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読書日記、ときどき食日記

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全豪オープン2014 ファイナル! 

article.jpg
2014の全豪は、なんとバブリンカが優勝!

ナダル負けた…


ナダルは全豪と相性が悪いというか、なんというか…

2年前はジョコビッチと6時間近く闘った挙げ句負けちゃうし、昨年は怪我で欠場。
そのジョコが負けた今年はチャンスだと思ったのに…
しかも、相手は12戦全勝してたお得意さんだったのに…

本当にあの日はナダルの日じゃなかったとしかいいようのない結果になってしまった。
ま、でも、No.1の地位はしばらく安泰なんだから、少しゆっくり休んで怪我を治してください。

私もそろそろ敗退のショックから立ち直って『Xの悲劇』でも再読しないとなぁ…


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category: テニス

2014/01/28 Tue. 17:07 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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全豪オープンテニスなう ファッションチェック! 

連日の全豪オープンテニスの(テレビ)観戦で、ほとんど廃人化している今日この頃。

いや、しかし昨日はナダル錦織戦、盛り上がった!!!
錦織君はこれまでの人生で一番いいテニスをしたのじゃないだろうか。
ナダルもかなり押されたけど、それでもストレート勝利はさすが!!!

しかし、グランドスラムでナダル相手と言えども全豪の四回戦なのに、NHKまで放送するとは!
Wowwowが気の毒…
独占放送のハズなのに…

もしも錦織君がファイナル進出とかしちゃったりしたら、それだけで国民栄誉賞とか貰えそうな勢いだ。
nadal3.jpg
さて、男子はベスト8が揃い、今日からベスト4をかけた戦いがはじまる。

さて、それでは、今大会のウェアチェクをしてみよう!

まずはナダル
…ナダルに暖色系は駄目なんだってば!
怪我したり負けたりするときって、たいてい赤とかピンクとか着てる時で、演技がよくない。
しかもこの色、
なんだかナダルが小汚く見えるのだ

毎試合頭から水をかぶったみたいに汗だくだし、速乾に見えないんだけど…(笑)







fede1.pngお次もナイキのフェデラー。

ラケットをデカラケに変え、エドバーグをコーチにむかえて、新生フェデさま、絶好調。
昨日のツォンガ戦も予想を裏切りさくさくっと勝ってしまった。

中間色の休日のお父さん的ウェアも、もはや定番化。
でも、フェデラーにはよく似合ってる
ナイト用のこれはここ最近で一番良い感じ?














dim1.png同じくナイキのディミトロフ。
シャラポワの彼氏のイケメンさんである。
あのデルポに勝ったバウティストアグートを倒し勝ち上がってきた!

シャラぽんは負けちゃったけど、今年のディミは調子がいい。
次のQFはナダルとだが、もしかしてナダルもやばいかも…?


ディミのウェアはいかにもアメリカーンなティーンという感じ
ディミにはよく似合ってると思う。









murry1.png続いてマレー
ナダル、フェデラーモデルのナイキは時々微妙なものもあるけど、
アディダスって安定してる(←そもそもナダルたちと違って市販品だし!)



が、復帰明けのせいか、
gdgd

第3セットから目立ってぐだぐだとし始め、セットを失ってあわてて本気を出し始めるという…
それでも勝ってきてるので、さすがだが、
トップとやるにはフィジカル面も精神面もまだなのかも…。








djoco1.jpg続いてユニクロのジョコビッチ
今年優勝すればなんと4年連続!!!
比較的イージードローだし、可能性ありそう。

私はこのユニクロのウェアは好きじゃないけど、結構好評らしい。

それにしても、このロゴ、一つでもチープにみえるのに、ダブルロゴだし…==


ジョコはタッキーニのほうが似合ってたと思う。
お金でモメて、タッキーニからユニクロになったらしい。

そして、今やユニクロの契約は、ジョコの年収の半分近くを占めるのだとか。
…嫌とは言えないか


と思ってたらジョコ負けたーー!!!!
バブリンカすごい!!!




birdman.pngしんがりは、H&Mのベルディヒさん
私、これ絶句してまった!!!(笑)
「ローソンの店員さん?」

しかもそれに赤を合わせてしまうという暴挙にでてるし…
去年は年間通して同じデザインだったので、今年はまさかこれでいくつもり???














stan1.jpg追記
全身ヨネックスのバブリンカさん
テニス界のディカプリオとか言われてるが、レオ様よりカワイイ!


バブりん
SF進出おめでとーーーーー!!!!














