16作目(たぶん)だ。
わたしは長い物語は嫌いではないが、代わり映えのないネタで延々と続くシリーズものは概して好きではない。特に刑事ものとか。でもこれは例外。

16作も出た後で今から読めっていうの?と諦めモードのあなた。。。
全然、問題ないです。
なんなら「亡者のゲーム」「英国のスパイ」もスキップしても大丈夫。良作というのは大抵の場合、そういう風に書かれている。ただ、上記2作は文庫で電子版もあるし、何より面白いので強くオススメする。個人的には「英国のスパイ」のケラーが一番好きなキャラだったりする。

そもそも、ガブリエル・アロンを主人公としたこのイスラエルのスパイのシリーズは、別の版元から日本刊行されてはいた。が、それまでのものは全て単行本。しかも、シリーズ全ては出てない(苦笑)というかそのうちの数冊しか出てない。大人の事情というやつかなぁ???

同じスパイものでも、慣れ親しんだ英国はもちろん、ボーン・アイデンティティやMIPなどでおなじみのCIAとは異なり、イスラエルは日本人にとってあまりに縁遠い。一般読者にとっては食指も動きにくいのだろうから、版元の事情もわからなくもない。

Eiffel-Tower.jpg 

不幸なことに、本書執筆時にブリュッセルの連続爆破テロが起きたそうだが、物語もパリでの大規模爆破テロに幕をあける。狙われたのは、ユダヤ人保護組織のビルで、犠牲者の中にはその組織の主催者である女性ハンナも含まれていた。
彼女とゴッホの絵を介し面識があったガブリエルは、フランス当局の要請もあり捜査に手を貸すことに。実行犯は、ISISのメンバーで黒衣の未亡人(ブラック・ウィドウ)だった。ブラック・ウィドウとは、生まれ育った西欧諸国を捨ててISISに参加し、戦闘員と結婚して未亡人となる女性たちのことだ。彼女たちは戦闘で死んだ夫の復讐を誓っている。
実行犯の背後に、サラディンという名の謎の男の影が。ガブリエルは、サラディンの身辺を探るため大胆な策に出るが・・・

 israel1 

世の中のことを知りたいのであれば、本書ほどよい本も他にない。
まず、あんなにもイスラエルは好戦的なのか?ISISは何をルーツとし、爆発的に勢力を拡大したのか。なぜ西欧諸国で次々とテロを起きるのか?その背後ではどのような思惑が交錯し、どのようなことが行われてるのか?
もちろん、小説は小説。再三著者が前置きしているように、これはあくまでフィクションに過ぎないし、ガブリエル・アロンという人物も存在しないのも重々承知だ。しかし、ユダヤ人とイスラエルという国をとりまく背景についてはほぼ事実に即しているといって過言ではないと思う。

作中、ISISが「首都」とするシリアのラッカの様子が事細かに描かれているのだが、その様子には言葉を失う。曰く、水道も常時断水中、電気もなく、調理するためのガスもない。かつて子供たちが遊んでいたナイーム広場では、切断された首が並び、その上からシリア軍による爆弾が降り注ぐという。たぶん…この描写に誇張はない。

伝説のスパイにして美術修復家というガブリエルの特異なキャラも魅力的なのだが、このシリーズの良いところは、冷徹な目で、複雑極まりない各国の事情を解き明かそうとしている点にある。
ただ本書の視点はユダヤ人のそれであり、西欧諸国のジャーナリズムとは違う角度から描かれているので、時々、容易には納得しがたいものもあるのも事実だ。
ルトワックの「戦争にチャンスを与えよ 」で主張される論理に納得し難いのと同様に。理不尽な虐殺を体験したことのない私(たち)日本人はこの種のことに甘いのだろうなぁ。それは幸福なことだけど。

ところで、私は常々ユダヤ人が世界を動かしている説を信望している。トランプ大統領だって、胃パン的にはラストベルトのヒルビリーが主な支持層と言われているが、実はウォール街だって味方している。その実、米国の株価は絶好調。それもこれもイヴァンカさんの夫がユダヤ系だからで、そっちの引きも大きいのだろうなぁと邪推したり。
しかし、良きにつけ悪しきにつけ優秀な民族である反面、シルヴァを読んだり、イスラエル情勢などをウォッチしてると、ユダヤ人の背負う荷はあまりに重い。
「ユダヤ人とアラブ人は憎悪と血と犠牲によって結ばれいて、敵対する隣人同士として共存していくしかないという罰を与えられている」とガブリエルを通しシルヴァは言っている。

次に旅行で訪れたいのはイスラエルかアイスランド。
アイスランドは村上春樹の「ラオスにいったい何があるというんですか?」 という紀行文集を読んだからで、イスラエルはずばりダニエル・シルヴァの影響。
夢がかなうのはいつになることやら・・・


  


  

 

 


