Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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China 2049 〜秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」/ マイケル・ピルズベリー 

以前、松岡正剛さんが千夜千冊のなかで「Amazonがすすめてくる本には読みたい本がない」と言っていたが、私はAmazonにとってはまさに、「飛んで火にいる虫」そのもの。本書もそれでDLしてしまった。
そればかりか、我が家は食料品と洋服以外は、ほぼAmazonに頼っている。サプリや洗剤、ミネラルウォーターやペットボトル飲料はすでに定期便だし、最近ではムシューダも大量に買った。
クローゼットが防虫剤臭くなるのが嫌で、昨年新しくしなかったら、なんと私が持っているコートのなかで最も高価なものに小さな虫食いが見つかったのだ。虫食いの修理費用はなんと3万円!悩んだけど、今や、おいそれとブランドのコートなぞ買える身分じゃないので、お願いすることに。全くトホホなことだ・・・

私もトホホだが、アメリカさんもかなりトホホな感じなのである。何がって、中国に対するこれまでの我が身の振る舞いに対してなのだ。

本書の著者のマイケル・ピルズベリー氏は、米国政府の対中国政策に長年深く関わってきた中国通である。御年、71歳。自身でも「ニクソン政権以来、30年にわたって政府機関で働いてきた中国の専門家として誰よりも中国の軍部や諜報機関に通じていると断言できる」とまで言い切っているほどの人物だ。
本書が執筆された目的は、かつて「親中派」だった彼自身の見解は全て謝りであったことを認めたうえで、アメリカをはじめとする世界中に、中国という国の脅威に対して注意喚起を促すことなのである。

原題は「The Hundred Year Marathon」100年マラソンである。それは、1949年に共産党が権力を掌握して以来、始まったとみられる周到な中国の超長期戦略のことだ。すなわち、アメリカにとって変わって世界を掌握することだという。
中国はその戦略を周到に隠してきたと著者はいう。それは、自らの戦略を敵(アメリカ)に悟られることなく、時に敵の助言者をも利用するという中国古来の孫子の兵法や戦国作に基づいている。それらから導かれる「勢」という思想のうえに立っているのだ。「勢」とは、中国人の歴史的知恵の産物であり、「敵が従わずにいられない状況を形成して敵を動かし、これに打ち勝つ神秘的な力」であり、「他国と連合して敵を包囲すると同時に、敵の連合を弱めて包囲されないようにすることを含む」という。
この「勢」を説明するのに、著者は、南の小国を指揮したあの諸葛孔明が北の大国を率いた曹操に勝利した「赤壁の戦い」を例にあげる。戦いの詳細は、今も絶大な人気を誇る「三国志演義」に詳しいので、ご存知の方も多いことだろう。映画レッドクリフの題材にもなっている。
「勢」は、映画レッドクリフでまさに金城武扮する諸葛孔明が、東の風が吹き始めるやいなや、扇を指し示し襲撃を開始したシーンに象徴される。賢人が「勢」の到来を察知した瞬間だ。
私のような単純な者からすれば、「赤壁の戦い」は、諸葛孔明という人の英知に焦点の当てられる戦いでしかないが、ピルズベリーの見方は違う。それは、敵を欺いたり、敵の判断の誤りを利用したりする戦略から、そうした戦略を賞賛する中国流の正義といった中国独自の考え方を見ることのできる教科書なのだという。
red criff

また、思惑を隠して近づいた中国に、そうと知らぬアメリカは実に気前よく様々なものを提供してきた。機密情報や技術、軍事ノウハウ、情報機関や専門家による助言etc…
そして、プレゼントしてもらえないものについては、盗み取る。
アメリカにしてみれば、友人だと思っていたのに、実は二心ある盗人だったというわけだ。中国のモラルとルールは、アメリカや西側諸国のそれはまるで異なる。目的の達成のためにはルールの順守など問題ではない。

後半は、中国が今現在世界にもたらしている危機について語られる。
中国国内における言論統制、検閲、弾圧はいまさらいうまでもないだろう。驚くべきことに、中国語には「権利 right」に相当する言葉が存在しないというのだ。
中国が今のアメリカの地位にとって変わった場合は、それはすなわち世界の問題になりかねない。
アメリカの敵、サダム・フセインやタリバンを支援し、最悪の大気汚染源であり、環境を破壊し続ける中国。欺くものが勝つという論理が正当化される中国は、まさに無法者国家とさえいっていい。