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category: テニス

2014/01/21 Tue. 14:53 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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ハンティング / ベリンダ・バウアー 

『ブラックランズ』CWAゴールド・ダガーを受賞したベリンダ・バウアーの最新作。二度目となる2013年のGDは惜しくも逃したようだが、最終候補に挙るというだけでも充分すごい。


本作は『ブラックランズ』『ダークサイド』 に続く英国の寒村シップコット村三部作の完結編である。『ダークサイド』も昨年あたりレビューしていたつもりだったけどないので書いてなかったみたい。『ブラックランズ』に比べると二作目の『ダークサイド』はややトーンダウンした感がしたせいかなイマイチだったような…。『ダークサイド』で起こる事件は結着していないのだ。
本書はその『ダークサイド』に直結した物語でありこの二作品は二つで一つの作品だといってもいいと思う。

north devon village

さて、舞台は、英国、ノーズ・デヴォンの寒村シップコット村だ。村を襲った連続殺人事件から一年半たったが、未だ犯人の手がかりすらないなか、また事件が起こる。
狩りをしている父親を車のなかで待っていた13歳の少女が、忽然と姿を消してしまったのだ。父親の車には「おまえは彼女を愛していない」というメモが残されていた。金銭の要求がないことから、当初は家出だと思われていたが、数日後、また別の9歳の少年が連れ去られ事態は一変する。その後も犯行は収まることなく、第三、第四の連れ去りが立て続けに起こるのだった。
姿を消した子供たちはいずれも、一人で車内にいたところを狙われており、車には同様のメモが残されていた。

事件の指揮を任されたのは、マーヴェル警部の捜査チームにいたレノルズ警部補だった。前の事件では、捜査チームは最初から劣勢を強いられ、結局挽回することはできなかった。そのせいでレノルズの髪はごっそりと抜け、プライドは打ちのめされてしまった。大枚をはたき植毛をした彼は、今回こそは、絶対解決するのだと燃えていた。
一方、前回の事件で精神に深刻なダメージを負った警官ジョーナス・ホリーは休職を余儀なくされ、自宅に引きこもっていた。カウンセリングなど彼女にはどうでもいいことだったが、職務に耐えうると診断されなければ復職できない。彼にはもはや仕事しか残さていなかったのだ。カウンセラーは、そんなジョーナスに恐怖と気味の悪さを感じ、早く彼から逃れたい一心から復職許可の診断を下してしまう。
こうして、レノルズの懸念をよそに、ジョーナスも捜査に参加することになったのだ。そして、密かにジョーナスを恐れていたスティーヴン・ラム(『ブラックランズ』の主役だった少年)も、またこの事件に巻き込まれていくのだが…



ようやく『ダークサイド』の謎が明らかにされると思いきや…
.読者の解釈に委ねられる部分も大きいので、文句のある人は多いかも!

いかにも英国らしくウエットで残酷な暗い物語だが、、植毛の具合をやたら気にするレノルズの様子や、レノルズの部下エリザベス・ライスの嫉妬深く惚れっぽいキャラクターがそれを救っていると思う。
また『ブラックランズ』のスティーヴンは、本書でも重要な役割を果たすのだが、あの時いたいけな子供だった彼にはなんとGFができる!

原題は『Finders Keepers』で、これはFinders keepers, losers weepers.(拾ったものは拾った人のもの、無くした人は泣くしかない)ということわざなのだそうだ。
無くしたほうが悪いといわんばかりのタイトルは、厳しいと思うが「そういう考えもあるなと思う。だが、その無くしたものが「子供」ならどうだろう?
レノルズ警部補が37年の人生で学んだ教訓に、「人間はばかである」というくだりがある。「どれほど警告されようと、人は懲りずに飲酒運転をするし、ちょっと郵便局に寄るだけだから、ちょっと牛乳を買うだけだからといって子供を車内に置いていく。自分の身に悪いことが降り掛かるはずはないと高をくくっている」
欧米のみならず、日本でもつい先日少女の失踪事件が起きたばかり。幸い無事保護されたそうだが、親にとっては身に沁みる言葉だろう。

