Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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「その犬の歩むところ」読書会! 

豪雨の九州では、未だ安否確認の取れない方も大勢いらっしゃるとか。ご無事を願うとともに、被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。

横浜は猛暑。そのなかボストン・テランの「その犬の歩むところ」読書会に参加してきた。

参加者はいつもより少々少なめの11人。
場所はいつものカラオケ屋だが、久々に雑談だらけなゆったりした読書会だ。

普段、横浜読書会は猫派に押されているので、「犬」が主役の本はどうなのかなぁ?と思っていたのだが、思いの外、犬派も少なくもないことが判明。
(ハムスター派、鳥派などもいた!)

また、「神は銃弾」以来の熱心なテラン・ファンも多かったということで、、、

平均点は10点満点中、8点!
最高点は10点(3人)、最低点は4点。
一部を除き、全般的には高評価な結果になった。

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※以下、ネタばれあります。。。



まず、良かった点から
*ギヴ(犬)が死ななくて良かった
*犬を下手に擬人化していないところが良い
*読みやすい
*薄さがいい(←そこ(゚д゚)?!)
*人間に感情移入させない割に、キャラが立っている
*犬も人も魅力的
*砂漠の空気感や光の表現に魅せられた(P17あたり)
*音楽的(ギブが旋律で、人間が伴奏)
*911以降の傷ついたアメリカとそこに暮らす人々がよく描かれている
*悲劇的要素がありながら希望が描かれている


高得点とはいえ、そこは横浜読書会なので、、、
マイナス要素も多く、、、手厳しいご意見も多数。

*ジェム(兄弟の兄)も救ってあげてほしかった
*ルーシーとイアン、両方殺してしまう必要はなかったのでは?
*犬が好きではないので、感動ポイントゼロだった
*テラン節が足りない
*犬を手掛かりに登場人物がどんどん入れ替わり焦点が変わっていくので、腰が座らない
*綺麗事すぎる
*「この犬をご覧」にムカついた
*アメリカ人(進化論を信じていない類の)ではないので理解できなかった
*最後の一文は蛇足


犬が好きじゃないから感動できないことについては、「以上終了」なので置いておいて・・・(苦笑)


好みが割れたのは、物語が「通常の語り方では語られない」その手法だ。
本書では、ギヴという犬の足跡を辿り、"神の視点"で語られていくのだが、主人公は犬といえども犬ではなく、登場人物も次々に登場しては去っていく。
今までのテランの作風は、一人の人物に焦点を当てじっくり描いていくものだったので、次々と焦点が変わってしまうのは物足りなかったという人も。
逆に、誰か一人に焦点が物語を通して当たっていなくても、別の語られ方というのもあるわけで、これはこれで良いのではないかという声もあった。曰く、「日々の暮らしこそが人生」というわけだ。

いうなれば、単焦点レンズが好きか広角レンズが好きかの差だろうか。ちなみに、料理は単焦点で上が広角。
私自身は、物語自体がディーンが書いたという体をとりつつも「神視点」で描かれていることから、神話的なイメージを持った。神話もまた神が書いたのではなく神のなしたことを人間が書いたもの。
好みの問題はあれど、著者は今回「個の苦しみ」ではなく、より大局的な「アメリカの苦しみ」を描こうとしていることからの広角レンズだったのではないか。



そして、意外に人気キャラだったのがジェム
ジェムとイアンの二人は共にミュージシャンを目指し(しかし、窃盗などを繰り返して)夢を追っていたが、あることがきっかけでイアンを殺してしまう。神話的といえばここも神話的で、彼らの関係性はそのままカインとアベルだ。
犬がすれ違うことで登場人物が救われるのであれば、極悪人たるジェムこそ救ってあげて欲しかったという声は大きかった。
キリスト教などの一神教の神は結構厳しいのだけれども、、、
…悪人なおもて往生す、なのかな?(笑)

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もう一つ、争点となったのは覆面作家ボストン・テランの人物像だ。
ドアーズがでてくるところからして、60代くらいなのは間違いないし、おそらくアメリカ中南部在住。インテリ層に見下されがちな「進化論を認めない」地域だろう。

人種的にも黒人ではなく白人という感じだが、テランの信仰する神はキリスト教なのだろうか。
物語の最後に加えられている「神話」や、犬をこれほど神格化するのは、もしかしてネイティブ・アメリカンの信仰なのではないかという目からウロコなご意見もあった。
先住民の血を引いているか否かは別としても、オジブワの血を引くオコナー・シリーズを書いているウィリアム・K・クルーガーに少し雰囲気が似ているような気もした。

また、テランの性別については、私は女流作家のあの特有の臭いは感じなかったので、男性ではないかなぁ…と思うのですが、男性陣は一様に女性だと言い切っておりましたです、はい。
終始覆面を貫くのか、どこかの時点で明らかにするのかわからないが、今後の展開が待たれる。果たしてどっち?


最後に…作中にはハリケーン・カトリーナの惨禍が描かれていたが、日本ではちょうど九州豪雨の最中。
今回の豪雨被害に見舞われた地域はご高齢の方も多く、東京や大阪、また福岡などで、親御さんの身を案じている方も多いことだろう。この日も九州出身だという方もいらしていたし(幸いにも被害はなかった地域らしい)
一日も早く、安心して生活できる日常が取り戻せますように・・・

      

category: 読書会

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tag: 読書会  文庫 
2017/07/10 Mon. 15:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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「ゴッドウルフの行方」スペンサー読書会! 

一部に絶大な人気を誇るスペンサー・シリーズ。
書評家の北上次郎さん曰く、
「スペンサー・シリーズを読まない奴とは友達になれない」とか(笑)

その読書会に参加してきた!
課題本はシリーズ第一弾の「ゴッドウルフの行方」
このシリーズはなんと39作品もあるらしい…

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平均点は、5.9点(10点満点)!