今日、日本の株価は中国市場次第で、銀座には中国人観光客を乗せたバスが何台も連なり、東横線の中ですら中国語が聞こえて来るくらいだ。デパートの売り上げはその中国人の爆買いに依存している。
私たちが気がつかないうちに、中国は世界第2位の経済大国にのし上がろうとしている。「100年マラソン」での勝利も見えてきたことで、これまでになく好戦的になろうとしている。日本とも尖閣諸島をめぐって常に諍いが起きている状況だ。
これについて、著者は、「日本がどう対応するかが、中国のマラソン戦略が実行可能かどうかの試金石となる」とまで言っている。中国は日本が軍国主義に傾くことを恐れているのだというが、日本政府はまた重大な責務を負わされたものだ。

そうした中国の危険性を極めて真剣に危惧し、著者は中国が「マラソン」に勝利するのを防ぐ手立てをも論じている。

昨今の中国株の乱高下にみる経済の停滞をみるにつけ、「マラソン」は順風ではないと思いたいが、だからこそ荒っぽい手段に出ることも考えられる。中国経済は鈍化してきたが、軍事費は増加し続けているのだ。
万が一トランプ氏が大統領にでもなろうものなら、即、深刻な事態になりかねない。
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個人的には「アメリカが世界の中心、アメリカが世界の覇者!」という考えにも相当うんざりさせられるが、それに中国がとって変わることを考えれば、全然マシ。
もしもそうなれば、民主主義も個人の権利も世界から消え去ってしまうだろう。外来種が在来種をまたたくまに駆逐してしまうように、日本などたやすく滅ぼされてされてしまうに違いない。なんといっても繁殖力からして違うし、先の戦時下の恨みも国家によって刷り込みされている。そればかりか、地球自体、生物が住める環境でなくなってしまうかもしれない。
「100年マラソン」を阻止するためには、どうすべきなのだろうか?

巻末には、元防衛大臣、森本敏氏による「ピルズベリー氏の警告を日本はどう受け止めるべきか」という提言も付されている。




China 2049

マイケル・ピルズベリー (著), 森本 敏 (解説), 野中 香方子 (翻訳)
出版社: 日経BP社 (2015/9/3)

Kindle版 China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」




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category: ノンフィクション・新書

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2016/02/28 Sun. 20:50 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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真夜中の北京 / ポール・フレンチ 

日銀総裁は「マイナス金利は狙い通り」と言ってるらしいが、私なんて、まさに狙い撃ちされたようにズドンだわよ。
証券株も銀行株も十年スパンでの塩漬け確定 (T▽T)
5頭のクジラも大損は必至で年金もさらに少なくなっているかも。
立派なキャリアのある友人までもが将来を心配していたりする昨今。PhDで、日本と英語圏双方のキャリアにある程度のストックオプションまで持っている彼女でさえ将来が不安だというのだ。私なんかどうなるちゅーーのよ…
不安の蔓延は社会をさらに悪い方向へと導いてしまう。
歳をとって振り返ってみるならば、もしかして今は激動の時代の始まりなのかもしれないなぁと思ってしまう。


さて、激動の時代といえば、なんといっても第二次世界大戦前後だろう。
本書は、その大戦前の北京で無残に殺害された一人の少女をめぐるノンフィクション・ミステリだ。エドガー賞(MWA)の犯罪実話部門とノンフィクション・ゴールド・ダガー賞という、英米双方の権威ある賞に輝いている。
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物語の舞台は大戦前夜の北京。
当時の北京は清王朝の崩壊以来、次々襲ってくる襲来者の餌食となっていた。そして今、名目上中国を支配しているのは蒋介石の国民党だったが、北京は南侵をすすめる日本軍の足音に怯えている。
北京の外国人たちは、そのほとんどがリゲージョン・クォーターと呼ばれる狭い区域に固まって暮らしていた。リゲージョン・クォーターは外と厳密に区切られており、ゲートは武装した衛兵によって守られていた。だが、門内に一歩足を踏み入れれば、ロンドンやパリ、ワシントンかと見紛うほどのクラブやホテル、バーで賑わっていたのだった。ほとんどの中国人にとっては、リゲージョン・クォーターは第二の紫禁城、選ばれた一握りの人の遊び場だったのだ。
無残に切り刻まれた少女の死体が発見されたのは、狐狸塔のそばだった。狐狸塔には狐の精が住み着いていると言われていたため、夜は誰も寄り付かない場所だ。
少女の遺体は、肋骨が全て折られ体躯がむき出しになっていた。おまけに心臓が持ち去られていたのだ。そして、10代半ばに見えたその遺体の持ち主は、元英国領事ワーナーの19歳の養女パメラだったのだ。1880年代から中国で働き暮らしていた英国人のワーナーは、中国通として一目置かれる存在だった。
パメラ殺害事件は、中国側と英国側双方が担当することとなった。北京警察で訓練を積んだベテラン捜査官のハン警視正と、スコットランドヤードから天津英租界警察へやってきたデニス捜査官だ。
捜査の過程で、パメラには二つの顔があったことが明らかになる。学校での目立たない少女としてのパメラと、独立心が強すぎ手におえない大人の女性としてのパメラだ。
被害者が地位の高い外国人の娘であることは世間の注目を集め、おまけに現英国領事がワーナーを快く思っていないことで、事態は複雑になっていく…

