Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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ジェイコブ読書会 

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私はなんだかんだで実は2ヶ月ぶりの読書会。
久しぶりに参加したら、今回はスピンオフとしては過去最大規模だった!
なんと参加者18人!
すっごいですねぇ…
横浜読書会、密かに大人気ですねぇ…

ところで、スピンオフというのは、読書会をもっとざっくばらんにやりましょうということで、居酒屋でお酒を飲みながらワイワイやるという趣旨のものである。
本会を含めると、横浜読書会ではほぼ毎月開催している。
場所はだいたい横浜駅近くの居酒屋さんの個室が多い。

とにかく今回は大人数なので、三つにグループ分け。グループ内で各々の感想などを話し合って、後ほどシャッフルするというわけだ。
主催のおてもとさんは、読書会前のプレ飲み会にて、せっせとグループ分けのためのくじ作り(笑)資料といい、企画といい、いつもお疲れ様です。ランディがシーラッハなのはご愛嬌。
なっちゃんさんも、マサチューセッツ州の殺人罪に関する超専門的な資料をありがとう。


Defending Jacob MAOA
今回の課題本はW.ランディ『ジェイコブを守るため』 なので、登場人物にちなんで、グループは、アンディ班、ローリー班、そしてジェイコブ班と名付けられた。

この本の扱っているテーマはとてもヘビーであり、色々な読み方ができる。
"家族の物語"として読むのか、サイコパスをめぐる"リーガルサスペンス"として読むか、"殺人遺伝子"に焦点を当てるのか。

殺人遺伝子ーMAOAノックアウト、私としてはものすごくテンションのあがる単語だったが、なんか反応イマイチ?
え〜〜〜、みんな興味ないの〜?
この存在をアンディがローリーに打ち明けることによって、"家族の物語"としても大きな転機をむかえるわけだし、物語の"要だと思うんだけどな。


私のジェイコブ班は全員女性だったせいか、より感情的な部分に皆着目していたようだ。
・アンディ最低最悪
・ひどすぎる
・ローリーが可哀想


やはり同じ同性として、一様にローリー寄りだった。
ローリーはもちろん気の毒で、ある意味被害者の一人だったかもしれないとも思うけど、私はアンディにも大いに同情したし共感もした。
トゥローの『無罪』でも、私は終始一貫ラスティの味方
だったんだけど、やっぱり少数派?
アンディだっていわば被害者だと思うのだ。ジェイコブではなく、例のMAOAノックアウト殺人遺伝子の。彼は、自らに流れる悪の血を断ち切ろうとして頑張ってきた。その甲斐あって、温厚な人柄で知られ、友人たちからの信頼も厚く、犯罪者とは正反対の検事補という職業にもついていたのだ。
でも、アンディの人生は、その悪の災いが、息子に発現したかもしれないという事実によって、足元から崩れさろうとしている。アンディにとっては、息子の無実を信じること、ジェイコブを守ることはイコール自分自身の存在価値を信じることで、自分自身を守ることでもある。
子供は親を選んで生まれてくることはできない。よく「人は氏か育ちか」というけれど、実際は氏も育ちも両方とも、自らの自由意志で獲得できるものでもない。ある意味、この小説には被害者しかいないとも言えると思った。


IMG_0564.jpgところで、ジェイコブは本当はやったのかどうかについて。
聞いてみたほとんど全員が、「真っ黒」だと言っていた。

心証的には「真っ黒」だが、物証はなく状況証拠のみ。あの交際男性3人の連続不審死事件の木嶋香苗とほぼ同じである。
例えば、あなたがジェイコブ裁判の裁判員に選ばれるとしたら、彼をどう裁くだろう?(実際は日本では14歳の少年に裁判員裁判は行われないが)興味があって聞いてみたら、二人から「私が裁判員だったら、無罪にすると思う」という答えが帰ってきた。「疑わしきは被告人の利益に」それが法の趣旨だから。

でも、ルールと、自分の中の倫理道徳が乖離する場合には、どこまでならそれを許容できるだろうか?
時間がなくて聞きそびれたのだが、もし何らかの物証があり罪を認めざるを得ない場合、ジェイコブ側が、まさに物語の中で弁護士が最後の手として考えていたように、殺人遺伝子のキャリアであることを根拠に刑を軽減しようとしたら、皆の答えはどうだっただのだろうか?

