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読書日記、ときどき食日記

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ザ・ポエット / マイクル・コナリー 

結局、コナリーのことはコナラーに聞けで、本書はコナラーの読者の方が強く推薦するノン・シリーズの作品なのである。
私が読んだのは『リンカーン弁護士」と『真鍮の評決』のみであるので、比べるのもどうかと思うが、より最近のこれらの作品のほうが、作家としてのキャリアを重ねている分、手練てはいる。主人公には華やかな魅力があり、展開はスピーディー、大衆受けもよいことだろう。
でも、こっちのほうが情感があって、私は好みだったかな?

さて、主人公は、ジャック・マカヴォイというデンヴァーの新聞記者だ。殺人事件の良い記事を書くこと、それがジャックの仕事だ。
そんなジャックの元に、二人の刑事が訪ねてくる。それは双子の兄ショーンの自殺を告げるものだった。ショーンは湖のほとりにとめた車のなかで拳銃自殺をはかったのだった。ショーンの妻によると、彼は仕事上の悩みから精神科医にかかっていたという。彼が死の直前に捜査していたのは、ブロンドの女子大生テレサ・ロフトン殺害事件で、死後遺体を二つに切断して捨て置くという陰惨なものだった。
兄の死にジャックは打ちのめされるが、同時に疑問を抱く。車のウィンドウに残されていた遺書とおぼしき言葉が心にひっかかったのだった。
ジャックは兄の事件を記事にしようと独自に調査を始め、新聞社のデータベースからショーンに似たケースを見つけ出す。それは未解決の殺人事件に悩んだことが原因とみられるシカゴの刑事の自殺の記事で、彼もショーン同様、死ぬ間際に遺書を残していたのだった。そして、その遺言の言葉は、エドガー・アラン・ポオの詩の一節だった。
他にも全米各地で、警官の自殺が続いていた。何かが起こっている。ジャックはショーンは自殺ではなく何者かに殺されたのだと確信する。
ジャックの働きかけにより、自殺として処理されていた事件にFBIが捜査に乗り出す。ジャックは解決するまで記事にするのを控えるという取引によって、捜査陣に加わることになる。この謎の連続殺人犯に、FBIはザ・ポエット(詩人)という呼称を与えた。
一方小児性愛者のグラッデンは、遊園地でへまをしでかし逮捕される。グラッデンは、あるルートを通じて弁護士に連絡をとり、保釈金を支払い釈放されるのだが...。

物語は、ジャックとグラッデンの双方向から語られていく。

罠はあまりに周到に用意されているため、読み手は見破ったつもりにはなっても引っ掛けられる。人によっては、最後のサプライズは余分だというかもしれない。私もちょっと苦しい部分があるかなとも思う。サービス精神が旺盛というか、コナリーはどうもダブルツイストがお好きなようだ。
しかし、本書の醍醐味は、犯罪小説としてのクリミナル・マインド的世界観の描写にあるのだろう。


       


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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ 
2012/09/26 Wed. 23:17 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

ありゃ、知らないうちにアップされてたみたいです(笑)
ちょっと修正したけど、ま、いっか。ということでお許しを。

おっしゃる通り、こちらのほうが断然読み応えがありました。
コナリー自身が投影されていることもあるのでしょうね。

> コナラー歴は比較的浅く、フォーサイス、ル・カレ マニアでもあります。
F.フォーサイス、懐かしいですね〜。『騙し屋』『売国奴の持参金』とか昔、嵌りました。
もしかして八重洲のサイン会とかに駆けつけられたのでしょうか?

> きっかけで老子に行き着き、どういう訳か中原中也詩集に嵌ってます。
すごい。本格的ですね。
私は老子、いまいちよくわからんのですよ(笑)
哲学本、実はあまり読んでないのですが、最近思うのはポピュラーサイエンスは真逆のようでいて実に哲学的だなぁということくらいで。

Spenth@ #- | URL | 2012/09/26 Wed. 09:04 * edit *

コナラーとしてはレビューを読んで『ほっ』としております。

コナラー歴は比較的浅く、フォーサイス、ル・カレ マニアでもあります。
最近はspenth@さんが以前紹介された『哲学者とオオカミ』が
きっかけで老子に行き着き、どういう訳か中原中也詩集に嵌ってます。
それまでは、ベンチプレスの挙上重量を競うような趣味しかなかった
おやじが詩集(笑)ですからね、こちらの読書日記に感謝しております。
哲学書で面白い本があればまた紹介してください。

アラフォーおやじ #- | URL | 2012/09/26 Wed. 07:36 * edit *

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