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読書日記、ときどき食日記

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食の終焉 ~グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機/ ポール・ロバーツ 

一応主婦であるから、スーパーには頻繁に行くのだが、常に色とりどりの美しい生鮮食品は豊富に整然と並び、お惣菜コーナーもバラエティ豊かに様々なメニューが並んでいる。
デフレの影響もあってか、低価格競争は既に当然のものになってしまい、外食も含めた食の価格は昔に比べ下がっている気がするが一方で、摂取したカロリーを消費しようとする人々で、スポーツジムは大盛況だ。

日本にいると、世界で食料危機が起こっていることなど到底想像できない。
本書は、日本では今年の3月に刊行されたが、ポール・ロバーツが本書「The End of Food」を上梓したのは、2008年のことだ。その間に、世界の人口は70億人を突破したという。そして、そのうち10億人は飢餓状態にあるという。
今日穀物価格は急激に高騰しており、世界は今、食料危機の真っただ中にあるというのだ。

corn_2.jpg「食システム」の危機の要因はいくらでも挙げられるというが、一番の問題点は、自分たちからあまりに遠く離れた経済に、委ねてしまったことにあるとロバーツは指摘する。
「食の経済的価値」と「生物学的価値」を同一視することに疑問を投げかけているのである。
「食システム」は、本書の最も重要なキーワードである。これは、生産、加工、流通、消費といった各段階に分けて考えるのではなく、相互に作用しながら一つのシステムを構築しているという考え方のことをいう。
食品は、今や消費材として流通しており、求められるのは、コストの削減による低価格と均一性と大量生産だ。その結果、生産者は悪循環の罠に嵌ってしまう。生産量を増やせば増やすほど価格は下がるため、さらに多くの量を生産しなければならないからだ。「大きくなるか、やめるか」果ては「順応するか、死ぬか」そうしてサプライヤーは集約されていく。
訳者は解説で「グローバリゼーションは誰も幸福にしない」といっているが、結局、これが、資本主義の行き着く先なのだと実感してしまう。
今日、穀物業界はわずか5社の超大手が牛耳っており、そのうちの1社が独占しつつあるという。「つねに1人の資本家が多くの資本家を滅ぼす。」まさにマルクスの予言そのままなのだ。

加えて、膨大な人口を抱えるアジアの、とりわけ中国人の食生活は欧米化しつつあるという。中国が欧米並みの食生活になるということは、肉食が爆発的に増えるということを意味する。そして、牛肉を1ポンド増やすために必要とされる飼料(穀物)は、7ポンドにも及ぶのだ。
今後は、ますます穀物量の増加が望まれるようになるだろう。しかし既にその生産能力は既に限界をむかえているとも言われているのだ。耕作可能地にはもう余裕がなく、テクノロジーを駆使しても収穫効率も頭打ちの状態だという。生産の継続性すら危ぶまれているのだ。
そして、既に穀物供給料が限界に達している状態で、膨大な数の人々が食の連鎖の上位を目指そうとしている。
もしも今、世界の国の食肉消費量が、肉食大国たるアメリカ並みになったなら、養えるのはわずか26億人にすぎないだという。

マルサスは『人口論』のなかで、食料供給が増えれば増えるほど人口は増え、やがて供給は人口増加に追いつかなくなり、人類は破滅すると述べている。
彼の予言は、一度は「緑の革命」によって退けられたが、将来はどうなのだろう?
日本はそのときどうなっていることだろう?
これらの危機を救う有効な手段は、見つからないかもしれない。



食の終焉食の終焉
(2012/03/09)
ポール・ロバーツ

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category: ノンフィクション・新書

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 食料危機  グローバル経済   
2012/08/15 Wed. 15:52 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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