Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

04« 2017 / 05 »06
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

ミステリーベスト10 海外編 

1位『薔薇の名前〈上〉〈下〉』ウンベルト・エーコ

エーコ風にいうならば、「1位だ。当然のことながら。」というところ。「反キリストは他ならぬ神への過多な愛から生まれてくる」というかつては異端審問官だったウィリアムの言葉が心に残っている。エーコの叡智と哲学が詰まっているこの作品は、何度か読み直しているが未だ感慨深い。



2位『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下』スティーグ・ラーソン
51A8Ezs4l6L.jpg51pgxeqQGdL.jpg

ミステリ史上最も魅力的なヒロインたるリスベットを生み、北欧ミステリを世界的に知らしめた作品。できれば、三部作を一作品としランクインさせたい。リスベットの複雑にして特異なキャラクター、豊かな福祉国家たるスウェーデンの社会問題、著者の反体制的視点等々、語り尽くせない魅力に溢れている。



3位『羊たちの沈黙』 トマス・ハリス
516ENWR6GV.jpg
サイコミステリーの原点にして最高峰。以降、レクター博士はサイコパスの代名詞ともなった感がある。ただ単に猟奇殺人を扱うのみならず、元精神科医の犯罪者の助けを借り、トラウマを持つFBI訓練生が捜査をするという設定も秀逸。
余談だが、私は菊池訳は悪くないと思うし、そもそも当初担当編集者は日本語版刊行にあたり、ハリスらしさという見地から菊池氏に依頼したのではないかと思うのだが、どうだろう...?



4位『長いお別れ』 レイモンド・チャンドラー
もはや説明不要のハードボイルドの金字塔。
村上訳も悪くはないが、チャンドラーは清水訳に限る。翻訳ものは訳者に大きく左右されるものだが、世の男性をチャンドラーにかぶれさせ、マーロウのwisecrackを気取らせたのは清水氏の翻訳によるところが大きいともいえる。

そういえば、萩原浩の『ハードボイルド・エッグ』もマーロウかぶれ。




5位『チャイルド44 上下』トム・ロブ・スミス
これもまた三部作全てをランクインさせたいところ。実在の連続殺人犯チカチーロを題材に、時代設定をスターリンの恐怖政治下のソビエトに移して作り上げたトム=ロブ・スミス渾身のデビュー作。「社会主義国家に連続殺人は存在しない」という不条理のなか、殺人事件を追う主人公の捜査官レオは自らも国家の標的とされてゆく。圧政下における人間の描写は圧巻。



6位『少年時代 上下』ロバート・マキャモン
51xfa47.jpg51Xfa48sGnL.jpg
アメリカ南部の田舎町に暮らす12歳の少年コーリーの物語。親友との冒険、父子の情愛、いじめっ子との対決、愛犬と友人の死、等々がしっかりと描かれ、殺人事件の謎解きはむしろその一部といってよい。だが、子供の目からみた世界こそが驚異に満ちたミステリーでなかろうか。誰しもが持っていたはずの想像力という翼を与え、魔法の力を信じさせてくれる珠玉の作品。



7位『シブミ 上下』トレヴェニアン
暗殺者ニコライ・ヘルの出生の秘密と戦時下の上海・日本での青春時代を描いた冒険活劇。だが、単なる冒険小説の類いにあらず。「シブミ」とは、ありふれた外見の裏にひそむ極めて洗練されたものを示すという。著者の侘び寂びといった日本人独特の美意識の見解は驚くほど。トレヴェニアンと、この素晴らしい本に相応しい名訳を与えてくれた菊池氏に感謝を。



8位『ウォッチメイカー 上下』ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズの第7作目。まさに精密機器のごとく精緻に、かつ重層的に構成されている作品。序盤に「意外に詰まらないな」と思ったならば、もうディーバーの術中に。代名詞たる「どんでん返し」には、わかってはいてもしてやられる。刑事としての独り立ちするアメリアの成長も魅力のひとつ。



9位『ストリート・キッズ』 ドン・ウィンズロウ

プロの探偵に才能を見出され探偵となった元“ストリート・キッズ”ニールのひと夏の活躍を描く。内面のナイーブさを減らず口と斜に構えた態度で隠すニールの魅力がたまらない。拾ってくれたお父さんグレアムの情愛、孤独な家出娘アリーへの複雑な想いも物語を彩っている。軽快にして洒脱、それでいて切ない。まさに「Cool Breez」を感じさせるウィンズロウの原点。




10位『二流小説家 』ディヴィド・ゴードン

負け犬の二流小説家ハリーが、頭に瘤をつくりながら事件の真相を暴くドタバタ劇。作中に挟まれるSF、ポルノ、ハードボイルドといったハリーのジャンル小説もまた楽し。だが、事件を契機に変化していく小説家としてのハリーの心情は、必ずや小説好きの琴線に触れるはず。これは世の数多の小説を愛してやまない人のための小説である。




え〜!どうして国内で横溝とか選んでるくせに、海外ものにカーとかクリスティとかがないの?と思われるかもしれない。それはですね、好みの問題もあるのだけど、古典ものは"マニア"の方々がこぞって投票するだろうから、私は別にいいかなと思って(笑)
スケキヨ(というかスケキヨに成りすました白マスク野郎だけど)は、単に好きなんですよ...。



結果は、11月下旬に「(仮題)臨時増刊・東西ミステリーベスト100」として発売されるそう。果たしてどんな作品が上位にくるのか、楽しみ〜!

