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読書日記、ときどき食日記

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隠れていた宇宙 / ブライアン・グリーン 

これね、「二次関数もできない自分にもよくわかりました!」などとレビューしていた人もいたが、個人的感想をいわせていただければ、これはまずあり得ないと思うんだけども…
二次関数ができないのに、超ひも理論が「わかる!」ことなんてあるのかな???

ブライアン・グリーンは、可能な限り身の回りの、時にテレビドラマの主人公なんかを引き合いに出したりして説明をしてくれるくらい親切ではある。この手の本にありがちな「よくわからないがゆえに、眠くなる」的なこともない。
しかし、そもそも扱ってる題材が題材なだけに、難しくなってしまうのは必然。なので、「私は」結構頑張って読んだのだ。

さて本題。最先端の物理と数学によると、宇宙は、”私たちの宇宙”一つだけではなく、多宇宙=マルチバースが存在するという。膨張を続けている”私たちの宇宙”は、数えきれない宇宙の一つに過ぎず、それぞれ独立して進化を続けているらしい。数学によってマルチバースが導かれるのは、観測には限界があるからだ。天文学者が観測できるのは、約420億光年先まで。(といってもこれは理論上のお話で、実際今ハワイに建設中のTMTでも135億光年先までという段階)
これを「宇宙の地平線」と呼ぶらしいが、地平線で宇宙が終わっているわけではない。
仮説を立てそれを検証するという従来の物理学は、「宇宙」の前には役たたない。そこで数学の出番となるわけだ。

本書には様々な(実に9つもの超がつくほど独創的な)マルチバースがでてくる。まず、この地平線の先にも宇宙はありうるだろう、というのが一番最初の「パッチワークキルト宇宙」。一つのパッチ(例えば私たちの宇宙)の隣にはまた違うパッチ(別の宇宙)があり、それはパッチワークキルトのように延々と続いている、というものだ。本書にでてくる9つものマルチバースのうち、これが一番理解しやすい。が、科学者たちはそれだけで満足しない。
超ひも理論から導かれるマルチバースは、ぶっ飛んでいる。なかには、この地球上で起こることは全てホログラフィックなのだ、という説さえもあるのだ。ニューヨークタイムズのフェリス氏はこれがお気に入りらしい。これによると、私たちが目にしているのは、すっぽりと覆われた別の物理系の境界の内側に「記録」されたものの投影なのかもしれないという。
冗談でもSFでもなく、大真面目に論じられているのだ。なかなか痺れる宇宙論だし、そこに至る超ひも理論もかなり頭が痺れる。
他にも、映画「マトリックス」を彷彿とさせるシュミレーション宇宙などがドラマチックに語られている。ただ、惜しむらくが、これらのマルチバースは”検証不可能”なのだ。

では、それが実在すると論じることに意味はあるのだろうか?物理学でそれが許されるのだろうか?この問いは「実存とは何か?」ということに行き着いてしまう。下巻の半分はこの問いの議論に充てられている。
反実在論者は、科学者は観察によって立証・反立証できる経験予測を立て、それを検証することに自らを留めるべきだという。アインシュタインをはじめとしたいわゆる実在論者は、不完全であっても何らかの描像を見つけ出すことこそ、物理学の主眼であるという立場だ。
1920〜30年代、量子力学を築いた科学者たちは、実在論と反実在論とに二分したのだという。
著者もそして多くの科学者たちも、アインシュタインと立場を同じくしている。曰く、「とにかくそれを理論的に追究してはじめて、広大なリアリティを明らかにする可能性が生まれるのだ。」とても、ポジティブでアメリカらしい。
けれども、三次元の世界で進化してきた私たちの脳は、決して観ることも検証することもかなわないその実在の本質を理解することができるのだろうか?


隠れていた宇宙 (上)隠れていた宇宙 (上)
(2011/07/22)
ブライアン・グリーン

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隠れていた宇宙 (下)隠れていた宇宙 (下)
(2011/07/22)
ブライアン・グリーン

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tag: 早川書房  ブライアン・グリーン  宇宙    宇宙論  実在 
2011/11/08 Tue. 21:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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