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読書日記、ときどき食日記

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人類が滅亡する6つのシナリオ〜もはや空想ではない終焉の科学/ フレッド・グデル 

ナダル、ローマ準優勝おめでとう!!!
しかし、トップ選手がそのトップ地位を維持することのなんと難しいことか。
プロテニスのツアーというのは、特に苛酷なスケジュールでオフシーズンというものはないに等しい。常に肉体的にも精神的にもギリギリの状態だ。まだ目指す上がはっきりしている下位選手ならまだしも、トップ選手のプレッシャーは並大抵のものではないだろう。
フィギュアの真央ちゃんは来季休業するらしいが、ナダルも少しお休みしてもいいのじゃないだろうか。

本書に出てくるキーワードに”ティッピングポイント"という言葉がある。これはゆっくりと予測可能な変化をしていた物事が突如急激な変化をし始める時点をさす。
すでに積載限界の荷物を背負ったラクダは、ワラ一本載せただけで背骨が折れてしまうこともあるのだというが、この背骨が折れる瞬間こそがティッピングポイントだ。
そういえばフェデラーもどこかの時点からか、それまでのように勝てなくなってしまった…



future2.jpgさて、本書に挙げられている”滅亡のシナリオ”は未来予測ではない。
この本に書かれていることは、最悪の場合何が起こるか、ということで、SFも真っ青胃の恐ろしいシナリオである。予測ではないということは救いであるものの、かなり実現可能性も高いものであるのも確かだ。

この本に挙げられている人類絶滅の要因は、スーパーウィルス繰り返される大量絶滅気候変動生態系の均衡の危機バイオテロコンピューターの暴走である。

2009年に流行したインフルエンザウィルスは、幸いなことに致死性の高いものではなかったが、ほんの少し遺伝子の配列が異なっていれば全世界的に破滅をもたらすものだったという。
また、生物学者の多くは現在進行形で地球上の生物は大量絶滅に向かっていると信じている。過去起きた大量絶滅を考慮するなら、もはやそれを止める手だてはないかもしれない。

そして、炭素排出量の増大により今地球では進行形で温暖化が進んでいる。気候は今後、急激に悪い方向へと変化してしまう可能性があるのだという。気候変動におけるティッピングポイントは、もういつであってもおかしくはない。既に世界各地で旱魃は起きており、先のオーストラリアの旱魃は穀物の価格の高騰を招いた。オーストラリアでは既に降雨予想ができなくなっており、旱魃に襲われやすくなっているとも言われている。飢餓は争いも生む。これが世界規模で起これば人類をはじめとする生物は絶滅の危機にさらされる。

気候変動のために農作物の収穫高が激減する事態となっても、我々にはテクノロジーがある。DNA操作によって少ない水分でも生育する穀物を生み出すことができるし、それによって飢餓を予防することだってできるだろう。
だが、そのテクノロジーは諸刃の剣でもあるのだ。生物学は日進月歩で進化しており、病原体のゲノム解析も進んでいてネットで公開されてもいる。
作中では、平凡な高校生たちがMITのiGEMというイベントに参加し、生物の細胞を改造することに成功したという話が紹介されている。この改造自体は、何の悪意も他意もないもので学生たちにとって意義あるものだった。が、彼らの成功の裏には、ほんの2,30年前までは誰もなし得なかったことが、わずかなコストで可能になったということに対する脅威が存在している。近い将来、専門的な知識や資金がなくとも、誰にでも生物兵器が造れるようになっているかもしれないのだ。

最後のシナリオは人工知能の暴走だ。
映画「ターミネーター」に描かれてた機械が自我を持ち、人間から世界の支配権を奪うということは、当分あり得そうにないと著者はいうが、もしもソフトウェアに何かがあれば、我々のデジタル依存度からすれば、甚大な被害が生じる恐れがあるのは確かである。
恐ろしくもあり同時に不謹慎ながらもワクワクしてしまったのは、スタックスネットというマルウェアの逸話だった。
マルウェアというのは、他人のコンピューターに侵入して持ち主の意図とは無関係の動作をするプログラムだ。ウィルスやワームが歩兵ならば、このスタックスネットと名付けられたマルウェアはエリート中のエリート、特殊部隊の隊員のようなものだという。
作成者によって予め、技術的な知識を付与されトレーニングさえ施されており、いついかなる状況に陥ってもその知識を用いて自力で生き残り任務を成し遂げる。実際、スタックスネットが遂行した任務は、CIAの腕利きスパイでも不可能なことだった。イランの核施設の遠心分離機を故障に見せかけ破壊したのだ。

china1.jpgこれらから何を学ぶか。私は著者よりも悲観的かも…。

人類絶滅の二番目のシナリオの「繰り返す大量絶滅」を除けば、それらは全て"人間に起因"するものである。自業自得といえば、その通りだ。小さな池の水中の環境が破壊されてしまったとき、元の澄んだ水の状態に戻す鍵は池のなかの魚が握っているという。池が濁ると魚は数を増す。増えた魚たちは水をかき回し、沈殿物が浮き上がり植物は水は濁る。魚たちが水を浄化する動物性プランクトンを食べ尽くすことにより、さらに水は濁り、水中に光が届かないことで植物は死に絶える。死のサイクルだ。だが、一旦池から魚を排すれば、数ヶ月後には水は再び澄み植物も茂るようになるのだという。
この話のなんと示唆に富むことか。私たち人類は池の魚と同じなのである。
たが、人類を一旦地球から別のどこかへ移住させることは不可能だ。

人口は地球という池のキャパシティなどおかまいなしに増加を続けている。今世紀末には100億人を突破するともいわれており、ダン・ブラウンの『インフェルノ』にようなことが起こっても全く不思議ではない。

そして、そもそも人類の文明は繁殖を良しとして発展してきた。産まれてくる子供を制限するのは、そもそも人の本能や良心に反するものであるし、逆に寿命をのばすのは良い事として世間一般に認識されている。経済も人口が増え消費が増え続けることを前提に成り立っている。
しかし、どこかの時点で爆発する人口をどうにかしなければ、最悪の6つのシナリオの多くは現実のものになってしまうだろう。この矛盾はどう扱われるべきなのだろうか?
地球滅亡は太陽に飲み込まれる76年後だという話だった気がするが、人類の滅亡はそれよりもはるかに近そうである。




人類が絶滅する6のシナリオ: もはや空想ではない終焉の科学

フレッド・グテル (著), 夏目 大 (翻訳)
単行本: 320ページ
出版社: 河出書房新社 (2013/9/18)







マンアフターマン―未来の人類学

ドゥーガル ディクソン (著), 城田 安幸 (翻訳)
出版社: 太田出版 (1993/12)






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category: ポピュラーサイエンス

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 未来  科学    人口  絶滅  SF 
2014/05/19 Mon. 20:38 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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