関連記事

category: 雑談その他

tag: 海外ミステリ 
2012/09/15 Sat. 10:21 [edit]   TB: 0 | CM: 6

go page top

この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

ありがとうございます。
おすすめの『ザ・ポエット』早速Amazonでポチってきました!
コナリーの犯罪小説、楽しみです。
ただ、秋は刊行される本が多くて、夏の読み残しもあるし、読むのが大変そう(笑)

Spenth@ #- | URL | 2012/09/18 Tue. 08:06 * edit *

度々すいません。
マイクル・コナリーを未読と聞いたものなので
ボッシュシリーズや『真鍮の評決』もおもしろいけれど

是非『ザ・ポエット』を読んでみてください。
絶対に嵌るから!!
また感想聞かせてください。
では、また

アラフォーおやじ #- | URL | 2012/09/17 Mon. 18:26 * edit *

Re: タイトルなし

アラフォーおやじさん、お久しぶりです。

> 私的には何故、マイクル・コナリーやジョン・ル・カレ が入らないのか不思議でたまりませんね

素人の好みなので、許してください(笑)

コナリーは、実は私は未読なんですよ。
大御所なのに...。弟子の作品は読んでるんですけど。
次回の読書会の課題になっているので、ようやく『リンカーン弁護士』を読み始めたところです...。
ル・カレは、新訳版ではなく菊池版の『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』でちょっと迷いました。

> お薦めの『わたしが眠りにつく前に』は久々におもしろかった。
日本ではあまり話題になってないけど、私もこれを読んだときは、久しぶりにわくわくしました。

Spenth@ #- | URL | 2012/09/16 Sun. 22:18 * edit *

先日は大変失礼しました。
私的には何故、マイクル・コナリーやジョン・ル・カレ
が入らないのか不思議でたまりませんね

国内では打海 文三の『ハルビンカフェ』
ちょっとマニアックでしょうかね
お薦めの『わたしが眠りにつく前に』は久々におもしろかった。

アラフォーおやじ #- | URL | 2012/09/16 Sun. 20:56 * edit *

Re: お帰りなさい!

naoさん、こんばんは。

乱歩は読んだのがあまりに昔なので比較のしようがなく、絶対外せないといえば、清張の功績と、平成本格時代を招聘した『占星術〜』、やっぱり”大極宮”&東野ははずせないだろう、とかでこうなりました。
テニスにかまけていたので、締め切りが迫ってたし(笑)

宮部みゆきの『ソロモンの偽証』三部作、私も楽しみです。長編ミステリーは久しぶりですよね。
もう一生食っていけるだけ稼いでるので、ミステリーは書かないのかと思ってた。

『ジェノサイド』は、近年では面白かったですよ。
ただ、これを入れるのなら瀬名秀明の『パラサイト・イブ』のほうがという気もして...でも『パラサイト〜』はSFホラーだよな、とか(笑)
広義といえば、極端な話、どんな小説でもミステリーだといえるので、どのジャンルか、というのは難しいところですよね。

海外では、やはり「薔薇の名前」強しですよねぇ!
チャンドラーはもはや殿堂的存在というか。
まぁ、私の場合、『薔薇〜』以外の順位はあってないようなものです(笑)

Spenth@ #- | URL | 2012/09/15 Sat. 20:06 * edit *

お帰りなさい!


(ショック・・せっかく書いた長文力作?のコメント・・消えてしまいました。ガッカリ)。
なので、短く・・。
ミステリー・ベスト10、国内・国外篇興味深く拝見しました。
国内篇では・・
『火車』宮部みゆき(ウワサのソロモンの偽証三部作凄そう?)
『魍魎の匣』京極夏彦(自分は巷説百物語の方のファン)
海外篇では・・
『薔薇の名前』エーコ(自分もベスト1です)
『長いお別れ』チャンドラー(ほぼ1位と差のない2位、Spenth@さんの寸評にまったく同感です!)
以上、上記二作品ずつ自分の思う作品と重なりました)。

そう・・「新宿鮫」の評の部分で、「絆回廊」(未読)かなり高評価の様子。
昨年、自分の読んだ国内ミステリは、どれも酷いシロモノばかりであったので、読むのをやめておりました(「ジェノサイド」は未読)。
しかし大沢親分のこの鮫・・読まなくちゃ。

今『湿地』読んでおります(いい感じ!)。
明日から『わたしが眠りにつく前に』読む予定です。
またいろいろおもしろい本のこと教えてください!

nao #6gL8X1vM | URL | 2012/09/15 Sat. 18:58 * edit *

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/198-e3366cb7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top