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読書日記、ときどき食日記

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村上春樹の新作と、ノーベル賞受賞のためには...? 

iseyamasakura.jpg村上春樹の新作のタイトルが公表された。『1Q84』の時と同じく、タイトルしか情報が与えられていない。
ここ最近の春樹の新刊にはお約束になってきた、最小限の情報しか与えない作戦は功を奏しているらしく、発売はまだ来月なのに、予約だけで既にAmazonではランキング2位になっている(3月25日現在)
ただ、『1Q84』と違って、今回は色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』と、雄弁だ。

ところで、ちょっと以前に横浜市立大学のエクステンション講座で、『村上春樹は三島由紀夫の後継者なのか〜日本文学の現在と未来』というのを受講してきた。春樹が三島文学の後継者か否かについては、ちょっと横に置いておくが、講師の助川幸逸郎氏は、かなりマニアでディープな春樹研究者。PRESIDENT ONLINE でも「村上春樹になってはいけない」という連載をしていらっしゃるので、春樹ファンにはお馴染みかもしれない。→無料で読めます

彼は「春樹作品は、体験型アトラクションだ!」と言うのだが、そうそう、その通りなのだ。うまいこと言うなぁ。春樹作品は、その読み手によって感じるものが異なる。私の感想は私だけを反映するものであり、あなたのものはあなただけを反映している。私とあなたで同じということは、絶対ない。なぜなら、あなたと私は、別の人間なのだから。だから、春樹作品を語るのは、自分を語るということであり、かなり恥ずかしいものになる。ゆえに、絶対的普遍的な解答を求める人には、春樹作品は向かないのじゃないかと思う。

また、彼は、春樹がノーベル賞を受賞するためには「仏教的伝統とつながった作品を書く必要があるのではないか」と考察している。
今回のタイトルは、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』だ。この「巡礼」って、(いわゆる日本的巡礼のことならば)ちょっと仏教色でてきてないですか?

nobel-prize.jpgところで、日本人で、過去ノーベル文学書を受賞したのは、川端康成と大江健三郎だけである。
ノーベル文学賞を非欧州圏の作家が受賞するためには、文章力云々は殆ど関係ない。どうせ翻訳されちゃうんだし、悪文で有名な大江健三郎の例をあげるまでもないが、大切なのは内容だけだ。
川端康成は、日本(美)をわかりやすく外国に紹介したことで評価され、大江健三郎は平和に貢献したことを評価されたとされている。また、昨年春樹を押しのけ受賞した中国の莫言などもそうだが、政治的イデオロギーを含む内容だと受賞しやすい。だが、概して春樹作品と政治的イデオロギーというのは、相容れない。
確かに、日本美も平和貢献も既に先人がやっちゃったとなると、ガイジン受けしそうな仏教的概念を盛り込むというのは、かなり有効な手なのかもしれない。
これで本年度、獲得できたとしたら、それを予言した助川センセイは本当にすごい。

が、現実的で世知辛いことを言えば、春樹個人の文学的努力云々よりも、こういう賞レースは、IOCとかと一緒で、ロビー活動とか、日本の国力自体の回復とかといった環境面のほかに、莫言の時みたいに、選考委員がその作品の翻訳者で、受賞すれば選考委員の資産状況は著しく上向く公算がある、などといった諸事情のほうが重要だったりもする...。

新作も楽しみですが、首尾良く"芥川賞を逃した村上春樹と、彼のノーベル文学賞受賞の年"となればいいですね。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
(2013/04/12)
村上 春樹

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category: 雑談その他

thread: 本に関すること - janre: 本・雑誌

tag: 村上春樹    ノーベル賞  仏教 
2013/03/25 Mon. 18:23 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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