Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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二流小説家/ デイヴィッド・ゴードン 

「このミス」「ミステリが読みたい」「文春ミステリ10」の三冠を達成したのは史上初なのだとか。私は、これ大好き!
どうしてエドガーの新人賞がとれなかったの???

この魅力溢れるミステリには、色んな形容詞がつくだろう。超技巧的、エッジィ、シニカル、ユーモア。でも、断言しよう!これは、小説を愛してやまない人のための小説なのである。

さて、本書の主人公は、ハリー・ブロック。ニューヨークのクイーンズに住む、しがない中年作家である。
”アバズレ調教師”のペンネームで書いていたポルノ雑誌が廃刊になったため、以降は、安手のSFやミステリで食いつないできた。近頃は、金の匂いを嗅ぎ付け、ヴァンパイアものにまで手を伸ばしている始末だ。しかし、どれも二流のジャンル小説で、これまで自分の実名で書いたことは一度もない。
ヴァンパイアものの参入にあたっては、名前のみならず顔までも母親に借りている。このジャンルの読者は、大多数が女性で、彼女たちは女性作家が書くヴァンパイア小説しか認めないからだ。母親が他界した今は、教え子のクレアの手を借りて、ハリー自身がカツラと厚化粧とドレスに身を包み、著者近影を凌いでいる。
作家業だけでは食べていけないハリーは、家庭教師もやっている。クレアはその教え子だ。実はハリーは、こう見えてもコロンビアの学位を二つも持っているのだが、子供のクレアには完全に仕切られている。
そんな時、ハリーのもとに一通の手紙が届く。差出人は、なんとかの連続猟奇殺人犯、ダリアン・クレイだ。彼は、12年前、4人の女性を殺害世間を震撼させた「生首男」として知られていた。今は死刑囚監房で執行を待つ身だが、事件に関わる一切の自供を拒んだため、被害者たちの頭部は未だ行方不明だった。
手紙には拙い文章で、「自分はアバズレ調教師”の大ファンなので、ある条件で事件の告白本をハリーに書かせてやってもよい」と書かれている。
告白本の行く手には、間違いなく大金が転がっているに違いない。張り切るハリーだったが…


この物語は、「負け犬の駄目男」が、頭に瘤をつくりながら事件の真相を暴くというものだ。だが、こういうのは別に新鮮というわけじゃない。ダメ探偵の小説は世にゴマンとある。
この本の一番の良さは、売れない小説家ハリーの心情なのだ。ハリーはこれまで食べるために書いてきた二流作品を嫌悪していたが、事件を契機にそれが変化していく。何故、人は小説を読むのだろう?というハリーの内省的な考察は、必ずや本を愛する人の琴線に触れることだろう。
多くの人にとって小説は冒険の旅へと誘う翼である。だが、一部の人にとっては現実逃避の手段なのだ。駄目な自分が自分であることを、つかの間忘れさせてくれる。特定のジャンルを熱狂的に追いかける読者は、得てしてそういった傾向にあるという。ハリーと彼らは表裏一体なのだ。

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クイーンズ出身、コロンビアの学位、ポルノ雑誌のライターといったハリーの設定は、実はそのまま著者のデヴィッド・ゴードン当てはまるのだろいう。実際、この物語は彼がポルノ雑誌に勤めていた時に、大量に送られてくる囚人からのファンレターに着想を得たという。

原題は「The Serialist」で、シリーズもの作家という意味だ。個人的にはやはり邦題よりもこちらのほうがいいかなぁ思う。
それにしても、このデイビッド・ゴードンという人の情報の少ないこと!






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category: コージー・男女もの

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tag: 海外ミステリ  早川書房  このミス  ハリー・ブロック   
2012/03/12 Mon. 16:47 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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