Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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流血のサファリ/ デオン・マイヤー 

アフリカづいているわけではないが、引き続き、アフリカが舞台のハードボイルドミステリなのである。
著者は「南アのミステリ・キング」と言われるデオン・マイヤー。なかなかワイルドな風貌なオジサン。
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本書はマイケル・コナリーなどの人気作家がこぞって絶賛する作家の日本初上陸作品でもある。
待っていた方も多いだろう。
相変わらず北欧ミステリブームは継続中だが、いい加減に北欧の凍り付いた風景や陰惨な殺人に飽いてきた方もいるのでは?ならば、そろそろ次へ行ってもいい頃ではないか!
ただ、萎えさせるかのような校正ミス(上巻P201,202)には少々がっかり…シッカリ!!!


さて、舞台は南アフリカ。主人公のレマーは、過去に傷害致死の罪で服役経験があり、今はボディガードを生業にしている。
もうじきクリスマスというある日、雇い主のジャネット・ロウからある女性の身辺警護の依頼を受ける。クライアントはエマ・ルルーという小柄な美人だった。上手に隠しはしたものの、彼女はレマーをみてがっかりしたはずだった。なぜならレマーは得に身体が大きくもなく、どこにでもいる男にしか見えなかったから。
ボディガードには二種類のタイプある。ひとつは、「ゴリラ」と呼ばれる、ステロイドで筋骨粒々、見かけだけで抑止力となるタイプ、もうひとつは「ゴースト」と呼ばれるもっと捉えがたい脅威に対処する者だ。実は、この「ゴースト」こそがプロなのだ。彼らは、透明人間のように背景に溶け込み、絶えず周囲を観察し判断することで未知の脅威を防ぐ。しかし、一般の人にはそれがわからないため、彼らは正式に訓練され経験豊富だということをアピールし、納得させなければならない。レマーは、もちろん後者の「ゴースト」だ。
エマは、昨日、自宅で目出し帽をかぶった三人組の男たちに襲われかけたのだという。そしてそのことは、20年以上前に失踪した兄、ヤコブスと何か関係があるかもしれないと思っていた。
襲撃の数日前、エマは偶然テレビで、ヤコブスに似た男を見たのだという。その男はコビー(ヤコブス)という名の過激な動物保護論者で、動物保護地区のそばに住む祈祷師と密猟者を殺した容疑で指名手配されていた。
彼女は、コビーは自分の兄ヤコブスかもしれないと警察に電話で問い合わせたが、三人組の男が襲撃したのはその後のことだったのだ。彼女は、それが無関係だとは思えなかった。そして、どうしてもコビーが兄だという疑いが捨てきれなかったのだ。それを確かめるため、一緒に事件現場にいって欲しいというのだった。
レマーはエマを事件現場の野生動物保護地区に連れていくが、地元警察も、コビーの同僚も口を揃えて、エマの兄とコビーは別人だというのだった。
これといった手がかりもなく、あきらめかけていたとき、二人は何者かに狙われるのだが…
コビーは果たしてエマの兄ヤコブスなのか? 
20年前にヤコブスが失踪した理由は何だったのか?そしてレマーとエマを襲ったのは?



ボディガードが主人公といって思い出すのは、グレッグ・ルッカの『
守護者 』をはじめとするアティカス・コディアックシリーズだ。アティカスはよかった!女性ファンも多かった!
しかし、レマーも負けてはいないのだ。
ハードボイルドの主人公にはよくあるように、彼にも「レマーの法則」という信条を持っている。「その1、誰も信じるな。その2、小柄な女はやっかいごとを招く。」というのがソレである。法則1はともかく2は、レマー曰く、小柄な女は「まぁ、かわいい女の子!」といわれて育つので、自分のキュートさを活かし、人を巧みに操る技術を身につける。そして、華奢で弱いために、それを補うためにいかなる状況もうまく立ち回り、心理的駆け引きにたけているというのだ。
女の私の目からみても、この分析は結構当たっているのではないか!(笑)そして、本書のなかでは「レマーの法則その2」はまさに的中する。

レマーもしくは、マイヤーのこうした観察力は鋭くて、ちょっと笑えたりもする。例えば、「金持ちのアフリカーナー(オランダ系白人)がまず買うのは妻の大きな乳房だ」とか(笑)これは、アメリカ人もあてはまるようだが、彼の観察眼はなかなか鋭く物の見方はユニークなのだ。
「小柄な女」に偏見を抱いているレマーと「小柄な美人」エマのとの関係はいかに?二人の関係と、「ボディガードとしての矜持」がみせる活躍は見せ場である。レマーは自分のことを「特売価格の」ボディガードといって卑下しているが、それはとんでもない話なのだ。

馴染みのない南アフリカを舞台にしているため、社会文化的にも非常に楽しめた。
特に北欧ミステリなどは、社会問題を取り上げるものが多いが、アフリカにもそれは溢れかえっているのだ。



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category: スパイ・冒険・ハードボイルド

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  南アフリカ  デオン・マイヤー    ボディガード 
2012/07/12 Thu. 17:00 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、こんばんは。

> どの作品も部厚くて・・悪い意味で「大味」(冗長)なものばかり。

あはは、でも『湿地』は比較的薄くてフォントも大きめですよ。
ほんとに、文庫で出せっちゅーの(笑)
「湿地」と比べたら、私は断然「流血のサファリ」のほうが好きですね。
でもきっと「このミス」とかには見向きもされないんだろうなぁ...。

私も北欧ものはまだまだ読むと思うのですが、上手くバランスとらないとキツいかなぁとか。
特捜部Qシリーズの「Pからのメッセージ」は評判がいいので、楽しみにしています。
第二弾の「キジ殺し」はトーンダウンし且つ散漫になった感がありましたが、ブラックユーモアも冴えてるのかな?

そういえば、例の版元のヴィレッジブックスですが、「失踪家族」とかミステリもちゃんと出してましたね...。
とってもとっても楽しみになさっている「わたしが眠りにつく前に」、お好みに合えばいいです。

Spenth@ #- | URL | 2012/07/12 Thu. 20:35 * edit *

そうなんですなぁ・・実のところ北欧ミステリに少々ウンザリ気味。
どの作品も部厚くて・・悪い意味で「大味」(冗長)なものばかり。
例えばSpenth@さん絶賛の『催眠』について・・
自分は下巻の半ばあたりから、緊張感が薄れてしまい・・歳の所為か?
後はほとんど確認作業のような感じで頁を繰っていました。
(・・でもまだ北欧産の小説に、興味は失ってはおりませんが・・)。

アフリカが舞台のハードボイルドミステリかぁ・・珍しい。
「血のケープタウン」というタイトルのミステリ、見かけたことあったような。
自分はまだアフリカが舞台のミステリは読んだことないと思います。
(あのクッツェーの「恥辱」はミステリにあらず・・残念)。
この『流血のサファリ』デオン・マイヤー(厳ついオッサン?・・失礼)憶えておきますね。
よい本の情報ありがとうございます。

あと8日かぁ・・ではまた。

nao #6gL8X1vM | URL | 2012/07/12 Thu. 20:15 * edit *

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