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読書日記、ときどき食日記

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カルニヴィア1 禁忌 / ジョナサン・ホルト 

あっという間にお正月も終わってしまった。

ここ最近、ボケにボケてて、同じ人に三回も新年の挨拶をしたりしている。しかも連続…
三回目には「一昨日も、昨日もお会いしましたよ?」などと言われる始末。
本当に、もう...。

皆さんはお正月はいかがお過ごしでしたでしょうか?


さて、『カルニヴィア 1 禁忌』 ジョナサン・ホルトのデビュー作である。
欧米の読者からは「ダン・ブラウン+スティーグ・ラーソン」とも言われてもいるらしい。ダン・ブラウンとは少し違うかなと思うが、確かに「ミレニアム」の影響は色濃い感じ。
  carnevale-venezia.jpg
舞台は世界屈指の観光地ヴェネツィアである。
そしてタイトルにもなっている「カルヴィニア」は、主人公の一人、ダニエーレ・バルボがWeb上に構築したヴァーチャル空間で、ヴェネツィアの街を忠実に再現しているものだ。
そこでは誰もが仮面をつけており完全に秘密が守られている。

carnivia2.png物語は、運河に面するサルーテ教会のそばで女性の死体が発見されたところからはじまる。
大潮によって流されてきただろうその死体は、司祭の格好をした40歳前後の小柄な女性で、頭を撃ち抜かれていた。憲兵隊の大尉カテリーナは、彼女の上司のピオーラ大佐とともに早速捜査を開始する。
死体の法衣は悪魔払いか、死者のためのミサに着用するものだった。カトリックは女性が司祭になることは認めていない。しかも、被害者の腕にあった奇妙な模様のタトゥーは、オカルトに詳しい神父によれば神を冒涜するシンボルだという。

一方、ヴェネツィアに赴任したきたばかりの米軍少尉ホリーは、前任者のかわりに「戦時下の女性」という雑誌を発行しているバーバラ・ホルトンと面会する。彼女は、前任者にクロアチアの将軍に関する文書の公開を求めていたのだった。そのドラガン・コロヴィク将軍は現在国際刑事裁判所で、95年の戦争犯罪の裁判を待っているが、全ては米国の承認のもとで行ったと暴露しようとしていた。

同じころ、ダニエーレは追いつめられていた。ダニエーレは児童ポルノなどの犯罪捜査で、「カルニヴィア」への介入を拒んだために有罪を宣告され、拘禁に耐えうるか精神鑑定を実施した上で判断されることになっていたのだ。
貴族の家に産まれ、幼い頃”赤い旅団”に誘拐されて両耳と鼻を失い、それが原因で回避性人格障害を患っていると噂されている彼は、服役が無理ならば精神病棟に収容されるだろう。さらに、出られるのは刑務所に入っても大丈夫だと認められた時のみだろう。まさに閉回路だった。

憲兵隊のカテリーナ、米軍少尉のホリー、そしてダニエーレ、それぞれの事件は次第に複雑に絡まりあっていることが判明する。背後には巨大な権力を持っている組織が見え隠れして…



Jonathan holtヴァチカンに未だ残る女性蔑視と、ユーゴスラビア内戦へのNATOの関与、民族間扮装が女性たちに与えた疵、マフィアに食い物にされているバルカン半島の女性たち…いうまでもなくテーマは「女性の人権」であり、こういうところも「ミレニアム」を彷彿とさせる。
ただ、カテリーナのキャラは、個人的にはちょっといただけない。旧来の考えの母親への態度や、不倫の決着のつけ方は、ちょっと問題アリ。彼女はやや過剰なのだ。
「ミレニアム」的といえば、ダニエーレだろう。「肩まで伸ばした髪が耳を覆い隠し、鼻があるところろは平らで、皮膚がひきつり臍のように渦をまいている」という人目みたら忘れられない容姿と、その誘拐事件で負った精神的な問題、天才的なコンピューターの能力。彼のスペックはまるで男性版リスベットなのだ。数学が好きなところも似ている。

carnivia1.pngストーリー自体は「ミレニアム」より複雑でスケールも大きいかもしれない。
退廃の上に築かれた美しい街、ヴェネチアが舞台というのもいい。足元は海水に浸かり朽ち果てようとしており、その腐臭を香水をかけて覆い隠しているこの街は、今後、炙り出そうとするであろう"イタリア的”なるものにマッチしている。

ところで、本書はトリロジーの第一作目であり、続く第二作の「The Abduction」も米国では5月刊行が決まっているそうだ。早川は仕事が早いから日本でも年内には読めるのではないだろうか。

また、本三部作にはCarvinia.comというウェブサイトがあるのだが、少しではあるが「カルヴィニア」の世界を視覚的に体験できて面白い。もちろんダニエーレのものには遠く及ばない。が、それでも一新人作家としてはかなりのお金がかかっているのは事実で、周囲のジョナサン・ホルトへの期待がうかがえる。


カルニヴィア 1 禁忌 (ハヤカワ・ミステリ 1875)

ジョナサン・ホルト (著), 奥村 章子 (翻訳)
早川書房 (2013/9/5)


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category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  早川書房  ヴェネツィア 
2014/01/09 Thu. 11:00 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: 正月・・もう先月のことのような・・

naoさん、こんばんは。

自分のボケ加減にはあきれるばかりで...
本当にどうしたものでしょうねぇ。

『インフェルノ』もう借りられたのですか?
いい図書館ですねぇ!
横浜市立図書館なら、1年くらい待たされそう。

そうそう、この『カルニヴィア』は舞台こそヴェネチアですが、書いている人は英国人なのです。
満潮をむかえると水没してしまうところもあるので、物語中カテリーナは長靴を常に携帯していたりもするんですよ。
私も水没してしまう前に訪れたいと思っているのですが、膝まで浸かってお茶というのは嫌だから、長靴持参かなぁ?(笑)

『ボックス21』も面白そうですね。
私もAmazonで万超えしてた『制裁』を昨年末プレゼントしてもらいました!
まだ、読めてないのですが、楽しみです。

では、では〜


Spenth@ #- | URL | 2014/01/09 Thu. 22:07 * edit *

正月・・もう先月のことのような・・

Spenth@さんから三度も(!)新年の挨拶をしてもらえるとは幸運なヒトだぁ。
(相手はしかし自身の印象の薄さに思いあたって凹んでおられるかもしれませんが・・失礼)。

ほう、本作もイタリアもの(イタミス)でありますか。
実は今日からダンブラ『インフェルノ』(イタミス)を読み始めたとこなのでした。
こちらの図書館では本書は予約待ちは自分ひとり、
すぐ回ってきて読むことできそうです。

テーマは「女性の人権」であるとか・・
例の「三秒間の死角」の後、著者の旧作「ボックス21」を読みましたが、
それも女性人権問題に関わる酷い現状、その陰惨がテーマでありました。
・・周辺の貧しい国から、良い働き口があるからと騙されて渡航、
実は組織売春(斡旋)であったという社会問題。
現在でも起こっていることらしいですなぁ。

<ヴェネチアが舞台というのも良い。足元は海水に浸かり朽ち果てようとしており・・>
そういえば・・水位が足元でとどまらず、
冠水した広場のカフェで、膝下まで水に浸かりながら、
円テーブルを囲んでいた外国人旅行客を見つけ、その光景を写真に撮った、
というようなこと聞いたことありました・・シュールな画。

では!

nao #6gL8X1vM | URL | 2014/01/09 Thu. 20:55 * edit *

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