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読書日記、ときどき食日記

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『Xの悲劇』読書会〜レーンは殺人を黙認した?! 

snowman.jpg土曜は記録に残るような大雪で、横浜もこんな感じ。

公式には横浜の積雪は24cmだったけど、実際はもっと凄かったような。
「スキー場じゃないんだから」ってくらい降って積もり、我が家の近所にも雪だるまさんが出現した。


『Xの悲劇』読書会は、金曜の夜だったのが、その時はまさかこんなに降るなん。
金曜開催でよかった(笑)

さて、今回のスピンオフ読書会は"タマさん"プレゼンツの『Xの悲劇』読書会なのだ。
ご存知のように本書はレーン4部作の最初の作品である。この4部作全てで読書会をする読書会もあるそうだ横浜は1作品づつやる予定(予定は未定…)
そのため、今後3年間にわたって、残りのレーン4部作を年1作品づつやっていくという壮大な計画もある。
名付けて「レーン4部作4カ年計画」なのだ!


参加者はゲストの越前敏弥氏を含めて13名。場所は横浜駅近くの某カラオケ屋の個室である。
「カラオケ屋で読書会ぃ〜〜〜〜?!」って思われるだろうが、ところがどっこい、完全防音の個室なのでどっかの合コンの騒音も気にならないし、飲み放題付きの宴会プランは居酒屋に負けてないし、金曜日でも3時間確保できるしで、これがなかなかなのだ。

今回、初読の方は3名で、残りは再読組。
13人中、男性は越前氏と横浜読書会の世話人のおてもとさんのみ。
クイーンのような本格の「パズルもの」のファン層は多分理数系に強い男性が多いというが、この女子率の高さ!

   20140210 Queen 1
   20140210Queen2

初読の人がこれまで読まなかった理由は「とっつきにくかった」「いつか読めばいいかと思ってたら今に至ってしまった」とか、「以前読みかけたのだが訳が堅くて読みにくく途中で挫折してしまった」などなど。
ただ、読んでみると「すごく面白かった」そうだ。
今回は角川の越前氏の新訳バージョンに限定したのだが、読みやすいと好評だった。

ところでタマさんは、今回のためにカートで全バージョンの『Xの悲劇』を持ってきてくれた。越前氏によれば、なんとどれも1ページに一カ所は誤訳があるのだそうである。
古くには、レーンが自分のことを「私」ではなく、「あちき」と言ってるものもあるそうで、元シェイクスピア俳優を歌舞伎役者として解釈したものらしい(笑)

他方、再読組の人に共通していたのは、「ニコチンの針球は印象に残っていたけど、犯人が誰だったのかとかすっかり忘れてしまっていた。」ということだった。
この感想は、実はクイーンという作家の特徴をそのまま言い当てているのではないだろうかと思う。




エラリー・クイーン・ファン倶楽部会長の飯城勇三氏も指摘しているが、「クイーンにとって犯人はそれほど重要じゃない」のだ。
結果よりもむしろ推理の過程のほうに重きが置かれている。
だからフーダニットにはつきものの、長々とした「犯人の告白」もない。多くの「本格もの」が「犯人の物語」であるのに対し、「探偵の物語」だと言っていいだろう。

そのためか「クリスティのようなドラマ性がない」という声もあった。
だが、一概にドラマがないかといえば、実はそうとも言い切れないような…

最後の最後、タマさんが、「P282でレーンは、車掌が後部に進んでいくのをただ黙認してるけれども、これはドウィット氏殺しを犯人に敢えて遂行させていると言っていいのではないか」と指摘した。

人殺しをしようという人を敢えて見逃すのだから、レーンてもしかして悪い奴じゃね?というわけである。

となると、様相は異なってくる。
ドウィットは、"犯人ではありえない”コリンズと一緒にいるとレーンは思っていたので、私は一概にそうとも言い切れないと思うが、そもそも「ロングストリート氏殺しの犯人がわかった時点で、その犯人を警察に拘束させておけば、第二第三の殺人が起きることもなかった」のだ!

実はこの「レーン悪人説」には、ちゃんとした根拠もある。
いみじくも、初登場のシーンで、「作者の糸のままに操られてきましたが、自分が糸を操る側になりたいと思ったのです。」と言っているように、レーンは単に事件を解決するだけではなく、糸を引くことによって事件を変えてしまう探偵として設定されたキャラクターなのだ。

そもそもがクイーンがこのドルリー・レーンというキャラクターを生み出し、バーナビー・ロス名義でレーン4部作を書くに至ったのは、『レーン最後の事件』のトリックを思いついたことに起因しているのだという。
しかし、このトリックは既に使い古されているものだったので、それならば、シャーロック・ホームズ並の名探偵にその役をやらせてみてはどうかと彼らは考えた。だが、クイーン名義で書いている探偵エラリー・クイーンにそれをやらせるのはあまりに惜しい。そこで生み出されたのが元シェイクスピア俳優の名探偵ドルリー・レーンだったのだ。
つまり当初の意図としては、最終的に書きたかったのは『レーン最後の事件』であり、『Xの悲劇』などはレーンに難事件を解決した「名探偵」であるという”実績”を与えるための役割だったというわけだ。


最後に、前エントリで私が気にしていた「ニコチン針で実際に殺人は可能か?!」という疑問だが、これは結論からいって不可能らしい。
ちなみに越前さんも高校生の頃に調べてみたことがあるのだそうだ。

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category: 読書会

thread: 推理小説・ミステリー - janre: 本・雑誌

tag: 読書会  海外ミステリ  本格   
2014/02/10 Mon. 18:40 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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