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読書日記、ときどき食日記

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クレオパトラ  Cleoratra A Life / ステイシー・シフ 

ステイシー・シフは、既存のイメージを破壊し、その人物像を再構築する伝記作家として知られるピューリッツァー賞作家と言われている。
本書は、クレオパトラの真実の姿にせまるノンフィクションである。
では、クレオパトラの既存のイメージとはどんなものだろう?
ローマ以降の作家、劇作家の手によって作り替えられたクレオパトラ像、かのエリザベス・テイラーの演じたクレオパトラだろうか。彼女のクレオパトラは、美しさとセクシーさを武器に、カエサルとアントニウスというローマの英雄二人を虜にした「淫らな悪女」である。

著者であるシフは、「クレオパトラを真実の姿に戻すためには、いくつかの事実を掘り起こして、事実を覆い隠す神話やプロパガンダをはぎとる必要がある」といっている。
クレオパトラは「絶世の美女」ではなく、代わりに「9カ国語を流暢に操る才女」であり、「人をそらさぬ魅力的な話術の持ち主」という事実は、実は私の中では既に定番化していた。
だから、本書でシフが示したクレオパトラ像には、正直驚きはない。それよりも、エリザベス・テイラーの「クレオパトラ」がもたらした世間への影響の大きさに改めて驚いたくらい。
biクレオパトラの容姿に関して言えば、何年か前に、ケンブリッジ大の専門家が作成した3Dの肖像が記憶に新しい。
顔を復元した ケンブリッジの専門家は、「プトレマイオス王朝はギリシャ系だったものの、初代のプトレマイオス1世から200年も経過する内 に外見はほとんど当時のエジ プト人と変わらないものになっていた」といっている。
プルタルコスは、「美しさそれ自体はそれほどでもないが、彼女と比べられる者はなく、彼女を見たものは皆必ず魅了された」といっているが、美の基準は人によって異なるものだ。
実際のところ、肌の色はどうだったのだろうか?その容姿は美しかったのだろうか?

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実はクレオパトラは「顔のない女王」と言われている。本人に似ていると証明された肖像は、ひとつもないのだ。
分かっているのは、プトレマイオス家がギリシア人の家系だったこと、特有の鷲鼻の持ち主だったということ、小柄で華奢な体型だったということくらいらしい。コインに施された横顔の肖像をみれば、プルタルコスに軍配が上がりそうだが、一方で、カエサルはかなりの面喰いだったともいう。

キリストが生まれる何十年も前から、エジプトでは、女性が男性と等しく教育を受け、財産を受け継いだり、ビジネスを営み、離婚する権利を持っていた。クレオパトラもたっぷりとその恩恵に与して育っただろう。彼女の育ったアレクサンドリアは当時世界で一番繁栄を誇っており、彼女はおそらく世界で一番高い教育を受けたと言われている。王になるための教育は厳しい。子供の時分のその勉強量たるや、SAPIXや四谷大塚も真っ青だったろう。
また、クレオパトラは先見の明のある有能な国王だったと言われている。優れた軍事掌握力を持ち、艦隊の編成や反乱の鎮圧、貨幣のコントロールや飢饉の解決にも優れた能力を発揮したという。
一方で、クレオパトラは積極的に女性であることを政治的に利用してもいる。彼女が父親から受け継いだのは、ローマによって滅ぼされようとしているエジプトだったのだ。彼女は、その危機に対処するためにカエサルの懐に飛び込み、カエサル亡き後はアントニウスをも虜にしている。
この「恋愛」には、クレオパトラの潤沢な資金というカエサル側にとってのメリットもあったが、ロマンチックな装飾を排した文献からは、彼らの関係が打算や計算だけでなかったことが伺えるという。

読みすすめるうちに、従来私が持っていた「不美人だが賢いクレオパトラ」は、「誰しもを虜にする魅力的な女王」に変わっていった。シフの冷静な筆ですら、後半から完全にクレオパトラという人の人生に魅了されてしまっている。
クレオパトラは、死してなお、人々を魅了しつづけている。

この”シフのクレオパトラ”をベースにし、現在ハリウッドでは新しい「クレオパトラ」が3Dで制作されているという。
演じるのはハリウッドの現在のアイコン、アンジェリーナ・ジョリーらしい。
アンジーはギリシャ系でもなければ、エジプト系でもないが、このキャスティングとクレオパトラという名前の持つ魅力だけで話題作になるのは間違いないだろう。


クレオパトラクレオパトラ
(2011/12/20)
ステイシー シフ

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tag: クレオパトラ  ステイシー・シフ   
2012/04/11 Wed. 16:47 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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