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読書日記、ときどき食日記

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バーニング・ワイヤー/ ジェフリー・ディーヴァー 

ディーヴァーの新刊がでた!!!

ディーヴァー作品といえば、「どんでん返し」が一番に思い浮かぶが、実はその魅力は悪役にこそあるのだと思う。
そして、シャーロックホームズに、モリアーティ教授が必要とされるように、リンカーン・ライムには、ウォッチメイカーが必要なのだ。

6439269-antique-pocket-watch-on-vintage-newspaper.jpg我らがリンカーン・ライムは、仕事中の事故で脊椎を損傷し、首から下がほとんど動かせなくなった元科捜査官である。今はコンサルタントとなり、公私元にパートナーであるアメリア・サックスが彼の手足となって現場に赴き、目や耳の働きをしている。

そして、ウォッチメイカーとは、ご存知『ウォッチメイカー』で登場したライムの仇敵である。機械式時計の製作を趣味とし、それと同様の精密さをもって計画を練り上げるプロの犯罪者だ。すんでの所で、逃げおおせた彼の再登場を願っていたのは、私だけではないはず。実際ウォッチメイカーは、最もファンレターの多い悪役なのだという。
本書では、そんなディーバー史上最も完成された知能犯のウォッチメイカーが再び登場している。

electrical explosionさて舞台は、世界で最も貪欲に電気を貪る街、ニューヨーク。
57丁目のバス停で最後の乗客が乗り込んだその瞬間、閃光が走り、あたりは轟音と業火にのまれた。何者かが市内の4つの変電所をハックし、全電力を57丁目の変電所に集中させて放電したのだ。死者1名、ガラスの破片によって多数の人が怪我を負った。
ハックされた変電所を所有する電力会社アルゴクイン社は、大量の化石燃料を燃焼させて二酸化炭素を排出しており、現CEOは再生可能エネルギーに前向きではなかった。この事故は環境テロリストの仕業によるものなのか?
事故を受け、ライムの元にFBI、国土安全保障省や市警の面々が駆けつける。市警は四肢麻痺の科学捜査顧問リンカーン・ライムにこの事件のタクトを預けたのだった。
一方で、ライムは、”ウィッチメイカー”の新たな情報を掴んでいた。ウォッチメイカーは今、メキシコシティで新たなターゲットを得て犯行に至らんとしていたのだ。
ライムは、市バスの事故現場にアメリア・サックスとルーキーのプラスキーを向かわせるが、収穫はないに等しかった。
そんな中、アルゴクイン社のジェッセン社長に犯人から脅迫状が届く。それは、ニューヨーク市内全域の電気供給を半分に落とさなければ、また事故を起こす、というものだった。
万一そんな事態になれば、ニューヨークは大停電になり損害は膨大なものになる。犯人はいわばニューヨークを人質にとったのだ。
犯人は単独犯なのか、複数犯なのか、目的は何なのか。
具体的なことは未だ不明で、脅迫状の期限が刻一刻と近づいていた…


jeffery-deaver.jpgリンカーンライムシリーズもはや9作目。最も人気あるこのシリーズにも、ついにエンディングの足音が聞こえ始めた。

アメリアをはじめ介護士のトム、ルーキーのプラスキー、FBIのデルレイのオールキャストが集結したこの物語は、登場人物それぞれが物語を持ち、葛藤を抱えているゆえに読みどころも多い。今回、定番ともいえるアメリアとライムのやり合うシーンは見られず、彼女は脇に回っている。その代わり、最新の捜査法に自分の居場所を失ってしまうデルレイの物語には、共感する人もいるだろう。

が、主役はやはりライムその人。『ウォッチメイカー』は、アメリアの成長を描いた作品だったが、本作はそれと対をなすかのようにライムが成長する物語なのだ。

ただ、従来のディーヴァーに比べれば「ちょっと、ドンデン、足りないんじゃないの?」という声も聞こえてきそうである。そういう意味では、実際ディーヴァー作品のベストではないかも。
しかし、ディーヴァーは「どんでん返し」のみの作家ではないし、毎回、時事にタイムリーなモチーフを取りあげ、作品に取り込む力、訴える力を持っていることにも斟酌されたい。
それより残念だったのは、今回ウィッチメイカー君にしては少々お粗末だったことだ。(本当に何やってんだか!)
本当のエンディングまでにもう一度は我々の前に姿を現してくれることを期待したいと思う。


バーニング・ワイヤー
バーニング・ワイヤー
(2012/10/11)
ジェフリー ディーヴァー

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今年も一年ありがとうございました。
皆様、よいお年を!!!
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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  このミス  ウォッチメーカー 
2012/12/31 Mon. 12:08 [edit]   TB: 0 | CM: 4

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この記事に対するコメント

Re: あけましておめでとうございます!

naoさん、あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!

