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読書日記、ときどき食日記

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ミステリーベスト10 国内篇 

週刊文春は毎年年末にその年度に刊行された中から、ミステリーベスト10を選出しているが、それとは別で”東西ミステリーベスト100”というものがあるのをご存知だろうか。
こちらは刊行された年代を問わず、国内、海外のオールタイムベスト10を大規模にアンケートをとって集計するもので、前回は1985年に発表された。その”東西ミステリー100"を、このほど27年ぶりに改訂するという。
横浜ミステリー読書会の繋がりで、私もそのアンケートに参加させていただくことになった。

さて、どの本を選ぶべきだろう?と、USオープンの最中つらつらと考えていた。
基準は人それぞれだと思うが、ミステリー性に拘らず広義のミステリーの中から、"今、選ぶ"ということを念頭に選んでみた。


1位『砂の器〈上〉〈下〉』松本清張

小泉純一郎が首相時代、ハンセン氏病国家賠償訴訟の控訴断念を決断したのは、まだ記憶に新しい。少なからずこの作品の影響されたのだという。繰り返し映像化されたことによる影響は大きい。この問題を映画で知った人も多いだろう。これこそが、社会派たる松本清張の本懐だろう。



2位『占星術殺人事件』 島田荘司

別格の本格推理作品。40年以上前に残された人体合成によるアゾート制作の妄想録と、それを具現するかのように起きた連続殺人事件の謎に御手洗潔が挑む。後にこのトリックは某漫画で流用されたほど。猟奇的雰囲気、凝った構成、天才と凡人のすれ違いの会話の妙等、その魅力はトリックのみにあらず。




3位『犬神家の一族』 横溝正史
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これも繰り返し映像化されてきた名作。しかし、原作のほうが数段おどろおどろしい。当主佐兵衛の理不尽な遺言が契機となって起こる連続殺人は、派手でビジュアル的インパクトが強烈。佐清の白いゴムマスクとともに恐怖をあおる。佐兵衛翁の過去、家宝に見立てた殺人、絶世の美女のヒロインなどキャッチーな要素も盛りだくさん。複雑な血縁関係とそれが織りなす人間ドラマと悲劇性が色濃く描かれている。



4位『ガダラの豚』中島らも

超能力、新興宗教、アフリカの呪術を扱いながらも、端々に笑いの要素をも入った圧倒的スケールのエンターテインメント。相当ハイな状態で書き上げたのだろうと思わせるほど、尋常ならざるパワーがこの本にはある。単行本にして598ページ(二段組み&フォント小さめ)というボリュームなど何のその。




5位『火車』 宮部みゆき

当時出版されるや口コミで火がついたのを記憶している。日本における失われた時代の初期に、多重債務という題材を選んだと、筆致の緻密さに驚いた。新城喬子とは果たしてどんな人間なのか、どんな人生を歩んできたのか、彼女自身には一言も語らせることなく、読者に指し示す。社会派であり優れたノワール。




6位 『容疑者Xの献身』東野圭吾

「ガリレオ」シリーズの最高傑作。不遇の天才数学者・石神が示した愛に驚く。単に哀しい純愛ミステリーで片付けてしまうには余ある何かがあった。「純粋なるものを、私は恐れる」というバスカヴィルのウィリアムの言葉を思い出す。ガリレオこと湯川との天才対決も見所のひとつ。




7位『魍魎の匣 』京極夏彦

京極堂シリーズの最高傑作。敢えて分冊しない正方形の箱のような文庫は「ほぅ」とつい声がでるほど。『匣の中の娘』という作中小説と美少女失踪の謎が、おなじみ「憑き物落とし」によって科学的帰結をみる。とにかく長過ぎるという意見は、私は受け付けない。蘊蓄もまた楽し。




8位『ワイルド・ソウル』垣根涼介
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著者の南米三部作の最高峰。戦後のブラジルへの移住政策のツケを日本政府に払わせようという復讐譚だが、もたられるカタルシスが心地よい。骨太な文体で綴られるのは確かにクライムサスペンスなのだが、決してダークではない。南米独特の博愛精神とある種の諦念が感じられる。ブラジル20都市とコロンビアを旅した著者の経験は、物語に存分に生かされている。



9位『新宿鮫』 大沢在昌
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これほど長く続き、かつ人気が落ちないシリーズもないのではないか。『絆回廊 新宿鮫Ⅹ』と迷ったが、ここは原点に敬意を表した。キャリアでありながら一匹狼の現場刑事という主人公鮫島の特異な設定とキャラ、重すぎない筆致は、それまでの刑事小説の概念を変えてしまった。




10位『悪の教典 上・下』貴志祐介
 

誰しも心のどこかで「性善説」を信じたいと思っているものだが、貴志祐介はその幻想をぶち壊す。一見爽やかな好青年である蓮見は、生まれながらの悪である。いささかの同情の余地のないサイコパスを、ここまで忠実に描いた作品は初めてかもしれない。




近年、国内ミステリーはあまり読んでいないということもあり、リストアップにあたっては、衰え切った記憶力との戦いだった。多分、漏れもたくさんある。それから、順位は大きい声ではいえないが、あってないようなものに近いかも。
改めて、本棚(というかひと部屋まるごとカオス化)をなんとかせにゃいかんと実感した。絶対あるはずなのに発掘できない...。それに、あの部屋に居るとき地震が来たら、間違いなく死ぬことになる。

ベスト10には入れなかったけど、高橋克彦の『写楽殺人事件』 や、首藤瓜男の『脳男 』、医療系サスペンスでは、帚木 蓬生の『インターセックス』、海堂 尊の『チーム・バチスタの栄光』のシリーズもよかった。
最近のものでは、湊かなえの『告白』も印象深い。これは売れに売れたから、もしかしてランクインしてくるかな?

さて、皆さんのベスト10は?
海外編はまた後日。
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category: 雑談その他

tag: 国内ミステリ 
2012/09/14 Fri. 12:10 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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