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読書日記、ときどき食日記

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オーダーメイド殺人クラブ / 辻村 深月 

そろそろ年末の「このミス」やら「文春ミステリ10」やらが気になってくる頃。

全然日本人の作家のものは読んでなくて、しかもあまり興味もなかったんだけど、最近はどんなものが人気なのかなぁ、と思ってたら、『日経おとなのOFF』がこんなベスト10を選んでた。

1 「ジェノサイド」高野和明 
2 「絆回廊」大沢在昌
3 「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」奥泉光
4 「真夏の方程式」東野圭吾
5 「オーダーメイド殺人クラブ」辻村深月
6 「ユリゴコロ」沼田まほかる
7 「カササギたちの四季」道尾秀介
8 「鬼畜の家」深木章子
9 「メルカトルかく語りき」麻耶 雄嵩
10 「ばらばら死体の夜」桜庭一樹

なんでも本屋や書評家が選んだ2011上半期のミステリベスト10らしいけど、この中で読んだことがあるのは『ジェノサイド』だけ。この先読むかもしれないのは大沢在昌くらいかな?

この『オーダーメイド殺人クラブ』は『ジェノサイド』と並んで確か直木賞候補になっていたし、辻村深月さんという作家の本自体読んだことがなかったので、買って読んでみた。

誰かが、この本ってミステリじゃないですよぉ~と言ってたけど、あら本当。
『ライ麦畑』の2ちゃんねる版みたいな青春小説だった…。
おばさんはついていけないんです…

さて、主人公のアンは中学二年生の女子。純粋な日本人なのにもかかわらず、アンという名前がつけられたのは、母親が大の「赤毛のアン」ファンだったから。彼女は、ヒエラルキーが上位の、イケてるバスケ部に入っていて、クラスではリーダー的存在の芹香や倖(さち)とつるんでいる”リア充女子”だ。
だが、友達とは気分で無視したりされたりの空虚な関係で、親にも理解されていない気がしている。自分の環境に苛立ち、絶望的な閉塞感を感じているのだ。
「みんなセンス悪い。誰もみんな、私のことを理解しない!」
自分の部屋の机の鍵のかかる引き出しに、殺人事件や事故の新聞のスクラップを大切にしまい、怪我をした女の子の人形の写真集に魅せられて、本屋に何度も立ち読みに行っている。
そんなアンは、あるとき、学校の踊り場に展示された同じクラスで隣の席の男子、徳川の絵をみて痺れる。だが、徳川は「昆虫系男子」で、全然イケてない。
『魔界の晩餐』と名付けられたその絵は、およそ中学校の踊り場にはふさわしいとは言えず、グロテスクで不気味だ。だが、アンは、気にいっている人形の写真集に通じるものを感じたのだった。アンは思う。「徳川も、もしかして自分と同じような闇を抱えているのかもしれない。」
そんな時、偶然徳川が河原で何かを蹴っているのを目撃してしまう。スーパーの袋から滲みだしているのは赤黒い液体で...
もしかして、アンは、徳川こそが、自分の願いを叶えてくれるのではないか、美意識を分かってくれるのではないかと期待して、徳川に「私を、殺してくれない?」と頼む。
アンは、自分の命を使って、徳川と二人で世間に語り継がれるくらい衝撃的な事件を起こそし、最高の”少年A"を創ろうと思ったのだ。
二人は決行日はいつにするのか、殺人の場所はどこがいいのか?と、具体的なプランを話し合い始めるのだが...


なぜだろう。ホールデンには共感できたが、アンにはうんざりしてしまった。
世界があまりにも狭く、近視的で、一人よがりが過ぎる。親も友達も愚かでセンス最悪だと馬鹿にしているのに、彼らがいないと生きていけないことにも気づいていない。それが青春だといえば、それまでだが、私は全く理解できなかった。
ホールデンの感じたことは直観的だが的を得ていて、特に人物に関するものは驚くほどに鋭いが、アンはただ甘えている"子供"にしか思えなかった。
そもそも、人に頼んでやってもらおうとするところ自体どうしようもない。
アンと徳川が目指した?「悲劇」は、本当にこういうきっかけで発生しうるものなのだろか?それにしては、アンも徳川も"普通”すぎる。
本物の”少年A"、神戸連続児童殺傷事件の彼なんかが起こした類いの狂気じみた事件は、こうして何気ないことから起こりうるとでも言いたいのだろうか?誰でも殺人を起こしうるとでも???

う~む、「このミス」のミステリの定義がいかに広いとはいえ、これは違う。
どちらかといえば、やっぱり青春小説の類いだと思う。そして、私には全然この良さはわからなかった。



オーダーメイド殺人クラブオーダーメイド殺人クラブ
(2011/05/26)
辻村 深月

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category: 文芸

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 青春小説    辻村深月  少年A  ホールデン 
2011/09/27 Tue. 20:07 [edit]   TB: 1 | CM: 1

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「オーダーメイド殺人クラブ」辻村深月

中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方。 親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。 中学二年生という狭い世界の息苦しさが伝わる内容。いつもイタイ人が登場する辻村作品。 ここまでわかりやすく中二病に侵された子が主人公なのは、たぶん初めてでしょう。 ...

粋な提案 | 2014/06/13 14:20

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