Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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インフェルノ / ダン・ブラウン 

infernofilejpg.jpg『緑衣の女』を買おうと思って書店にいったら、ダン・ブラウンの『インフェルノ』 が並んでいた。
今、横浜駅前のY隣堂は、「インフェルノ祭り」状態なのだ。つられて私も購入してしまった。これと他に二冊ハードカバーを買ったら、すっかりインドリダソンのことは忘れてしまったのだが、本日発表になった「文春ミステリー10」でも2位だよね==やっぱり読んどかなきゃ?

『インフェルノ』 には、先着でクリアファイルがついている。このクリアファイルは、A5サイズ(A4の半分)と小さくて、ダンテの横顔とか絵的にもちょっと怖いんですが、一体全体何に使うのか??


それはさておき、本書『インフェルノ』 は、『天使と悪魔 』『ダ・ヴィンチ・コード』
でお馴染みの”ラングドンシリーズ”の待望の最新作だ。本書に限っては、装丁も巻頭のカラーページも綺麗なので、Kindleよりも本で読みたいという気分になる。

ところで、この”ラングドンシリーズ”三作目の『ロスト・シンボル』 は私的には"いまひとつ"だったので、実は本書もどうしようかなぁと迷っていた。だが、これは結構というか、かなり良いのではないだろうか。

ダン・ブラウン小説の美点のひとつは、エンタメを読みながらも文化的教養が身につくことだ。いや、身に付くとまではいかなくとも、本書を読めばダンテやマルサスに、トランスヒューマニズムに、興味を惹かれることは間違いない。知的好奇心を刺激されるのである。
巻頭にも明記してあるが、小説に登場する芸術品や文学、科学、歴史に関する記述は全てが真実であるというのも、魅力的。

Transhumanism.jpgさて、物語は、ハーヴァードの象徴学者ロバート・ラングドンが、病院のベッドで目を覚ますところから始まる。後頭部がうずき、手を伸ばすとそこには10針ほどの縫い後があるのだが、何も思い出せない。
最後の記憶は、次の講義のためハーヴァード構内を歩いていたことだ。しかし今、窓から見えるのはヴェッキオ宮殿だ。なぜ、ハーヴァードにいたはずの自分がフィレンツェにいるのか?それに幻覚に現れる銀髪の美しい女性は、一体誰だろう?
担当のシエナ・ブルック医師は、混乱するラングドンに、後頭部を銃弾がかすめ、脳震盪を起こしたせいで一時的な記憶喪失に陥っているのだと説明する。
しかしその直後、ラングドンは病院でスパイクヘアの女に急襲されるのだ。女は、だが、シエナ医師の機転のおかげで、すんでのところで逃げ出すことに成功する。
ラングドンは、なぜ自分が命を狙われるのかがわからない。その謎の鍵は、愛用のハリス・ツイードのジャケットに隠しポケットに入っていたバイオチューブにあるに間違いなかった。そのチューブの中には円筒型のプロジェクターが入っており、それが映し出したのは、鮮明なボッティチェルリの《地獄の見取り図》だ。自分はきっとこの絵を調べていたに違いない。答えを得るには、《地獄の見取り図》を解読するしかない。この《地獄の見取り図》の原案となったのは、ダンテ・アリギエーリの「地獄篇」(インフェルノ)だ。
ラングドンはシエナとともに、フィレンツェの旧市街地に向かう。ダンテにとってのフィレンツェは世界そのものだったのだ。ロマーナ門をくぐろうとする時、「ここにはいらんとする者は、いっさいの望みを捨てよ」彼の頭にその言葉が過る…
Botticelli The Abyss of Hell一方、「大機構」の総統は豪華客船の上で神経を尖らせていた。これまで総監は、心なき傭兵、罪の幇助者、悪魔の手先などと人から称されてきたが、いかなるときも守れない約束はせず、依頼人に嘘をつかないことを信条としてきたのだ。だが、数日前投身自殺した依頼人のことを思うと、引き受けたのは間違いだったのではないかという思いが頭を過った。しかし、亡き依頼人の未達成の任務は以前として残っていた。依頼人は明日、ある動画をメディアに向けてアップするよう依頼していたのだ。
アップに先駆けてその動画を確認した上級調整員のノールトンは驚愕する。
動画の前半部分には、水中を漂う袋のようなものが映っていた。嘴のついた仮面をつけた依頼人らしき人物は、声を荒げ、こう叫ぶ。「ダンテの地獄は、空想ではない...それは予言だ!人類は抑制されない限り、疫病のごとく、癌のごとくふるまう。…それゆえわたしは大胆な手を打った。わたしはきみたちの救済者だ。人類の新時代の扉を開く。」
嘴の仮面は、かつて黒死病を治療する医師たちがつけていたものだった。嘴の男は何を企んでいるのか…