foxhunt2.jpg

ところで、『ハンティング』というタイトルの由来は、この事件そのものに「キツネ狩り」が大きく関わっているからである。
「キツネ狩り」はいわゆる貴族のスポーツであり、馬に乗った複数の人間が、猟犬にキツネを追いかけさせ、かみ殺させるというものだ。獲物を食べるためや害獣を駆除するとというためではない。キツネは単にスポーツとして、殺されるのだ。
ちなみに、この「キツネ狩り」はチャールズ皇太子も熱心なファンであったという。
過去形なのは、今では禁止されているからである。これは「あとがき」にも詳しいが「キツネ狩り禁止法」は紆余曲折の末、2004年のブレア政権下に成立となった。
それそのものの是非はともかく、「キツネ狩り」にかかる産業は長い歴史を持っており、シップコット村のような辺鄙な田舎では、それで生計をたてていた人も多かったらしい。
本書でもそれがテーマのひとつとして描かれているが、「キツネ狩り論争」はいわゆる階級闘争や、地方と都市部の対立をもはらむ根が深いものでもあるので、もう少し踏み込んでも面白かったかなとも思った。

ハンティング (小学館文庫)

ベリンダ バウアー (著), 松原 葉子 (翻訳)
小学館 (2013/9/6)

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ブラックランズ (小学館文庫)

ベリンダ バウアー (著), 杉本 葉子 (翻訳)
小学館 (2010/10/6)

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ダークサイド (小学館文庫)

ベリンダ バウアー (著), 杉本 葉子 (翻訳)
小学館 (2012/7/6)

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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  このミス  英国 
2014/01/15 Wed. 22:18 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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『夜に生きる』読書会@ルノアール 

新年一発目の横浜読書会は、毎年恒例(になる予定)のエドガー賞祭りで課題本はデニス・ルヘインの『夜に生きる 』場所も昨年同様ルノワールの会議室
今年はさらに人数も多かったので、手狭だったかな?

まずはダニー班とジョー班の二手に分かれて、お馴染みの"読書地図"を作成した。
下記はダニー班のものだ。
『夜に生きる』から派生する作品を繋げていくのだけど、古典に詳しい人、冒険小説に詳しい人、色々と得意分野が顕著になる。
それにしても今更ながら、我が記憶力の衰えと、漢字が書けないことには驚いてしまう。
本当にどうしたものでしょう...(笑)
jan112014RM.jpg


ところで、この読書会に際し、お正月ボケの頭で超特急で『運命の日』と『夜に生きる』を通読した。
やっぱりルヘインはいいわぁ〜〜〜!!!

もしも『三秒間の視覚』を入れたとしても、やはり昨年の私のベストオブベストミステリはこれ。
この本がつまらないなんてありえるの?と思っていたら、それがそうでもなかったりした…
これが読書会の面白さなのだ。本当に、色んな読み方がある。

私のいたダニーグループでは、話題は主に「ストーリー自体についての賛否」と、「エマについて」の話で盛り上がった。本妻でしかも死んじゃったグラシエラをさしおいて、エマってすごい…
(※今回は珍しく一応メモをとったのだけど、これが例によって役にたたないシロモノ。私の脳内で変な具合に変換されていたらゴメンナサイ‥‥)


◆ストーリーについて

1.面白さ
・刑務所を出るまでは面白かったが、その後は駄目だった。
・刑務所を出るまでは、ジョー自身の生き残るための闘いにフォーカスが当たり面白く読めたが、タンパ以降は・不必要なバイオレンスが目につき、単なる立身出世の物語になってしまい退屈だった。
・ビジネスマン的ジョーには魅力がない。

トマスやダニーと父子の関係性など『運命の日』から読まないと分かりにくいところも...

・ジョーは所詮お坊ちゃん。
・必要最低限しか殺人も犯していない。
・良い子すぎてつまらない。

ルヘインはそもそも主人公にあまり悪いことをさせない傾向にあるが、自身もアイルランド系であることから、ジョーに自分を重ねてしまったのでは?


2.父と息子の物語
・トマスのジョーに対する"父親としての情"がすごく良い。
・その情の象徴となるのが、"パティック・フィリップの金の懐中時計"で、トマスの死後それがジョーの運命を暗示するようになってもいる(スイスから戻ってきた時計がまた遅れるようになる→グラシエラの死)
・ペスカトーレとその馬鹿息子や、フィギスと娘ロレッタの関係性なども読ませるものがある。

3.結末
・冒頭のシチュエーションから、ジョーは死ぬ運命かと思ったので意外だった。
・死んだのはジョー自身ではなく最も大切な人で、「夜に生きる」ことに"仕返し"をされるなら、ジョー自身であるべきだったのではないか?
・タンパまでは面白かったが、そこからはダメだった。

自分が死ぬのよりも、グラシエラという最も大切な人を亡くすほうが悲しみは深い。ゴッド・ファーザー的結末は展開的にベタであるが、妥当だと思う。
それから、私はタンパ以降の方が面白かったのだが、少数派?

