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読書日記、ときどき食日記

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ヒトはどうして死ぬのか~ 死の遺伝子の謎 / 田沼 靖一 

「死」というものは誰にも平等に訪れるが、謎につつまれているのもまた事実だ。
なぜ、生き物は死ななければならないのだろうか?そんな誰しもが疑問に思っていることを、科学的に解き明かしてくれる本である。

人間を含む全ての多細胞生物は、遺伝子によってあらかじめ死がプログラムされているのだという。
まず、細胞の死は3種類に分けられる。一つ目は、遺伝子に支配されない死「ネクローシス」というもので、これはいうなれば事故死だ。
残りの二つは、遺伝子に支配される死である。
再生系細胞は、決められた回数分裂を繰り返し、その”回数券”を使い切ると死ぬようにできている。これは例えれば細胞の自殺で「アポトーシス」と呼ばれる。この「アポトーシス」は、制御と防衛という二つの役割を持っており、アポトーシスがないと、発達はなされず、また体内で生じた不必要な抗体によって自らの細胞を傷つけ、それがいつまでも体内に居残るという不都合が生じる。アポトーシスは、生きるために必要とされているのだ。
脳の神経細胞のような非再生系細胞は、何十年も生き続け高度な機能を果たすが、一定の時間が経過すると死ぬ。寿命がくるのだ。この死は「アポビオーシス」と呼ばれる。

では、どうして「アポトーシス」と「アポビオーシス」は必要なのか?どうして、あらかじめインプットされているのか?
死の目的は、実は、生命の連続性を担保するためであるという。生殖により新しい遺伝子の組成が行われることで、その結果より好ましい子孫を残し、環境により適合した進化を促進する。これこそが遺伝子の目的なのだという。
そう考えると、死と生は相対するものではなく、著者は「死は生を内包している」と表現している。
遺伝子は本質的に利他的であり、その反映として我々個体も「他」のために生まれてきたのだという。
著者によれば、死生観とは、死をより大きな存在の一部として「個」として「他」のためにどうあるべきか、ということになるのだ。
少々、立派すぎる気もするが、あらかじめ決まっているものをどうこう言ったところで仕方ない。

一番面白く読んだのは「不老不死」についての可能性についての記述だった。アポトーシスとアポビオーシスを遺伝子操作によってコントロールできれば、「不老不死」は可能であるかもしれないというのだ。
けれども、人間の脳はそもそも100年くらいを想定してデザインされている。そのために、現時点では、200年とか 500年といった長い時間を自己を保ちながら生きるというだけのスペックはないと考えられているそうだ。
しかし、それを可能にする研究は、今後も続けられていくのだろう。SF的未来は近づきつつあるなぁ…


ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
(2010/07)
田沼 靖一

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category: ポピュラーサイエンス

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 遺伝子  アポトーシス      新書  薄い本 
2011/08/05 Fri. 23:11 [edit]   TB: 1 | CM: 0

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