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読書日記、ときどき食日記

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絵画鑑定家 / マルティン・ズーター 

ヨーロッパには"紋章入りの指輪”を代々引き継ぐ家系というものがある。彼らは相続税で半分以上持っていかれる日本では、まずありえない資産を生まれながらに持っているのだ。全く羨ましい限りだが、本書『絵画鑑定家』の主人公、アドリアンも紋章入りの指輪”をはめるその一人なのである。
舞台は明かされていないが、おそらくスイスのチューリヒあたりじゃないだろうか。日本人にスイスとくればハイジなイメージだけど、あそこはそもそもがハイソで生活レベルが高いからなぁ…。いいなぁ…。

その我らがアドリアンは名門ヴァインフェルト家の末裔として生まれ、絵画競売会社で鑑定家として働いている。単に、絵が生家にたくさんあったからゆえにスイス絵画の専門家となったのであって、働くことに経済的な意味はない。だが規則的な生活には職業は必要なのだ。
50代で結婚歴はなし。母親が95歳で亡くなるまで、二人暮らしをしてきたが今は一人だ。身につけるものは全て父親の代からの仕立て屋による高級オーダーメイドで、世界に一人きりになってもディナーの前にはシャワーを浴び、ディナージャケットに着替えるだろう。
そんな育ちのよい温和なアドリアンは、地味な(それでも庶民の虚栄心を満たすには充分な)生活をしていたが、あるとき、女と出会い恋に落ちてしまう。その女、ロレーナは30代後半のモデル上がりのいわば「すれっからし」だ。高級ブティックで万引きをしたりと、煮ても焼いても食えない女だが、アドリアンはベタ惚れ。
そして、アドリアンの生活は、ロレーナを中心に回り始めるのだが…


作品紹介にはサイコスリラーとあるが、ミステリーというよりは、ちょっと風変わりで洒落た恋愛小説という感じかな。
とにかく、アドリアンのようなハイソサエティの人々の描写がいいのだ。人間の興味はハイアンドローにあるというが、その種の覗き見的趣味を満たしてくれる。
舞台がスイスということもあってギラギラしておらず、主人公が「よい人」なのもgood。これがまたニューヨークとかなら、雰囲気は違っただろうと思う。全体的にいかにもヨーロッパという感じで、洒落ている。

アドリアンとは真逆の人生を歩む元資産家バウアーもいい味を出している。彼は到底使い切れないような資産を相続しながらも、金を儲けることにその生涯をつぎ込み、失敗して、老後のために大切な絵をオークションにかけざるをえないのだ。
このバウアーは、ストーリー上、大事な役割を担っているのだが、それはその顛末は読んでのお楽しみ。

結末もまたおしゃれで、たまには、こういうのもいいなぁと思う。

絵画鑑定家 (ランダムハウス講談社文庫)絵画鑑定家 (ランダムハウス講談社文庫)
(2010/01/08)
マルティン ズーター

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category: コージー・男女もの

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 絵画鑑定家 
2011/02/11 Fri. 09:35 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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