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読書日記、ときどき食日記

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百年法 / 山田宗樹 

この間行ってきたトークショー『嗜好と文化』で紹介されていた本。第66回日本推理作家協会賞の受賞作である。
このトークショーの第1部は、この賞の「受賞者紹介トーク」だったのであるが、そこで耳にした内容が面白そうだったので、購入して読んでみたのだ。

thumb5.jpg本書の舞台設定は、近未来のパラレルワールドにある日本である。
2048年、政府は「百年法」施行をめぐり揺れていた。「百年法」とは不老化処置、HAVIを受けた者の生存の制限を100年と定めた法律である。
およそ1世紀前、日本は原爆を6つ落とされ、壊滅的状況で終戦をむかえてしまった。米国主導のもと、日本は"日本共和国"として再出発することになったが、、既にアメリカ本国で導入されていたHAVIを、日本にも許すことにしのだた。
HAVIは、リョコウバトの個体が持っていた「不老ウィルス」をヒトに感染できるよう遺伝子操作されたもので、このレトロウィルスはヒトの不老を可能にするのだ。アメリカは友好国である日本共和国の20歳以上の希望者に、この不老処置を無償で提供することにしたのだが、人間が老いずに、永遠に生きるということは重大かつ深刻な問題を伴う。そこで、米国はHAVI導入の条件として「百年法」を定めることを求めたのだった。
今や日本人の大多数が20歳をむかえるとともに、”処置”を受けるのが常識となっている。そして、最初に処置を受けた人たちが、来年ついに100歳をむかえようとしており、待ったなしの状況に追い込まれていたのだ。
日本共和国の将来を考えれば、「百年法」はなんとしても施行されなければならない。遊佐章仁をはじめとする内務省の「百年法」準備室のメンバーは、奔走するが、現政権は、国民感情の反発や、支持率低下を恐れ、凍結を目論んでいて…


本書のテーマは「寿命を政府が決める」ということにある。
不老不死とまではいかないが、今後寿命が延びることは公に予想されている。次の世紀までには、120歳くらいになるだろうという研究者もいるが、大真面目に『寿命1000年』を掲げる学者もいるほどだ。しかし、超長寿社会には弊害があるのもまた事実なのだ。

パラレルワールドの近未来の日本を描いてはいるが、政治家や非正規雇用の問題、世代間格差の問題は、そのまま今日の日本が抱える問題でもあり、考えさせる。
設定やストーリーは面白かったが、気になったのは、「体言止め」が多用されすぎていたことだろうか。アニメ臭がしてしまったのも残念だった。なにせ、登場人物のほとんどの外見は20歳なのだ。想像すると、まだ幼さの残る容姿の若者ばかりが、国を動かしているという図は、やはり漫画的というか…
「老化人間」としては、永遠の20歳でも精神は老齢化するのだろうか?ということも気になった。

トークショーでは映画化の話もでていたが、これは実写よりアニメのほうが向いている気がする。
全体的にかなり「角川らしい」といっていい仕上がりであり、そこは好みが分かれるところだろうと思った。


百年法 上
山田宗樹 著
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/7/28)


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百年法 下
山田宗樹 著
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/7/28)


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category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 国内ミステリ  SF  近未来  寿命 
2013/07/22 Mon. 17:28 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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