midnight in peking2

同じノンフクション・ミステリの「最初の刑事」に似てはいるが、極東の北京が舞台であり、日本軍の存在も大きいことから、日本人には本書のほうがより肌で感じられるのではないだろうか。
本書は、パメラの事件が、その不穏な社会背景とともに北京の古い韃靼地区を夜な夜な走り回る狐の精の伝説にかぶせて語られているが、それはデヴィッド・ピースの「占領都市」を思い出させた。「占領都市」も、「百物語」の怪物にかぶせ、帝銀事件を描いてみせた。その不気味さ、不穏さには圧倒されるが、本書も負けてはいない。
バッドランズという最下層の風俗街や、アヘン、ヌーディスト村、美しき両性具有のシュラの存在もまた、物語を引き立ててている。魔都といわれた当時の上海とは、また違った感じでヤバいのだ。

時代背景と政治的な駆け引きや圧力による隠蔽によって、パメラ殺害事件は、迷宮入りしてしまう。だが、信念の人であったパメラの義父ワーナーの残した膨大な資料のおかげで、小説として現代に蘇ったのだ。

執筆の顛末については、巻末の「執筆によせて」に詳しいが、それは毛沢東の伝記「中国の赤い星」にあった脚注がきっかけで、それをもとに掘り起こしていったのだそうだ。大部分はワーナーが独自の調査を記した膨大な手紙である。
後半は、ほとんどがワーナーの執念の物語といっていいだろう。
ワーナーがたどり着いた結末はおそらく真実だろうし、もしも時代が違っていたならば逮捕もできたかもしれない。
パメラ事件は、その後北京を、世界を襲う悲劇の予兆であったともいえるが、ワーナーの執念の調査はその流れに抵抗しようとしていたかのようにも思える。



真夜中の北京

ポール フレンチ (著), 笹山 裕子 (翻訳)
出版社: エンジンルーム (2015/8/11)


Kindle版 真夜中の北京





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category: ノンフィクション・新書

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2016/02/24 Wed. 14:09 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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ホロホロの20年目の真実 

横浜にきたのはかれこれ20年くらい前なのだけど、当時横浜国立大学近くの国道沿いに、ハンバーグレストランがあったのだ。
ハンバーグレストランといっても、「びっくりなんとか」みたいなチェーン店ではなく、見るからに個人経営のお店で、そこのレストランの駐車場の入り口に、なぜか七面鳥みたいなやつが飼われていたのだ。
その鳥は、軒先にいる犬みたいに鎖でつながれおり、その鎖の長さの範囲で自由にやっていたらしい。かなり大きいし、アグレッシブな印象だった。

当時夫が「ホロホロ鳥かもよ?」と言ったので、昨日まであのアグレッシブな鳥はホロホロ鳥だとばかり思っていた。その鳥には、顎のあたりにタルタルなビロビロがあったのだけど、そのせいで日本語名がホロホロ鳥なのだろうと納得していたのだ…。

でも、違うじゃん!!!
夫よ、全然違うじゃん!!!
ホロホロさんは大人しそうなドット模様じゃん!!!

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なぜ、唐突にこんな話をするかといえば、昨日食べたホロホロ鳥があまりに美味しかったからなのだ。
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胸肉にゴルゴンゾーラのムースが詰めてあるのだけど、これがジューシーで感激するほど美味しかった!さすが、リューズさんですわ〜!さすが、二つ星ですわ〜!

