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読書日記、ときどき食日記

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カンパニー・マン / ロバート・ジャクソン・ベネット 

robertjbennet-low-5164.jpg2011年度のフィリップ・K・ディック記念賞特別賞及び、2012年度のMWAペーパーバック賞の受賞作。

ただ、この本、SFなのかファンタジーなのか、はたまたミステリーなのか…ジャンル分けに非常に困る作品でもあるのだ。
『都市と都市』 C.ミエヴィルもSFといってしまっていいのかどうか意見の割れるところだが、彼のようなNew Weirdとはまた違う。

ベネット自身は「ファンタジー作家」とみなしているらしいが、どうなのだろう?






さて、舞台は1919年のアメリカはワシントン州にあるイヴズデンという巨大都市。もしかしてそうだったかもしれないパラレルワールドにおける過去の物語である。

かつて辺境の漁村に過ぎなかったイヴズデン市は、マクノートン社の躍進によって史上空前の一大産業都市となった。
マクノートン社は、この地の漁師クラヒー老人の発明をウィリアム・マクノートンがビジネス化したことで始まったが、その驚異的な技術の着想や研究方法は厳重に秘匿されている。
この技術がいかにして生み出されたのかは完全な謎とされてきたのだ。開示を求める議論は当然あったが、同社はアメリカ経済で力を持っているので、今では法律もがそれを擁護している。

そんなマクノートン社の本拠地、イブズデンは奇跡の街だった。
空には飛行艇発着台がそびえ、よそではお目にかかれない自動車が道路を埋め尽くしている。「ネイル」と呼ばれる翡翠色をしたマクノートンの本社ビルがそそり立ち、人々の足元には地下にめぐらされたトンネルを列車が走っている。
だが、奇跡は代償を伴う。イブズデンになだれ込む移民は一日に数千員単位、街は無秩序に拡がり、堕落と腐敗が横行していた。

そんなある時、運河で男の遺体が発見される。マクノートン社の保安要員ヘイズは、遺体は"組合”のメンバーに違いないと確信する。
airship.jpgマクノートンの経営陣と労働者たちの"組合”は対立状態にあったのだ。そして最近"組合"に関わり合いのある人間が殺される事件が相次ぎ、一即触発の状態だったのだった。
ヘイズは、要するにマクノートン社の諜報員だ。彼は人の心の声を感じることができ、それは仕事に役立つものだったが、同時に彼はその力に蝕まれていたのだった。
ヘイズは上司から"組合のイヌ”探しを命じられるが、ほどなくして大事件が起こる。列車が、血まみれの死体となった乗客を乗せたままホームに滑りこんできたのだった。車内の遺体は11人。その殆どが"組合"の人間だった。彼らは一つ手前の駅で乗り込むところを目撃されており、そのわずか4分後に遺体となって発見されたのだ。4分弱で11名の殺害…もはや神業だ。そして誰一人として抵抗した痕跡はなかった。
犯人は明らかに" 組合”を標的にしていた。大衆はマクノートン社が労働者を間引くために大量殺戮の手引きをしたのではないかと疑いを持ち始めており、危機に立たされた社はヘイズに事件の調査を命じるのだが…。




the Tower of Babelもっとも読者の興味をひくのはマクノートン社の秘密だろうが、これは割と予想通り。
"どこかで見知っている物語”という印象が強く、違和感もないけど同時にこれという新鮮味もない…。

しかし、だからといって面白くないというわけでもない。1919年という過去に舞台を設定されているのにもかかわらず、近未来の印象を受ける不思議な感覚は楽しめたし、アプトン・シンクレア的な視点も良いと思った。



上下巻だけど、『11/22/63』よりフォントは大きめ。割とすぐ読めます。

カンパニー・マン 上 (ハヤカワ文庫NV)
カンパニー・マン 下 (ハヤカワ文庫NV)

ロバート・ジャクソン・ベネット (著),
青木 千鶴 (翻訳)
早川書房 (2014/1/10)




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category: SF ファンタジー

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tag: 早川書房  MWA  SF 
2014/03/18 Tue. 22:18 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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