最高点は8点
最低点は4点

まぁ、こんなものかな?
15名の参加者中、男性は2名。男性の比率が高ければもう少し得点は高くなったのかな?と思いきや、最高点をつけたのは女性で、最低点をつけたのは男性だった!

いつもながら、横メンの動向は読めないです…


それはさておき、良かった点は、、、
*スペンサーいい人(逮捕されたら、絶対に彼に電話したい!)
*マッチョで素敵、ボクシングシーンがカッコいい
*料理ができて自立している男性像はこの時代にしてみれば斬新
*作る料理が美味しそう
*会話が洒脱で軽妙
*他のハードボイルドに比べると健全
*ボストンの街の描写が素敵
*女性の描きかたが良い
*犯人が死なず、生け捕りになったのが良い
*ストーリーが凝ってないので読みやすい(多少読み飛ばしても問題ない)
*学生生活やファッションなど、70年代の空気感が感じられてよかった

マーロウが読者にモテるのはよくわかるのだ。でもスペンサーのような”いい人”は大抵女受けしないものなのだと思っていたから、女性受けしていたのに驚いた。

マッチョで、ボクシングができて、料理ができて、面倒見がよく、フェミニストで女性にモテモテ、それがスペンサー。ふーーーーーーん((((;´・ω・`)))
でも、フィクションの世界では、多少欠点や癖がある方が逆に魅力的じゃない?
もっと言えば、「やせ我慢」とか「妙なこだわり」とか「変人っぷり」が、探偵の醍醐味じゃない?
そう思うのは私だけ???

それに、マックを6個も食べたり、毎日ダンキンドーナツ食べてビール飲んでるくせに、脂肪がないってありえないですから(キッパリ)!
若いならともかく中年なんだし。

と、「デブ活」分を落としたい私は思うのだ…


それに、これはもう「男性版ハーレクイン」以外の何ものでもないではないか。
スペンサーという人物像は、容姿も含め何もかもがパーカー自身の理想だったのだろうなぁ(笑)
と思っていたら、、、、
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若い頃は痩せていた!!!
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↑Doraさん所有の1973年の本のパーカー

別人なんですけど…w( ̄o ̄)w
最大のオチは、パーカーの使用前、使用後の変化かも(苦笑)


マイナス要因は、、、
*内容がない
*「ゴッドウルフ写本」がタイトルなのにストーリーに全く関係なさすぎる
*ミステリとしてなってない
*登場人物が無駄に多すぎる。もっと絞って突っ込んで描写すべき
*人が死にすぎる
*母娘どんぶりは節操がない
*テリイが嫌い
*軽佻浮薄さが否めない(C調)
*いたずらにウィットを弄んでいる感がある
*スタイルはあるが、Way of Lifeがない
*菊池光さんの良さが発揮できてない


訳に関して言えば、確かに光さん的にはスペンサーは「やや軟派すぎる」という声も多数。
会話の妙についても、それを洒落ていると感じるか、おしゃべりで軽いと感じるか。
少しシリーズも下りスーザンが出てくるようになると、会話のキャッチボールが可能になるので「洒脱さ」も感じられるようになると思う(が、同時にウザさも増す)

スペンサーは完璧すぎると前述したが、「母娘どんぶり」はどうなのよ?というご意見も(失礼!)完璧どころか、女好きで節操なさすぎというのだ。
ある男性参加者は「据え膳」だし…と消えるような声でつぶやいていたが、私もそう思うなぁ(笑)
しかし、それもこれもスーザンが登場するまで。

そもそもストーリーに意味がないゆえ、「単なるスペンサーの自己紹介本」になってしまっているのも残念なところ。以前にも書いたが、相棒の黒人ホークも恋人のスーザンもいないせいで、必要とされる構成要素が不足しているのだ。

この本から得た教訓は、「シリーズものは必ずしも最初から読む必要はない」ということだろうか(笑)


他方で、70年代はこれが新鮮だったのかもしれないなとも思う。今の我々はフィクション慣れしてスレているし、小説やドラマにはその時々の流行というものがある。流行に左右されることのない名作もあるにはあるが、この手のものには、読むにふさわしい「時期」や「旬」が存在すると思うのだ。

これを読んで憤慨しているスペンサー・ファンのあなた。でも、あなたは、スペンサーの「旬」に、完璧な「時期」に読んだからこそ、魅了されたのではないだろうか?
もちろん年齢を重ね改めて読むことで、その評価は良くも悪くも変化しうるが、若い頃魅了され憧れたものは、生涯を通してのお気に入りとなることが多い。
70年代に学生生活を送っていた人がもう一度読む人と、今のこの時代にはじめて読む人とでは温度差があって当然だ。

ちなみに、このシリーズは初読が4名、残りはなんらかの形で読んだことがあるという人だった。
さすがに全制覇しているというツワモノはいなかったけれど(笑)
シリーズ中では、「レイチェル・ウォレスを捜せ」「失投 」を推す人多し。

ネオ・ハードボイルドとしてどうかはさておき、私個人としては「初秋」 「晩秋」のセットはなかなかだった。スペンサーの売りはマッチョの具現とフェニニズムだが、それ以外の要素が加わることで深みがでていると思う。

ところで、「C調」という言葉を私は今日の今日まで知らなかった。
サザン世代ど真ん中なはずですのに… 
ひとつお勉強になりましたですよ、ハイ。

    


  

category: 読書会

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tag: 早川書房  読書会  文庫 
2017/05/16 Tue. 00:29 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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