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読書日記、ときどき食日記

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ジェイコブを守るため / ウィリアム・ランディ 

一昨年くらい前だろうか。とにかくず〜っとUSAmazonの売り上げトップに君臨しており、当時からすごく気になっていた。ちょうどその頃、読書会にいらしていた方が原書でこの本を読み、「すごく良いので、読書会でとりあげてもらいたい」と言っていたのを覚えている。Cさん、よかったら是非またいらしてください。

というわけで、今月の読書会の課題本は本書でなのある。


fallen leavesさて、主人公のアンディ・バーバーは、マサチューセッツ州の検事補だ。美しい妻ローリーと、14歳になる息子ジェイコブと裕福な住人の多い郊外の街で順風な日々を送っていた。
ところがある事件によって、彼の生活は一変してしまう。

ジェイコブの同級生ベンが刺殺される事件が起きたのだ。ベンは胸を三カ所ナイフのようなもので刺され、落ち葉の積もる斜面に倒れていた。目撃者もおらず、物的証拠もなかった。
検事局側の責任者は当初アンディだった。彼は、馴染みの刑事ダフィーとともに、最近この街に越して来た性犯罪者に疑いを持っていた。だが、彼は瞬く間に事件から外される。ジェイコブが容疑者として浮上したためだった。ジェイコブが犯人だという噂は子供たちの間で広まり、被害者の衣類に残された指紋がジェイコブのものだったことが決定打となったのだった。
アンディはジェイコブの無実を信じていたものの、密かに家系にまつわる秘密が暴露されることを恐れていた。実は、彼の家系は、曾祖父、祖父、父と三世代にわたる凶悪な殺人者の血筋なのだ。俗にいう「殺人遺伝子」である。
彼はそれを永遠に終わらせるために、父親の存在を忘れるよう努めてきた。この事実は妻ローリーには隠し結婚したが、検察側は、状況証拠を固めるためにこの秘密を裁判に使うかもしれなかった。意を決し、アンディは妻ローリーに打ち明けるが、アンディの想像以上にローリーはダメージを受けてしまう。
ジェイコブを信じることによって自らもまた呪われた血脈の呪縛から解き放たれたいアンディと、ジェイコブの過去の普通でない行動に疑惑を深めていくローリー。夫婦の気持ちは少しづつ、すれ違っていく。
そして、裁判も佳境にさしかかろうとする頃、ある事件が起きる。
そこでジェイコブ裁判は幕が引けたように見えたのだが…


gene.jpg「殺人遺伝子」という現代ならではのテーマを持ち、重厚でサスペンスフルな仕上がりだ。W.ランディ自身が元刑事補という経歴や、さすがとしかいいようのない法廷シーンから、S.トゥローを思い出す人も多いかもしれない。

リーガルサスペンスとして楽しむか、殺人遺伝子というセンセーショナルな部分に焦点を当てるか、家族の物語として読むのか。様々な読み方ができる。
私はやっぱり「殺人遺伝子」という言葉に強く興味を惹かれた。アンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子検査野結果によって両乳房を切除したというニュースの影響もあるかもしれない。乳癌にかかりやすい遺伝子を持っていると知ったアンジーは、将来のリスクを減らすため、まだ健康な両乳房の切除に踏み切ったのだ。

遺伝子研究は日進月歩で進んでおり、近い将来、もっと色々なことがわかるようになるだろう。瞳や髪、肌の色などの容姿はもちろん、将来罹患する病気、寿命、知能の程度、運動神経、性格や気性などなど。 
だが、人は、人の性格や行動は、どこまで遺伝子に支配されるものなのだろうか?そして、人はどこまで遺伝子がもたらす運命を受け入れることができるのか?法律や倫理は、その事実とどう折り合いをつけるべきなのか?
様々な思いが廻る。

ただ、本書でもう少しだけ補足してほしかったのは、アンディの家系にあるとされているのはMAOAノックアウト(低活性)が、必ず、反社会的行動に至らしめるものではないということだ。
今の時点で明らかになっているのは、このMAOAノックアウトを持っている人が、幼少期に虐待などのストレスにさらされると、通常に比べて反社会的行動に走りやすい傾向があるということにすぎないのだ。




ジェイコブを守るため (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ウィリアム ランデイ (著), 東野 さやか (翻訳)
早川書房 (2013/7/10)


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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  このミス  読書会  MAOA遺伝子 
2013/10/07 Mon. 20:14 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: ノーベル賞をめぐる冒険

naoさん、こんにちは。

S.キングはまだなんですよ〜。買ってもいなくて。
なんとか10月中に読めればいいなぁ。
それにしても、今年はレベルが高くないですか?
それでも私のイチオシは変わらず『夜に生きる』なのですが、
『遮断地区』 『ゴーン・ガール』『コリーニ事件』に本書と、キングの新作ですもの。
『チャイルド・オブ・ゴッド』は今途中なのですが、C.マッカーシーはやっぱりジャンル小説のカテにいれるのはもったいない。

キング原作のドラマ「アンダー・ザ・ドーム」は、私も録画予約しておかなくちゃ!

ハルキ・ムラカミはどうでしょうねぇ?とれればファンとしてもすごく嬉しですけど。
イギリスのブックメイカーは彼が本当にお気に入りらしく、今年ももの凄く期待されてますが、
去年みたいなこともありえますからねぇ...。
それに同じく候補になってるアリス・マンローなどはもういいおトシ。順番的に今年は北米に枠が行くのかなぁとも思っています。
でも、万が一残念でした、ということでも、彼はまだ64歳だし、身体も丈夫そうだし、ストリップストリームのトレンドはまだ続きそうですから、チャンスはまだまだある。
ファンがこんなに騒いでおいてアレなんですが、春樹さんには、賞に目の色を変えたりせずに、彼らしく淡々といい作品を書き続けてほしいです。

では、では〜

Spenth@ #- | URL | 2013/10/08 Tue. 12:09 * edit *

ノーベル賞をめぐる冒険

本作は著者の経歴(職歴)が活かされた、
読み応えのあるミステリでありました。
その読書会のレポートも期待しております。

Spenth@さんの読書予定にははいっているだろう話題作
(もう読み始めて夢中になっているその最中かも?)、
キングの「11/22/63」かなり評判よいですなぁ。
これも今年のベストミステリ選出確実な様子。

また以前教えていただいたキング原作のドラマ「アンダー・ザ・ドーム」
来週の放映が愉しみです(先月一度放映されたようですが)。

ハルキ・ムラカミ‥獲れるかな。
では。

nao #6gL8X1vM | URL | 2013/10/08 Tue. 08:36 * edit *

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