今回は、後半に"大どんでん返し!"が用意されている。ええっ〜〜〜〜〜?という感じ。

凄いのは、これが「地獄篇」の最後の場面、”悪魔の腰”とリンクしていることである。
これを思いついた時は、きっと「してやったり!」と思っただろうなぁ
ところで、"悪魔の腰”というのは、地獄から脱するために、ダンテは巨大な悪魔の毛むくじゃらの腹を下りていくのだが、悪魔の腰のあたりにきたとき、突如大地の重力が変わり、下りていくためにそこを上りはじめることになるのだ。まさに、ぐるりんと全てが反転するようなことが、本書作中でも起こる。
他にも地獄篇の詩の断片が、端々に効果的に使われていることにも注目されたい。

malthus.jpg賛否は、人口爆発がもたらす破滅の解決策をどう感じるかによるだろう。
ところで、この人口爆発がもたらすだろう悲劇予測もまぎれもない事実だ。
規定の土地に人が溢れかえると、人は土地をめぐり食糧をめぐり争いを起こす。人間同士も殺しあうが、マキャベリが言うように、自然界にも多過ぎるヒトを淘汰しようと自浄作用を機能させるのだ。致死性の伝染病などがそれに該当する。
今日現在も一日あたり人類はドイツの人口ほどの増殖を続けている。自然淘汰による「自浄作用」のスイッチは今にも入ろうとしているのかも。





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【Amazon.co.jp限定】インフェルノ (下) オリジナルクリアファイル付 (海外文学)

ン・ブラウン (著), 越前 敏弥 (翻訳)
角川書店 (2013/11/28)








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category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  ダンテ  ラングドン  映画化  フィレンツェ 
2013/12/05 Thu. 22:53 [edit]   TB: 0 | CM: 4

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、こんばんは。

naoさんの「ヨコミス」拝見しましたよ!
なんというシブいベスト5
でも、どれもこれも名作ですね。さすがです。
「終わりなき負債」読みたいなぁ...。

ダン・ブラウンは映画化効果があるので、図書館は厳しそうですね。
横浜なんかだったら、3年くらいは待たされそう。
ただ、「どんでん」が効いててよかったと思います。

「文春10」と「このミス」はまぁ、そんなものかなぁという感じでした。
ただ「HHhH」とか「終わりの感覚」とか、ミステリーじゃなくて文芸だろという気はしました。
「HHhH」はnaoさん的には駄目でしたか?
私はこの作品の独特さが大好きでした。これじゃなければ味わえないような読書体験ができてすごく良かった。
ベスト5にも挙げちゃった〜!

『制裁』は入手は難しいので、ほとぼりが冷めた頃に図書館で借りようかな、と思っています。
いくらなんでも文庫に1万以上はないですよね...。

では、では〜

Spenth@ #- | URL | 2013/12/07 Sat. 04:13 * edit *

もう読了されましたか!・・さすがですなぁ。
うっ!・・なんかのっけから痛そう・・10針。
自分は図書館予約・・年内に回ってくるか微妙。
昔「ダヴィンチ」が刊行されたとき、図書の予約待ち人数がもの凄くて、
DVDレンタル店の貸本で読んだこと思い出しました(初めての貸本体験)。
「インフェルノ」はかなり出来が良いとのこと、愉しみであります。

文春ミステリベスト10、見ました。
海外部門の「夜に生きる」・・イチオシ作がこの順位では、
Spenth@さん、心穏やかでいられない?
この鬱憤は来年の読書会でぜひ晴らしてください!

そう『HHhH』読みました・・文春ミスの9位・・ね。
聞こえてくる高い世評、それに期待をふくらませて読むと、
ロクなことありませんなぁ・・。

国内もの・・豊作であった前年のことが偲ばれます(?)
では!

PS『制裁』(持ってます!)は物語が二回転しますぜ。

nao #6gL8X1vM | URL | 2013/12/06 Fri. 22:06 * edit *

Re: これは最高

アラフォーおやじさん、こんにちは。

『三秒間の死角』お気にめしてよかったです!
やっぱりいいよね〜、この本は。
その影響か、この前作の『制裁』はAmazon中古で凄いことになってるけど(笑)
『死刑囚』も凄くいいけど、かな〜りヘヴィですよ。
私はこれを読んだとき、その年のミステリのNo.1は、これしかない!と思いました。
ただ、版元が小さかったせいか、どのランキングにも入りませんでしたが...。
テーマ的には『三秒間の死角』よりさらに重く、救いもない感じなので評価は割れるのかも。

『三秒間の死角』もいいけど、私の今年のイチオシは総合的にはやっぱり『夜に生きる』かなぁ?

スティーブン・ハンターと横山秀夫じゃ、作風が違うような気もするんですが、
『64』超えっていうのは、かなりハイレベルですよね。
おっしゃっているのは『第三の銃弾』のことかな?
ケネディ大統領暗殺関係の本らしいから、私も買って、キングの『11/22/63』とあわせて読んでみようかな?


では、では〜

Spenth@ #- | URL | 2013/12/06 Fri. 17:32 * edit *

これは最高

『3秒間の死角』は最高によかったよ

デニス・ルヘインの『夜に生きる』よりこっちがいいんじゃないの
絶妙なプロットといい文句のつけようがないね
ここ近年でもこれに匹敵するのはちょっと思い浮かばない

北欧の作家はこれまで前評判の割りに一度読めばいいかな
と言う感じだったけどこれは別格
amagifu倍返しして上げたいぐらいだな

『死刑囚』もぽちっとしてしまった、
しかし、今年はspenth@のおかげでずいぶんとamazon教に
お布施したような気がする

それと『3秒間の死角』関連の本でamazonレビュー読んでると
横山氏の『64』より面白いとのレビューが・・本当かよ?
『第三の銃弾』スティーブン・ハンター
以前好きだった作家だけど
一度終ったと思ったんだけどね、この作品で復活してるらしい
最近のamazonレビューはあてにならないけど
今年最後に
騙されてみようかと思います。


アラフォーおやじ #- | URL | 2013/12/06 Fri. 16:44 * edit *

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