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category: スパイ・冒険・ハードボイルド

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2017/07/26 Wed. 20:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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死の天使 ギルティネ / サンドローネ・ダツィエーリ 

女性捜査官コロンバと失踪人専門コンサルタントのダンテのコンビ「パードレはそこにいる」 の続編。このシリーズは三部作らしい。
前作が面白かったので読んでみたのだが、勢いは衰えず。

   

 前作「パードレはそこにいる」で二人はローマ近郊で起こった少年行方不明事件で初めて出会う。
当時コロンバはある事件で大怪我を負い、怪我が癒えた後もパニック発作に苦しみ休職中だった。彼女は辞職を決意していたのだが、直属の上司が命じたのは事件の解決。そのパートナーとして白羽の矢がたったのが、失踪人捜索専門のコンサルタント、ダンテだった。
ダンテは6歳のころに誘拐され、以来11年間に渡り監禁されたという過去を持つ。その痛ましい体験のため普通の人にない観察眼を持っていた。彼はこの事件の背後にかつて自分を監禁した”パードレ”の存在を確信し、コロンバと共に事件解明に乗り出す。
二人はパードレを追い詰めその正体を明らかにするが、ダンテの素性については未だ謎のまま。

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本作「死の天使ギルティネ」では、<少女>がスカートラ(箱)と呼ばれる場所から逃げ出すシーンで幕をあける。まだそこがソビエトだった時代の話だ。スカートラはどんな強制収容所より酷い場所だった…
一方、現在のローマでは、列車の先頭車両の乗客全員が死亡という事件が起こる。イスラム過激派が犯行声明を発表したせいで、イスラミックセンターには警察による"ふるいがけ”の掃討作戦が行われ、コロンバもまたイスラム社会との衝突に巻き込まれてしまう。
停職に追い込まれたコロンバは非公式にダンテに協力を仰いで捜査を続ける。やがてダンテはこの殺人の背後に謎の女の姿があることに気づくのだが…

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スケールの大きな組織的犯罪と、ダンテが持つ壮絶な過去と特殊な才能…
このスタイルは紛れもなく「ミレニアム」
近頃はまたブームも変わって、これほどパンチの効いたものはあまりお目にかからなくなったが、ド派手なエンタメがお好きな方向き。

本作に登場した<少女>とダンテの類似性や関連性も気になるところだが、とにかく次々に予測のつかないことが起こり、目が離せない。そして、「ええ…」というような気をもたせるところでto be continued 。海外ドラマの手法だな(笑)

しかし、本作でまたまた大風呂敷を広げた感があるのだが、果たして三部作でカタがつくのだろうか…?
最後が冴えなかった「カルニヴィア 」みたいにはなって欲しくないけれど。

    

  

category: ミステリ/エンタメ(海外)

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tag: 海外ミステリ  早川書房  文庫 
2017/07/07 Fri. 15:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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その犬の歩むところ / ボストン・テラン 

4月に「翻訳ミステリー大賞受賞式」で行われた各出版社対抗ビブリオバトルのチャンプ本にして、週末の読書会の課題本。

電子版発売と同時にDLしていたのだが、実は気乗りせず延び延びになっていた。というのも、ある方からテランは比喩がくどくて嫌気がさすと聞いていたからだ。そうなのかと内心がっくり。私は神は銃弾」「音もなく少女は」も読んでおらず、本書が初テランだったのだ。


暑さと湿気にやられていて弱っているところに、クドいものはなぁ・・・
犬が中和してくれないかなぁ・・・
と思っていたが、全然問題なかった!


というか、超よかった!
今年のダントツ!
自分が大の犬好きというせいもあるが、心に染み入るような本だった。


palo verde

物語の語り手は、元アメリカ海兵隊のディーン・ヒコック。
ただ、冒頭ディーンが断っているように、この物語は伝統的なやり方では語られない。物語の主人公は、ギヴという名の雄犬で、はからずも彼が旅したのは911とハリケーン・カトリーナとイラクで傷ついたアメリカだ。
本書は、その旅の過程でギヴが出会った人々の物語なのである。

何と言ってもこのギヴの描かれ方がいい。
ありがちに擬人化されておらず、ひたすら「神の視点」というべき三人称で語られる。
人間化しなくても、犬のままでそのままで十分読者に届けることができるのだと思い知る。

犬と暮らしたことのある人なら、彼らの「善良さ」を疑うことはないだろうが、物語にはそれが溢れているのだ。
犬には「悪意」の欠片も存在しないし、人間に対していつでも無償の愛でこたえてくれる。自分の経験に重ね、犬という動物が備えている「善良さ」を思い出す。
Dogを反対に綴ればすればGodになるのは、必然なのかもしれないとさえ思ってしまう。