そう遠くない将来、この種の選択に迫られる日が来ることだろう。さて、これをお読みの皆さんはどうだろうか?


ジェイコブを守るため (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
早川書房 (2013/7/10)
ウィリアム ランデイ (著), 東野 さやか (翻訳)



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読書会に際し、ランディの過去の二作品も読んでみたのですが、三冊に共通するテーマは、法の限界みたいなものなのかな。私は、一作目よりも、警官、検事、泥棒の三兄弟の、ボストン絞殺魔と警察の腐敗を描いた『ボストン・シャドウ』のほうが好みだった。


ボストン、沈黙の街 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ウィリアム ランデイ (著), 東野 さやか (翻訳)
早川書房 (2003/09)



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ボストン・シャドウ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 281-2))
ウィリアム ランデイ (著), 東野 さやか (翻訳)
早川書房 (2007/8/24)


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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  読書会  このミス  リーガルミステリ  遺伝子 
2013/10/12 Sat. 12:43 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re:え、そうかなぁ?

naoさん、こんばんは。

> (その興味深い視点は、刑の軽減を図る手段としての意味合いが
>  強い付加的なもので、そこを大事‥物語の<要>とは
>  自分はみていなかった‥ああ)。

そっか。やっぱりちょっと読むポイントが変わってるのかな?
そういうことを言ってたのは、私だけだったような気がします(笑)
「ジェイコブですら被害者」というのは、ま、"ジェイコブ被害者の遺族の会"目線でみれば、180度違ってくるわけなんですが...。
サカキバラ事件からずっと、思ってたのですが、サイコパスって治療不可能じゃないですか?先天的であれ、後天的であれ、脳のある部分の器質的な理由による機能不全なんだから。でも、法も、人間の道徳も基本的に性善説の上に成り立っているけれども、現実の残酷さとは乖離している。科学的に色々なことがわかるにつれて、その残酷さは際立ってくる。それって、なかなかしんどいなぁと...。

ただ、物語の要としての「殺人遺伝子」というのは、その存在がゆえに、夫婦に亀裂が入ってしまい、最終的にあの結果に結びついていく、というニュアンスなんですよ。ジェイコブが犯した( かもしれない)犯罪によって、家族関係は崩壊していきますが、あの告白がやっぱり決定的な契機になっているし。

> 次の読書会は「時の娘」・・えらいクラシックですなぁ。
そうなんですよ。次は古典の番なのです。
探さなきゃ...。

では、では〜!

Spenth@ #- | URL | 2013/10/12 Sat. 21:21 * edit *

配布するのが正解‥であったと思うなぁ


やはり‥と言うべきか、「殺人遺伝子ーMAOAノックアウト」という視点。
Spenth@さんはそこに注目して物語を読むだろうなぁ、と思っていました。
ですがその場合、この物語がどういう風に見えるのかということを、
自分は考えていませんでした‥迂闊。
(その興味深い視点は、刑の軽減を図る手段としての意味合いが
 強い付加的なもので、そこを大事‥物語の<要>とは
 自分はみていなかった‥ああ)。
なので「‥この小説には被害者しかいないし、
ジェイコブすらもそうだとも言えるのじゃないか。」
という指摘は驚きで‥頭から冷水状態(‥)‥お見事ですわい。

Spenth@さん、せっかくのレポート(資料)出さなくちゃ。
でも、その時の趨勢を考えると出せませんわなぁ‥。
このブログ記事があるから大丈夫(!?)。

次の読書会は「時の娘」・・えらいクラシックですなぁ。
では!

nao #6gL8X1vM | URL | 2013/10/12 Sat. 20:01 * edit *

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