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読書日記、ときどき食日記

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食の戦争 米国の罠に落ちる日本/ 鈴木 宣弘 

昨日ついに秘密保護法案が衆議院を通過したそうで、なんだかキナくさくなってきた。
ただ、喉元すぎれば何とやらで、私なんかもそうだが、日本人はとかく「長いものに巻かれろ」的なところがある。だって、決まってしまったのなら仕方ないよみたいな。
あんなに大騒ぎしていたTPP(環太平洋経済連携協定)の問題も、今ではマスコミも取り上げることが少なくなった。それよりも、猪瀬都知事の黒い借金問題や桜田淳子の一夜限りの復活のほうが数字が取れるもの。


食の戦争 米国の罠に落ちる日本 (文春新書)

鈴木 宣弘 (著)
文藝春秋 (2013/8/21)

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だが、秘密保護法案もキナくさいが、TPPがかなりヤバイ代物であるということを指摘しているのが本書なのである。

ざっくり言うと、

1. 米国にとって「食」は日本を支配するための戦略的武器である。
2. しかも、その「食」は安全ではない。

と、この二つに尽きる。

へっ?日本を支配する戦略的な武器ってどういうこと?
それは、詰まるところ人間は食糧なくしては生きていけないからなのだ。
ものすごく簡略化して言うとアメリカ様は、「ねぇ、君んとこみたいな狭い国土で農業なんてナンセンスじゃん?ウチの農作物を安く売ってあげるよ。代わりにウチで君んとこの車の関税をなくしてあげるからさ。いいハナシだと思うけど?」という取引をしようとしているという。これは推進派がいうようにWin-Winなんだろうかとこの著者はいうのだ。

この取引が成立すれば、おそらく日本の農業はひとたまりもないという。ただでさえ食糧自給率は39%しかないのに、ほとんどの食料をアメリカ様をはじめとした外国からの輸入に頼ることになってしまう。
大前研一センセイのように、「日本で農作物を生産するのは効率が悪いんだから、輸入した方がいい」と思われる方もいらっしゃるだろう。
でも、天災などで不作となった時、アメリカ様は自国の国民を痩せさせるという犠牲をはらっても、日本に食料を「売ってくれる」のだろうか。2008年には、干ばつや原油価格高騰による「バイオエタノール」ブームによって、穀物価格は高騰し、途上国に深刻な食糧危機をもたらした。それでも大丈夫だと言い切れるのかと著者は言うのだ。

干ばつ云々といったことがなくとも、一旦、日本の食糧を支配してしまえば、売り手側は「やりたい放題」
車を売ってやらなくてもアメリカは痛くも痒くもないが、食糧がなければ日本人は生きていけない。
以前、朝のワイドショーかなんかでTPP推進派のどこかの誰かが、「アメリカが売れるものは、もはや農作物くらいしかないんですよ」としたり顔で言っていたが、その農作物こそ、アメリカにとっての戦略的武器に他ならないというのだ。

Monsanto.jpgそれから「食の安全性」という問題もある。
まず、日本とアメリカでは「食の安全基準」が大きく異なっている。もちろん日本のほうが安全基準が厳しい。が、これもアメリカのルールに統一されてしまう危険性があるのだという。そうしないと、アメリカの主力商品である遺伝子遺伝子組み換穀物が日本で売れないからだ。
日本では、遺伝子組み換えの大豆を使用した納豆などは、その旨の表記を義務化してるが、それがされなくなる可能性もあるという。
開発されて間もない遺伝子組み換え作物を長期間食した場合の危険性は、未だ明らかになっていない。ただ、フランスの研究所によるマウス実験では、高いガンの発生率が報告されている。日本人は遺伝子組み替え作物について敏感だが、自分が食べているものが遺伝子組み換えか否かを知るすべさえも奪われてしまう可能性すらあるという。

アメリカのエグいところは、ルールを自分に都合よく変えることができることで、これ以上の強みはないといっていい。
しかも、これらの遺伝子組み替え作物のパテントを持つ会社の多くは、小会社に製薬会社を持っているとう念の入れよう。
発ガン性の高い穀物を食べさせおいて、いざガンになったらウチの薬を使いなさい、ってどれだけエグいのよ?
そこまで悪意があるとは思いたくないが、食を輸入に頼ることがどれほど危険なことなのかがよくわかる。

ヨーロッパなどを旅すると豊かな田園風景に目を奪われる。農業に限らず、一次産業が産業としてちゃんと成立しているのだ。特に農業には、日本の何倍もの補助金をつぎ込んでいるのだという。それには、それなりのちゃんとした理由があるということだ。
裏をかえせば、アメリカは何がなんでも日本を尻に敷いておきたいのだなぁ。キャロライン・ケネディさんの大使就任からも、そういう意図がヒシヒシ伝わってくる。


というかアメリカ様は、日本支配の前に、箱に入った加工食品ばっか食べてる自国民をなんとかしたほうがよくない?
amerika food
↑ アメリカの一般家庭の一週間分の食糧
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category: ノンフィクション・新書

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2013/11/27 Wed. 17:14 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: 私のほうが弟子なのでは?

naoさん、ヨコミスにエントリーしてくださったのですって?
今日、おてもと氏から伺いましたよ。
naoさんのベスト5は、すごく楽しみです。
それから、弟子だなんて何をおっしゃる。私のほうが大読書家、naoさんの弟子でございますよ、ハイ。

あ、このエントリは実はまだUPするつもりじゃないのに、やってしまったみたいですわ(笑)
いつものことだけど、少々記事が・・・(笑) ま、別にいいか。

私は選挙に真面目にいくようになったのは最近なので、アレなのですが...(笑)
そうなんですよね、おっしゃる通り、わからないで済ますことが一番怖い。
っていうか、遺伝子組み換え穀物とか、害虫の遺伝子とか組み込まれてたりして、まじに怖いですわ〜。
納豆とか豆腐とか「遺伝子組み換えでない」っていう表示がされなくなったら、こわくて買えないかも。
本当に世の中どうなっちゃうんでしょうね?

> 裕福なヒトたちが低カロリーの栄養価の高い食事をとるらしいですぜ。
> 新書『ルポ貧困大国アメリカ』に書いてあったような。
そうそう、セレブなハリウッド女優のグィネス・パルトロウとか、オーガニックに徹底的に拘っていて、
一日の食費が3万円とかかかるようなお料理のブログとかやってるみたいですね。
そんなのができるのは、ごく一部のリッチピープルだけ。
庶民は、上の写真のように箱に入った加工品ばっかり食べてる。
健康も金次第ということですかね?

> 写真見ていると、しかしピザ食べたくなりましたわい。
和食が一番とかいっても、たまにピザみたいなジャンクなものも食べたくなりますよね(笑)

では、では〜

Spenth@ #- | URL | 2013/11/27 Wed. 21:46 * edit *

ヨコミスの「頼れる姐さん」的Spenth@さんへ

政治音痴の自分にはよくわからないこと(問題)ばかり
次々起こる様子であります。
わからないで済ませることがマズイ、ということは薄々気が付いているのですが。
(でも選挙は権利得てから今日まで一回もサボってないよ・・アタリマエか)。

アメリカの加工食品(他ジャンクフード)について、
向こうでは貧困層が仕方なく(飢えるよりまし?)食べているらしく・・結果太る。
裕福なヒトたちが低カロリーの栄養価の高い食事をとるらしいですぜ。
新書『ルポ貧困大国アメリカ』に書いてあったような。
写真見ていると、しかしピザ食べたくなりましたわい。
では。

nao #6gL8X1vM | URL | 2013/11/27 Wed. 21:14 * edit *

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