4.歴史背景について
実在の人物や歴史的出来事をうまく使っているのでリアリティがある。
・歴史小説としても楽しめる。

当時の禁酒法下のギャング台頭の様子や、イタリア人系ギャングとアイルランド系ギャングの民族的なことに由来する抗争(マソVSアルバート・ホワイト)なども描かれている。

LBN1.png
LBN2.png

物語の一番の山場はグラシエラの為に殺意を持って殺人をおかしてしまったシーンだと思う。
それを境に彼は無法者からギャングになったが、実はギャングになって以降(タンパの王子になって以降)、精神的には逆にギャング的なものから乖離していった気もした。


パトリック&アンジーシリーズの翻訳者でもあるKameさんによると、ルヘインは『ミスティック・リバー』を境に作風が大きく変化したのだという。
昔は一つの事件の中での主人公の成長を描いていたが、今は視点が俯瞰になりより大局的変化を描こうとしているように思えるとのことだ。

『運命の日』などはその最たるもので、これはルヘイン自身に子供ができたなどの変化があったためかもしれないという。
↑クリックで拡大
守りに入っていると思うかはたまた攻めていると感じるか?
どちらのルヘインが好みかは人それぞれ。私は『運命の日』以降に、何か一段大きく前進したような感じ受けたし、作家のこういう変化は読者としては非常に嬉しいことだと思う。



◆エマ・グルード

1.エマの魅力
・「何が欲しい?」と聞かれて「これまでに起きていないようなこと」などとなかなか答えられるものではない。自分も惹かれてしまうかも
とにかく生き抜いたのはすごい。(ファムファタール的)生き方も好き。
・ジョーの父トマスが見抜いた通り、それほど大した女ではなかったのではないか
トマスが認める類いの女性ではないからこそ、惹かれたのだと思う


2.エマの役割
生き返ったのは物語上不必要だった←エマ不要論
・父トマスへの反発の象徴として描かれていると思う

LBN3.png
私もエマは実際のところ、それほどの女性ではないのかなという気がした。
出会った当時のジョーには心に空洞を抱えており、だからこそ同じ匂いのする彼女に惹かれたのだろう。
また彼女は役割的にはジョーの心の空洞の象徴でもあったと思う。それは後にグラシエラにより満たされたが、過去との決別という意味においては決着をつけるのは不可欠だったのではないだろうか?全てはエマとの出逢いで始まったのだ。

また『運命の日』でも、ダニーはイタリア人テロリストの女と関係を持つのだが、それを連想させた。兄弟に似たようなことをさせているのも興味深い。
ところでルヘインは、女性の描き方がフェチ的。耳たぶや、背中の痣を描くことで顔かたちた印象を事細かに描写するよりも効果的に、生々しく匂い立つような魅力を出してもいると思う。

全体的に非常に映像的だという声もあった。
確かに視覚的で読みやすい。ここぞというシーンではコマ送りのような時の流れを感じさせたりもする。ルヘインはどちらかといえば、シチュエーション的説明よりも、むしろ"情”という形のないものを描くのに力を注ぐタイプの作家だと思うのだが、ストレートにそれが伝わってくるというのは文章に力があるせいだとも思う。実際、一文一文が重くて密だと思った。
この映像化を意識した書き方というのは、昨今の小説家にとってビジネス上欠くべからざる戦略になっているようだ。そういえば本作もベン・アフレック監督・脚本・プロデュースが決まっているというけれど、さてどうなることだろう?


二次会は今回は居酒屋ではなくカラオケ屋さんで。完全個室だし、意外にも(!)お料理もイケてた。これはスピンオフにももってこいかも。
今回一緒に盛り上がった皆さんも、今回は残念ながら出席できなかった方々も、また読書会でお会いしましょう!
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category: 読書会

thread: 推理小説・ミステリー - janre: 本・雑誌

tag: 早川書房  読書会  映画化 
2014/01/13 Mon. 19:39 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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サイコパス  秘められた能力 / ケヴィン・ダットン 

psychopath.jpgサイコパスといえば何を思い浮かべるだろうか?

