Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

06« 2017 / 07 »08
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

楽園のカンヴァス / 原田マハ 

原田マハ..ハラダマハ..ハダカノマハ..裸のマハ
しかしMoMAでキュレーターとして働いていた経験のある著者が絵画を愛しているのは間違いない。ちなみに実兄は原田宗典氏なのだそうだ。今はなつかしきスバラ式世界…
                               The Dream
 The Dream
さて、本書は19世紀~20世紀フランスの素朴派の画家、アンリ・ルソーの名画を巡るミステリである。
非常に女性受けのする小説だろうとも思う。なぜなら絵画ミステリであると同時に、ほのかな恋愛小説でもあるから。
おしゃれだしね。


今から17年前のある日、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のアシスタントキュレーターをつとめる ティム・ブラウンに一通の招待状が届く。上質の紙に、上品なデザイン、ゴールドのシーリングのその手紙の差出人は、さるコレクター の代理人だった。そのコレクターとは、業界でつとに名を知られるコンラード・バイラー氏で、誰も見たことのない伝説の人だったのだ。
手紙には「スイスの氏の邸宅に来て、ルソーの名作の真贋を調査して欲しい」と書かれてあった。
さっそくバーゼルの富豪の邸宅を訪れたティムは、息をのんだ。目の前にあったのは、ルソーの最晩年の傑作『夢』とほとんど同じ構図、同じタッチの絵だったからだ。だが、『夢』であるはずはなかった。その絵はティムの勤務するMoMAにあるのだから。この絵は『夢を見た』と名付けられていた。
バイラーの屋敷に招かれていたのはティムだけではなかった。もう一人の判定者は、若き日本人研究者、早川織絵だ。
バイラー氏は二人にこう告げる。「ある古書を読み解き、それに基づき『夢を見た』の真贋を判断してもらう。期限は7日間。優れた講評を行った方にこの作品の”取り扱い権利”を譲渡する」と。
だが、この絵には謎が秘められていたのだ…
ティムが古書をめくる瞬間から、ルソーの物語は鮮やかに動き出す。評価されることのなかった不遇の人生、彼のミューズ 唯一彼の才能を見抜いていた大物画家との出会い…
我々は夢の世界で、何かすごいもの、革新的なものが生まれる瞬間に立ち会うことになる。

ルソーは、生前は”日曜画家”などと揶揄され、生きている間は評価されることはなかったという。現在では、ルソーはキュビスムやシュルレアリスムを先取りした独創的な画家として見直されてもいるが、印象派の大家ほどには崇拝されることはない。
今日において、絵画は投機の対象でもある。
バイラー氏の弁護士はこう言う。「私は絵のことは分からないが、資産価値があるのはなんといってもピカソです。」と。
絵画の価値とは、一体なんなのだろう?名画に仕掛けられた謎は、読者にこう問いかける。そしてその真実は、答えは、私たちそれぞれの心にある。

実は、当初は少し物足りない感じが否めなかった。その絵画を巡って誰も死んだりはしない。何か、もうひとひねりあってもいいのじゃないか。綺麗に美しく終わりすぎやしないか。
でも、結局、これはこのままでよいのかもしれない。ルソーには、そういうのは似合わないから。
何より、この小説は、美術館に脚を運ばせる気持ちにさせるのだ。


楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

商品詳細を見る

ノンフィクションの『偽りの来歴』も面白かったです。
関連記事

category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 原田マハ  アンリ・ルソー  美術  絵画 
2012/03/21 Wed. 14:10 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/177-78184ba1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top

RSSリンクの表示

リンク