ディーヴァーは多作なので、うっかりしてると未読作品が溜まってしまいますよね。
しかし、結構皆、ディーヴァーへの評価は厳しめだと思うのですが、
私は、ディーヴァーはやぱり凄い!と思っています。
あれほどのペースで書いていながら、同じネタっていうのはないでしょう?
そればかりか、いつもタイムリーな時事ネタに目を光らせ、それを”みっちり”料理して出してくる。

> 今回は環境テロがテーマとか(?)・・クライトンの先行した小説をチト連想。
ところが、”環境テロ”ではないんですよ。
などとネタばれしちゃったりして、ごめんなさい。
本作は、少々ディーヴァーらしくない仕上がりですが、ライムシリーズの大きな特異点といった所でしょうか。

> 今年読む最初のミステリは「無罪」(図書受取可)になりそうです。
> ・・年末は和モノ「眩人」(遣唐使)清張、「少年讃歌」(遣欧使節)三浦哲郎など、

うわぁ、シブいラインナップ!
私は...実は年末はタチの悪い風邪で何日か駄目にしてしまって、読書どころではありませんでした。
naoさんも、風邪にはお気をつけください。

私は今年は、昨年手を出してしまったR.ボラーニョ作品に行ってみたいな、と思っています。
結構好きな作風ではあるのですが、果たして読みこなせるかな(笑)

Spenth@ #- | URL | 2013/01/02 Wed. 13:06 * edit *

おめでどうございます。

アラフォーおやじさん、
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
よい年になればいいですね。

> 最近は未読のうちに更に本を購入→放置の悪習慣が続いてたので
> 正月はまとめ読みです。

私も、そのつもりだったのですが、放置のままで(笑)
そうそう、おすすめの『CIAザ・カンパニー』も購入しましたよ!

> ところで『毒の目覚め』S・J ボルトン著は読んだ?

実は昨年の未読です。読むつもりで、ずっと手元にはあったのんですけど...。
この作者の『三つの秘文字』を一昨年だったかな、読んで、私は嫌いじゃない系統の作家でした。
この作品でCWAを受賞しているので、こちらのほうが出来は良いのでしょうね。
確か「このミス」でもトップ10こそ逃したものの、12位かなんかじゃなかったかな。

> どことなくS・Jワトソンに似てる 

そもそも名前も似てますし(笑)
それに同じ英国の作家ですからね〜。
こういうテイスト、私も好きです。
私は現代英国のいわば王道だとも思うのですけれど、どうでしょうか(笑)

『わたしが眠りに〜』を壁に投げる本だといった方は、S.J.ボルトンの名前にもお顔を歪めてましたから、
受け入れられない人にはとことん駄目な系統なのかもしれませんね。

Spenth@ #- | URL | 2013/01/02 Wed. 12:57 * edit *

あけましておめでとうございます!


ディーヴァー・・読もうと思っているうちに、未読作品が増えてしまいました。
「007白紙委任状」に加えて「追撃の森」と本作「バーニング・ワイヤー」。
(ライムシリーズの新作は久しぶりの様子。そんな感じは持っておりませんでしたが)。
今回は環境テロがテーマとか(?)・・クライトンの先行した小説をチト連想。
けれどそう見せかけて置いて、実はこうなのでした・・というのが
ディーヴァー(らしさ)だからなぁ・・読むのが愉しみです。

今年読む最初のミステリは「無罪」(図書受取可)になりそうです。
・・年末は和モノ「眩人」(遣唐使)清張、「少年讃歌」(遣欧使節)三浦哲郎など、
おもしろく読むことが出来ました(遠い昔<歴史>の物語に浸る)。
今年もおもしろいミステリ他、良書の紹介お願いします。教えてください!
ではまた。

nao #6gL8X1vM | URL | 2013/01/01 Tue. 15:19 * edit *

明けまして おめでとうございます
今年もよろしく

ジェフリー・デイ―ヴァは半年ほど前に
『ボーンコレクター』を購入するも未読でしたは
大ドンデンというとコナリー系?ですかね

最近は未読のうちに更に本を購入→放置の悪習慣が続いてたので
正月はまとめ読みです。

ところで『毒の目覚め』S・J ボルトン著は読んだ?
これおもしろいよ、
Spenthさんのド、ストライクじゃないかな?
どことなくS・Jワトソンに似てる 

アラフォーおやじ #- | URL | 2013/01/01 Tue. 08:30 * edit *

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