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読書日記、ときどき食日記

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監視対象 警部補マルコム・フォックス / イアン・ランキン 

complains.jpgこの春は刑事ドラマづくしだが、この刑事ドラマがどうも苦戦しているらしい。見込んだほどの数字がとれないんだそうだ。
まー、さすがに皆、飽きてきちゃってるのじゃないのかな…?
だってねぇ?ワンパターンだし…

あの「相棒」も最近は観なくなった。たまたまその時間テレビをつけていたら観るかという程度で、しかも最後まで観ることはない。
「相棒」のレギュラーで好きなのは鑑識の米沢さんと神保さん演じる大河内監察官である。
大河内サンはイライラすると白い錠剤をボリボリするのだが、その白い錠剤が実はラムネ菓子だというオチも好き(笑)

映画も予想より苦戦しているみたいだが、目先を変えるべきなのか、それとも限界なのか…。



さて、本書の主人公マルコム・フォックスはそんな大河内サンと同じ監察室勤務の警察官なのである。
お、どうでもいいハナシからようやく本題に近づいたな(笑)

大河内さんはキャリアのおエライさんだが、フォックスのポジションは地方警察の監察の部員といったところだろうか。
所属しているのは、エジンバラのロジアン&ボーダーズ州警察の内部観察室だ。仕事は他の警察官の不正を捜査することである。同僚から疎まれる存在なのだ。
監察官は仲間内からは決まってこう言われる。「よくも身内に唾を吐けるな。一緒に仕事をしてきた警察官なんだぞ。それに奴は悪じゃない、善だ!」
フォックスとて、好きで監察勤めをしているわけではない。増してや自分自身が高潔というわけでもない。善とは何か?時にそれは自分の中ですら揺らぐ。言いたいことは山ほどある。だが文句は言えない (Mustn't complains.)自分は監察官なんだから。
私生活も、ボロボロだ。結婚には失敗しているし、アルコール中毒も治療半ば。父親の入っている介護施設は金がかかるし、妹はDV野郎に痛めつけられても、彼と別れようとしない。
こうした主人公の立場の特異性は、物語に独特の風味をつけ、深みを加えてくれている。


Edinburgh Castleコトの起こりは、そんなフォックスがグレン・ヒートンという汚職刑事を立件しようと準備していた時のことだった。
彼は、児童ポルノなどを取り締る"児童搾取及びオンライン保護部"通称チョップからある警官の監視を依頼される。監視対象はジェイミー・ブレック巡査部長で、ファイルによれば若手ながら出世街道をひた走っている。そんな彼は児童ポルノのサイトに関与している疑いがあったが、チョップはその証拠を掴めずにいたのだ。

ブレック巡査部長は汚職警官のグレン・ヒートンの元同僚だった。フォックスならヒートンの件だと思わせれば、ブレックに近づくことができる、フォックスはそう考えた。
そんな折、フォックスの妹ジュードの恋人のヴィンスが遺体となって発見される。ヴィンスは何者かに撲殺されていた。相当執拗に。皮肉なことに捜査を担当するのはグレン・ヒートの直属の上司のジャイルズとその部下のブレック巡査部長だ。
フォックスの監視対象のブルックが、フォックスの身内の殺人事件を捜査するという複雑な状況に陥ってしまっていた。
他方、ジャイルズはグレン・ヒートを可愛がっていたため、事件関係者がフォックスの身内と知るや否や、ここぞとばかりに仕返しを開始する。ターゲットは妹のジュードだ。フォックス本人を攻撃するより効果的だ。実は、ヴィンスが殺害される直前にジュードは彼の暴力によって腕を骨折していた。ジュードがその仕返しにヴィンスを殺害したと考えられなくもない。が、捜査は度を超していた。
当初監視対象だったブルックは、もともとジャイルズやグレン・ヒートンと反りがあわなかったこともあり、次第にフォックスと打ち解けていく。
フォックスとブルックの二人は共にヴィンス事件の捜査に乗り出すのだが、そこには思いも寄らない陰謀が…。

Ian Rankin2本書『監察対象』は、リーバスシリーズで有名なイアン・ランキンの新シリーズの第一弾だ。スコットランドの作家のイアン・ランキン、実は私はこれまで未読だった。特にゴールド・ダガーを受賞した『黒と青』はつねづね読みたいなぁと思っていたのだが、よもや新シリーズでランキンデビューするとは思わなんだ。

それで、どうだったのかと言えば、英国人作家ものにあまりハズレはないがランキンも例外ではない。結構凝ったプロットだし、それに無理がない。
雨ミスにありがちな正義感の押し付けがないのも好みだった。あれには時に辟易するが、念のため言っておくとフォックスに正義感がないというのではない。むしろ逆だ。それは他人に向けて派手に振りかざすものではなく、もっと芯に秘めたものじゃないかということである。
帯のキャッチは「道を踏み外した刑事(イヌ)を尾行する警察官(イヌ)、それが私だ」と、もんのすご〜くハードボイルド的なセリフなのだが、読んだ感じでは、フォックスは肩をいからせたタイプではない。
どれほど目の前に問題があろうと、自分のおかれた状況が理不尽だろうと、結局「文句はいえないーMustn't complains」父親のミッチ同様、フォックスはそういう人間でなのある。Complainsはたくさんあるが、それを言ってたって解決しやしない。言ってる間に信じる道を突き進むのみ。don't have toでなく、shouldn't でもなく、mustn'tというところが、気骨を感じるというか、スコットランド人っぽいというか。
この言い回し、ランキンの四角い顔とあまりにもマッチしているじゃないの。

なんと先々にはリーバスとの共演も検討されているという。共演も結構だが、『真鍮の評決』のリンカーン弁護士とボッシュの共演(というか単なるカメオ出演)みたいなお粗末なことにならなきゃいいけど(笑)


早速『黒と青』もポチった。まずはリーバスを読まなくては。
次回作も私は必ず購入するだろうと思う。


監視対象: 警部補マルコム・フォックス (新潮文庫)

イアン ランキン (著), 熊谷 千寿 (翻訳)
文庫: 755ページ
出版社: 新潮社 (2014/4/28)







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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 推理小説・ミステリー - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  英国  エジンバラ   
2014/05/08 Thu. 23:25 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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