一緒に食事をした友人たちと、どうも話が噛み合わないと思って、検索してみてはじめて長年の勘違いが発覚したというわけ。
結論として、ホロホロちゃんはかわいくて美味しい。


ワインもすすんだわ〜〜〜
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昨日のMENU DU JOURはこんな感じ。
コスパ最高!

アミューズ・ブッシュ
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前菜その一
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前菜その2 フォアグラ〜〜〜!
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お魚は鯛
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そしてホロホロちゃん
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お口直しはザクロのゼリーにクリームチーズのジェラート
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シトラスづくしのデザート
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フレッシュハーブティー
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ここまででお腹いっぱい。
ミニャルデーズはお持ち帰りに
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ところで、このバターのお皿?、一瞬誰かのスマホかと思ってしまった!
ここ、パンも美味しいんだけどパンは撮り忘れ・・・
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大変美味しゅうございました。

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category: 横浜&東京レストラン

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2016/02/22 Mon. 17:35 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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百段雛まつり 

目黒雅叙園でやっている「百段雛まつり」に行ってきた。

「百段階段」とは、目黒雅叙園の3号館の通称で、東京都無形文化財にもなっている木造建築。

趣の異なる7つの部屋が99段の階段廊下で繋がれていて、なんとも不思議な雰囲気。ジブリの「千と千尋の神隠し」のモデルにもなったそうだ。
「百段」なのになぜ99段かというと、「縁起がよくないから」らしい。
かいだんちがいではあるが、日本の伝統的な怪談スタイルである「百物語」も、100話語り終えると、本物の怪が現れると言われている。「百」という数字は、古くはあまり縁起のよいものではなかったのだろう。

「百物語」といえば、、、そういえば、デヴィッド・ピースの「暗黒の東京三部作」の三作目は一体どうなっているの???

それはさておき、天井や壁にびっしり装飾の施された豪華絢爛な7つの部屋では、かつて宴が催され、女中さんがこの階段廊下を登って一膳づつ配膳をしたのだそうだ。
厚さ5cmの欅の板でできた階段は、歩くたびにミシミシと音がして、う〜〜〜ん、まさに「千と千尋の神隠し」の世界!

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この7つの部屋に、みちのくのお雛様が展示されているのだが、これもまた壮観だった。
残念ながら写真は不可だったが、東北の旧家に伝わるお雛様の雅やかなこと。
豪華な部屋のしつらいと、古いお人形、寒さ(人形保全のため暖房は入っていない)が相まって、タイムスリップしたかのようだった。
豪農などの旧家に伝わるものなのだろうが、その家その家で、お道具はもちろん、お雛様のお顔もお人形の大きささえも全然違う。
薄暗く寒い部屋に、真っ白なお顔が浮かび上がり、なんとも幻想的な雰囲気。
というか、夜は少し怖いかも。

なかには311による津波で一旦失われ、奇跡的に発見されたお雛様も・・・
よく、古いものには霊が宿るというが、本当に何か宿っていそう・・・


これはロビーに展示してあるお雛様。ふっくらしていて、かわいい。
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エレベーターのドアも見事な螺鈿細工!
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ロビーには、吊るし飾りがたくさん。
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「百段雛まつり」は、3月6日までやっているそうです。


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category: 行ってきた&旅行その他

thread: いってきました^^ - janre: ブログ

tag: 目黒雅叙園  百段階段  お雛様 
2016/02/22 Mon. 00:32 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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土砂降りの『彼女のいない飛行機』読書会 

夕方から横浜は土砂降り!
雨男(女)は誰だ〜〜〜〜〜〜?!

そんな雨にもかかわらず、今日は満席で、ご覧の通り大盛況。
大人数で、私も久々に喉が痛くなってしまった(笑)
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そして、大荒れのお天気にふさわしく、酷評の嵐…

なんと平均点は4.3点!!!(10点満点中)
最高点は8点、最低点はマイナス2点!
久々にマイナスでたーーーーー
あの「シンプル・プラン読書会」を下回ったでございますですよ…

※以下、ネタバレあります。






<悪かった点>
*グラン・デュックの手記は、出し惜しみしすぎ
*演出過剰
*無駄に長い(半分くらいでよかったのではないか)

案の定、グラン=デュックの手記に対する批判が多かった。無理やり過去と現在を交互に語らせるいう手法をとっているので、不自然さが鼻についた人が多かったようだ。

*主人公マルクの行動原理がよくわからない
*共に育った妹(血はつながっていないが)に手を出すマルクがキモイ
*マルクがバカすぎる

マルクは一刻も早くリリーの出生の秘密を知らなければならないのに、なぜわざわざ最初から読むのか?結論が知りたければ最後から読めばいい。(う〜ん、そうすると過去と現在を交互に描いていくという手法が使えないからなぁ…)


