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読書日記、ときどき食日記

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アルカトラズ幻想 / 島田荘司 

サンフランシスコ沖の監獄島、アルカトラズ。絶海の孤島というロケーションもさることながら、建物は堅い岩盤上に建ち、地下を掘ることは困難、加えて周囲の海には、サンフランシスコ海流が流れ込んでいるために、水温が極端に低く流れは速く、鮫もいるため脱獄不可能と言われていた。
Alcatraz1.jpg
タイトルに「アルカトラズ」がつき、帯のキャッチには、”「本格」の新地平を切りひらく「超本格ミステリー」”という文字。
もうそう来れば、脱出不可能なアルカトラズを密室に見立てるHow done itと想像してしまうのも仕方ない。
けれど、本書はいわゆる「本格」ではないんだな。これが…


「占星術〜」のような「本格」を期待した本格マニアは、がっかりするかも。しかし「新地平」って、一体何?

さて、ストーリーだが、舞台は1930年のワシントンDCである。
ジョージタウン大学脇の森で、股間から臓器を垂れ下げた女の遺体が発見された。両手首と首を紐で木に固定され、吊るされたその遺体は、女性器がグルリと鋭利な刃物によって切り取られていた。娼婦が被害者で女性器が損壊とくれば、すわ、切り裂きジャックの再来かと地元マスコミはざわめき立った。そして時をおかずして、第二の遺体が発見されるのだった。
そんな中、ある論文がこの連続殺人事件と関連しているのではないかという情報が寄せられる。この「重力論文」は、恐竜の考察に端を発し、地球上の引力に変化があったという仮説が論じられており、猟奇的な犯行は、その仮説を証明するためのものだというのだ。
論文を書いたバーナード・コイ・ストレッチャーは逮捕されるが、彼は精神病院に送られた後アルカトラズに収監される。バーナードは、はからずも脱獄を企てる囚人たちの仲間にされるが、脱獄劇は失敗、他の二人は射殺されてしまう。彼自身も意識が戻った時には異世界に迷い込んでしまっていた…


Trex.jpg冒頭、読者の気持ちを掴む握力はさすが。猟奇的なお膳立ては「重力論文」の披露のため布石で、ひいては読者をアルカトラズへと誘うためのものだ。
色々と盛り込みたいという気持ちが空回りし、多少というか、かなり強引な展開であることは否定はしない。細部にも所々破綻がある。だが、それはもはや島荘のお約束のようなものだ。
そんな中でも「重力論文」は興味深かった。恐竜の謎というのは、多くの読者にとっても魅惑的なのではないだろうか。私なんて、このために日経サイエンスのバックナンバーを取り寄せちゃったもんね。
しかし、「写楽〜」では写楽のミステリーが小説に上手く嵌ったが、今回はかなり微妙では???

バーナードがいる異世界とは一体なになのか?
アルカトラズで囚人仲間が話していた体験談は、表紙のイラストとも相俟ってミステリー性を高めてくれるが、このオチはファンには予想がつくことだろう(笑)


アルカトラズ幻想
アルカトラズ幻想

(2012/09/23)
島田 荘司

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category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 島田荘司  恐竜学  アルカトラズ  パンプキン 
2012/11/29 Thu. 21:03 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: 島田装置発動!

> この奇想小説、Spenth@さんがおもしろく読んだという事実、
> そのことを留めておくことにします。

えーと、でもやっぱり「アルカトラズ幻想」というよりは「パンプキン妄想」で、
おハナシとしてはかな〜り破綻してますですよ...。

島田荘司というのは面白い人で、失敗してもネタになるんですよ。
「尊敬してます!」とかいうファンには怒られちゃいそうですが...。

でも、そういう魅力ってありますよね?
「歌野正午」は二度と買わなねー!と思ってますが、島田荘司は「やらかしちゃっても」許せるというか。

「重力論文」は、半分以上恐竜の大きさの謎について書かれており結構面白いです。
島田荘司は独自に考えたと言ってますが、同じような説は他にもあるみたいです。(笑)
これがもう少し活かせたら、よかったのになぁ!

Spenth@ #- | URL | 2012/11/29 Thu. 23:37 * edit *

島田装置発動!


ん!?・・・・ん?・・・・・???
そういえば島田さんは奇想逞しいヒトでもあったなぁ・・。
本作の物語の重心(中心)がどこにあるのか(いくつもあるのか)、
フシギな・・としか形容できないミステリ(?)ですなぁ・・。
「猟奇ミステリ」と「脱獄サスペンス」と「幻想(夢想)小説」の融合
・・するのかな?

記事にもありますが、やはり気になるのは「重力論文」(読みたい!)です。
あと「地球空洞説」(?)・・アイスランドにあるとかいう穴の話、読んだコトあるような。
この奇想小説、Spenth@さんがおもしろく読んだという事実、
そのことを留めておくことにします。

島田親分・・「本格」とは「驚きを演出する人工的な装置」か・・ナルホド。
(「本格」とは、などと限定せずとも、「小説」それ自体そうしたものだけれど・・)。
「装置」言葉から、ふと「斜め屋敷」が頭に浮かびました。
やっぱり親分のものでは未読の「写楽」が気になります(読む予定ですが)。
またおもしろい本紹介してください!

nao #6gL8X1vM | URL | 2012/11/29 Thu. 23:10 * edit *

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