そんなギヴが旅の過程で出会うのは、"傷ついたアメリカの人々”だ。
アフガニスタンやイラクから帰還したものの、PTSDに苦しみ続けたり、蔑まれ居場所を失ってしまったりする戦争の英雄たち。観測史上最大の破壊と被害を齎したハリケーン・カトリーナの惨禍に苦しむ人々。アメリカの繁栄から取り残され怒りを募らせるヒルビリー(白人労働者階級)。
本書では、忘れられるか、見捨てられるかされた人々にスポットが当てられているのだ。

なぜトランプが勝てたのかという問いは、ラストベルトの貧乏白人が支持したからと片付けられがちだが、それ以上にエスタブリッシュメントによる既存政治に対する人々の不信のほうが大きかったからでもある。突然出てきた奇抜な大金持ちより、長らく政治に携わってきたもののほうが、より信頼されなかった結果だ。特に南部において。
ハリケーン・カトリーナの被害が大きくなったのは、救援活動を行うべきルイジアナ州の州兵がイラク戦争に人員を割かれていたことだけでなく、当時の大統領の対応が遅かったためでもある。
州知事からの緊急要請の電話に、休暇中だった大統領は明日にできないのかといって寝てしまったという。作中「大統領の寝ている間に…」という文言は、作中、効果的にリフレインされる。
政権が変わっても、彼らは「忘れられ、見捨てられた人々」のままだった。
911からおそらく現在に至るまで、かつて偉大だった"アメリカ"は血を流し苦しみ続けているのかもしれない。

しかし、著者は同時に人々が支え合う姿をも見せてくれる。人と人、人と犬が。「犬の歩むところ」は、同時に「私たちの歩むところ」でもあるにちがいない。
温かな感情に満たされ物語を終えられるというのは、とても気分が良い。


ところで、ボストン・テランという作家は覆面作家なのだそうだ。本名はおろか性別すら明かされていないという。訳者曰く、女性ではないだろうかとのことだったが、私は男性じゃないかなと思うのだけど…
「音もなく少女は」を読み終えれば印象もまた変わる可能性があるが、神を信じる人なのには違いないだろう。


    

    

category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 文庫 
2017/07/06 Thu. 15:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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プリズン・ガール / L・S・ホーカー 

最近の私はあまりフィクションを面白いと思わなくなってしまっている。知の巨人立花隆が「フィクションは所詮人間が考えたものだから、おのずとその限界がある」と言ったが、最近その通りだなとしみじみ思ってしまうのだ。昔はフィクション・オンリーだったのに、オジサン化がとまらない…
とはいえ、その手のものばかりでは我がバカ頭は疲弊してしまうので、娯楽系の息抜きは必須。
梅雨のうっとおしい時に特に集中せずともサクサク読めるのはストレスがなくていい。

本書は、粗も目立つしお世辞にも完璧ではないが、電子版をサンプルダウンロードして読み始めると、間違いなくその続きが読みたくなる。
掴みはOKだ。

主人公の女の子ペティは美しく、しかも彼女が21歳になる今の今まで、父親とともに奇妙としかいいようのない生活を送っていた。外界との接触はほとんどなく、銃の扱いと対人戦術を教え込まれ、体を鍛え、夜は外から厳重に施錠した部屋で眠る日々。しかし、ある日その父が心臓発作で他界してしまう。
ようやくペティは自由を手に入れたと思いきや、父親が残した遺言ではペティは父の知人ランディ・キングと結婚しなければならないというのだった。
ペティの父は彼女に100万ドルの生命保険を遺していたが、受け取るにはランディとの婚姻が条件にされていた。しかも彼との結婚を拒めば、住むところも何もかもを失い、精神病院に送りにされてしまう…
ペティはランディとその弁護士が隠すように家から運び出した箱の中から、自分の母親の写真を発見する。自分に生き写しの美しい母。もしかして、母は生きているのかもしれない。
ペティは、ある計画を実行しようとする…

Kansas lake 

鍵となるのは、なぜペティの父親はペティをこのように育てたのか、ということだろう。
次第に明らかになれるのだが、人によっては少々過剰に感じるかもしれない。なぜならこの種の恐怖というのは、実際に体験してみないとわからないものだからだ(したくはいないが)それに、その恐怖への描写がやや手薄なのも否めない。

また、ペティはサラ・コナーズのように美しく強くかなり風変わりではあるものの、魅力的なキャラクタだが、それよりもチャーミングなのは、ペティの相棒となるデッカー青年だった。
このデッカー、ダメんずの典型のような若者で、大学中退を余儀なくされ、地元の食料品店で配達のバイトをしている。その配達に赴いたペティの家で、彼女に銃で脅されて彼女の事件に巻き込まれていくのだが、彼の「人の好さ」にはペティもこの物語自体も救われている。

少女漫画がお好きな方向きかな?
単価の高い漫画よりコスパもいいです。



category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  文庫 
2017/07/02 Sun. 00:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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