*リリーの人となりが全くわからない(人物が書けていない)
*リリーが無駄に高スペック
*登場人物に感情移入できない

*実母の存在が薄すぎる、実母薄情すぎ。
*本筋と関係ない枝葉が多すぎる
*探偵の行動が支離滅裂
*後半が適当すぎ


*ミステリとして体をなしていない
*リズ=ローズか、エミリーかという謎なのに、どちらでもなかったという答えはずるい

タイトルが『彼女のいない飛行機』だったので、私は最初からリリーはリズ=ローズでもエミリーでもない誰かなのだろうと思っていた。そもそも最初からミステリ性もへったくれもない。物語の本筋よりも、なぜそんなタイトルにしたのかのほうがミステリー。原書版のタイトルそのままの日本語訳だが、ちなみに英語版は「After The Crush」に改題されている。

しかし、ここでタイトルの謎に新説が登場!
Tさん曰く、あのタイトルの「彼女」というのはリズ=ローズの姉のマルヴィナだというのだ。装丁のこげ茶の目の女の子も、タイトルにある「彼女」もともにマルヴィナを指すのだと。
おおお〜〜〜なるほど!
と思いきや、しかしマルヴィナが主人公で、物語が彼女の視線で描かれているならいざ知らず、脇役扱いだし…
どちらにしてもモヤモヤが残ってしまう。

他にも本書には欠陥箇所が多々ある。例えばリズ=ローズがなぜトルコのバザールで売っているベビー服を着ていたのかとか(トルコの自宅に残されていた服は高級なものばかりだのに)、実母がリリーにリズ=ローズの服を着せ替えるとき、どうしてブレスレットもつけてやらなかったのか。
伏線のつもりで投げかけたのかもしれないが、全く回収されずほったらかしになっているところがあまりにも多い。キッチリ辻褄あわせをする本格ミステリが好きな人は、許せないだろう。
(私は誰かの映画をそのままパクって小説にするとかいう輩の方が遥かに嫌だけど… )


*(著者の)女性への視線がイヤらしい
*著者の視点は古い

う〜〜古いのは確かに古いかも。だって、この題材は昭和の時代に大映がヒットさせた百恵ちゃんの「赤いシリーズ」そのままなのだから。
個人的には大昔のドラマ的なテーマも懐かしかったし、航空機の墜落事故自体も87年の日航機の事故を思い出させ感傷的になってしまった。時間の経過とともに風化しつつあるが、あの不幸で悲劇的な事故も、多くのドラマを生んでしまったのだろう。


*フランス人の書く小説にでてくるフランス人が嫌い
ま、小説のなかにかぎらず、エマニュル・トッドとかみても、おい、おい、大丈夫なのか?と心配になるくらいで……フランス人は面倒くさい人多そう。

ただ、私たちのテーブルの担当のお姉さんはかわいいフランス人の女の子で、性格もとても良さそうだった。オーダーは覚えられなかったけど…(笑)



<よかった点>
*前半は青春小説みたいでよかった
*マティルドがロミー・シュナイダーっぽい
*中だるみしない
*マルヴィナがかわいい


良かったところ、少なっ!
でも、私は懐かしさも手伝って割と楽しめたかな。そもそもフランス人に精度を求めてはいけないし、B級ドラマは突っ込みどころ満載でなんぼ、ではないか。
ただ、「スティーグ・ラーソンの小説を彷彿とさせる」とか「フレンチミステリのエスプリを極めた」とかいうのは、看板に偽りあり。金字塔でもエスプリでもないし、ラーソンとなんて比べてはいけない。彷彿とさせるのは大昔の大映ドラマだ。

それにしても、横浜読書会の女性陣は、本の悪口を言っているときは、なぜにあんなにテンションが上がるのか(笑)


来月の課題本は、『鷲は舞い降りた』だそうです。


彼女のいない飛行機 (集英社文庫)

ミシェル ビュッシ (著), 平岡 敦 (翻訳)
出版社: 集英社 (2015/8/20)










鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)

ジャック ヒギンズ (著), 菊池 光 (翻訳)
出版社: 早川書房; 完全版 (1997/04)





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tag: 海外ミステリ  読書会 
2016/02/22 Mon. 00:09 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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