ドラマ『クリミナル・マインド』に登場するシリアルキラーか、はたまた『羊たちの沈黙 』レクター博士だろうか。
しかし、厳密に言えば、サイコパス=反社会的人格障害ではないのだという。

本書に登場するサイコパスは犯罪者にとどまらない。英国屈指の神経外科医、高名な法廷弁護士、特殊部隊隊員、億万長者の元トレーダーなどなど。本書には多くの「成功したサイコパス」が登場するのだ。JFLやビル・Cクリントンを筆頭に歴代の米国大統領もサイコパス度が高いと言われているし、かのジェームズ・ボンドも典型的サイコパスなのだそうだ。
サイコパスは社会の頂きに多くいるのだという。
それが証拠に、サイコパス度の高い職業のトップは企業のCEOであるし、先ほど出て来た弁護士、外科医がそこにランクインしている。そして、なんと聖職者もランクインしている!
サイコパスに関する本は多くあるが、本書がユニークなのは、サイコパスの謎に踏み込むと同時に、彼らをただ異質なものと恐れるのではなく、”そうでない我々”も、彼らから学べるものがあるのじゃないか、という視点を持っていることである。

jobs.jpgサイコパスの特徴は、カリスマ的魅力があり自信にあふれ、自己中心的で、冷淡で破滅的でさえあるが、非常に優れた一点集中力をもち、プレッシャーのもと冷静でいられることだ。とりわけ、このプレッシャーの元の冷静さというのは、社会で成功するのに役立つ。彼らは基本的に”恐怖”を感じないのだという。

あるトップクラスの神経外科医は「執刀する患者に思いやりなんて抱かない」という。オペのときは冷静無比な機械になり、手にしたメスやドリルと一体化する。脳という雪山に挑んでいるときは、感情の出る幕はないのだ。つまり、失敗したらどうしようなどということは捨て置いて、目の前の問題だけに集中できるのだ。
また、元トップトレーダーは「トップにいる連中は一日の終わりに出口にむかっているとき、何を考えているのか、わからない。すっからかんになったのか、大儲けしたのか。」と言っている。つまり、トレーダーは、いちいち大喜びしたり落ち込んだりはしていられないということなのだ。
精神的に弱いと身の破滅になりかねないし、感情を排せなければ到底生き残れないというわけなのだ。

感情を排して一点集中できることと、恐怖心の欠如は今の社会では間違いなく有利な能力だ。
失敗したらどうしようと皆が躊躇するシーンでも、勝負に挑めるので、チャンスが多い。また、失敗しても引きずらないためまた挑むこともできる。そして、他人のように感情に振り回されることなく、目の前の目標だけに集中できる。

CatchMe ifYouCan映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 』でディカプリオが扮した実在の天才詐欺師フランク・W・アバグネイルはこう言っている。
「二匹のネズミがクリームの入ったバケツに落ちた。一匹はすぐにあきらめて溺れ死んだ。もう一匹はあきらめずにあがき、あまりジタバタするもんでクリームがバターに変わり、それをかきわけて脱出した。おれはその二匹目なのさ。」
ちなみに詐欺師もサイコパス度の高い職業である。

しかし、このセリフのなんと説得力のあることか。サイコパスの特徴のいくつかは、非常に魅力的だ。目の前の問題だけに一点集中する能力は、得られるものならば是非欲しい。そう思ってしまう私はサイコパス的なのだろうか?いや、株や為替であれだけビビるのだから、それはないかな(笑)
但し、サイコパシーは高性能なスポーツカーのようなもので、運転の仕方によっては死も招きかねないことを忘れるべきではない。サイコパスには恐怖心がないがために、早死する可能性も非常に高いのだという。

ところで、反社会的で服役している"法医学的サイコパス”と、エリートで"成功しているサイコパス”の違いだが、これはまだ完全には明らかになってはないないようだ。
これには反社会的サイコパスのほうが、" 衝動性”や"攻撃性”の調整つまみが高い位置にあるという研究者もいるし、逆にエリートで成功しているサイコパスが"一点集中”のスイッチを自在にオフとオンにできるのではないかという意見もある。
光には陰がつきものなように、英雄と悪党は紙一重なのかもしれない。

専門的でありながらも、誰もが興味を持つ内容や逸話を盛り込んでいるので非常に読みやすい。いたずらに恐怖心を煽るわけでなく、かといってサイコパスを賞賛するでもなく、多面的な視点で描かれているところも良いと思った。


サイコパス 秘められた能力

ケヴィン・ダットン (著), 小林 由香利 (翻訳)
NHK出版 (2013/4/23)


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category: ポピュラーサイエンス

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: サイコパス 
2014/01/10 Fri. 19:07 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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