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読書日記、ときどき食日記

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毒入りチョコレート事件 / アントニイ・バークリー 

次回の横浜翻訳ミステリー"スピンオフ”読書会は、A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』なのである。どっかにあったはずなんだけど…と探してみたが見つからず、結局Amazonで購入してしまった。
年末の大掃除の時くらいに出てくるのだろうとけど、やっぱり普段から整理整頓しなくちゃなぁ…

さて、非常に有名な本なので今更だが、都合上一応概略を説明しておくと、
103181590.jpgピカデリーにある名門クラブのユーステス卿宛に、新製品のチョコレートを試食してほしいという手紙とチョコレート一箱が送られてくる。
ユーステス卿は、「こんな下世話なものをこんなとこに送りつけるとは何事だ!」と激高するが、そこに居合わせたペンディックスがちょうどチョコレートが入り用だいうことで、それを譲ることにした。ペンディックスはそれを自宅に持ち帰り妻と試食するが、それには毒が仕込まれていたのだった。ペンディックスは一命を取り留めるが、妻は死亡してしまう。
スコットランド・ヤードはこの事件にお手上げだった。
そこでロジャー・シェリンガムが誇る”犯罪研究会”のメンバーが、事件の真相に挑むこととあいなったのだった。ロジャーを含め、会員たちは有名弁護士、女流劇作家、閨秀作家に推理小説家と知名の士ばかりで、唯一無名の徒はチタウィック氏だけだ。
彼らはそれぞれ独自に調査を行い、籤引きで決まった順番に一晩づつ、その推理を披露していくことになったのだが…


"犯罪研究会”のメンバー6人が6様の推理を展開していくのだが、一晩に一人づつの発表であるので、後になるほど有利になる。しかも、最後に発表された推理すら正解かどうかが曖昧にされているのだ。
このとこから、本書は、従来の探偵推理小説に対する批判を内包しているアンチミステリーであると言わていれる。
これがWikiをはじめとして大方の見解だが、改めて読み直してみれば、バークリーはそこまで意図せず、一応は"本格"の枠のなかで書いたのではないかという気がしてしまう。

私は、"この小説における"一応の真相は示されていると思うのだ。
ただ、その一番の拠り所が犯人の心情にあるために、実証できないというだけなのじゃないだろうか。かなり分かりにくいものの、伏線らしきものも一応は用意されている。
だからこそ、バークリーは、ーこんどばかりは彼も当たらなかったのでーという言葉とともに、本書を数学者の弟へ手向けたのではないかと思うのだが…

Edmund Clerihew Bentley   Dorothy Leigh SayersAnthony Berkeley Cox 22.34.49
John Dickson Carr
Agatha Christie1Freeman Wills Crofts1

ちなみに、本書本書には元となった短編『The Avenging Chance-偶然の審判』があり、こちらはシェリンガム一人の推理から成っている。この短編はアンチミステリなので、だからこそ『毒チョコ』では少々違うことをしてみたのではないだろうか。
『毒チョコ〜』にも登場するベラクル・ラ・マジレ夫人(短編では名前がヴェレカー・ル・フレミング夫人になっている)はこの短編にも登場しているのだが、長編とは少々異なる彼女の役割にも注目されたい。

それにしても、バークリーはシェリンガムに冷たい!、と思っていたが、それはシャーロック・ホームズに代表されるような天才的名探偵の否定という皮肉な役割のためばかりでもないようだ。
ロジャー・シェリンガムというキャラクターは、バークリー本人の投影かと思いきや、彼が昔知っていた無礼な奴がモデルなのだそうである。

ところで、本書の解説で杉江氏は、バークリーの女性描写に「同性愛者だと思っていた!」と言っていたが、私もそうだと思っていた!ベンディックス夫人や、アリシア・ダマーズをみてるとそう思えるのだ。
しかし、実際はバークリーには二度の結婚歴があったというから違うのだろう。
やっぱり「静かな河は流れが深い」のだった。

毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)
(2009/11/10)
アントニイ・バークリー

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世界短編傑作集 3 (創元推理文庫 100-3)
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tag: 海外ミステリ  古典   
2012/10/26 Fri. 18:23 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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