Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

05« 2017 / 06 »07
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.

希望の記憶 / ウィリアム・K・クルーガー 

全仏オープンテニスもセカンドウィーク、佳境に入った。見逃せないカードばかりで連日寝不足だ。
それにしてもフェデラーがグルビスに破れるとは…
ラオニッチもベスト8入りしており、徐々に世代交代が始まっているのかな?
ナダルはお誕生日おめ!
心配したけど、今年もバースデーをローランギャロスでむかえられて良かった!!!


copper riverさて、本書『希望の記憶 』『闇の記憶』 の続編である。

コーク・オコナーは、前回の事件でシカゴの富豪ルイス・ジャコビの恨みを買ってしまう。ジャコビは自分の家族を殺したのはオコナーだと思い込み、彼の首には50万ドルもの懸賞金が賭けたのだ。
オコナーは家族に危険が及ぶことを避けるためにオーロラを後にするが、追っ手に脚を撃たれてしまう。妻にかけた電話が元で居場所が知られてしまったのだった。
手負いのオコナーが頼ったのは、ミシガンに住む従姉妹のジュエルだった。理由があって長年疎遠になっていた彼女は、獣医をしており、14歳になる息子のレンと二人暮らしをしていた。
物語は、このレンと彼の親友、チャーリー(シャーリーン)を中心に進んでいく。

前作はまさかのto be continuedで終わってしまったが、こうして続編でありつつもまた別の事件のオハナシは始まる。
今回オコナーは脚を負傷しているので、アクションシーンもなければ、敵と直接対峙するようなこともない。その代わりに活躍するのがレンなのだ。オコナーとレンには、同じオブジワの血を引き、それが悩みであり同時に誇りでもあるという共通点がある。ある意味レンはオコナーの分身といってもいいのだ。
また、チャーリーはその呼び名の通り男勝りの女の子だ。彼女の家庭は複雑で、母親は出奔しており、酒浸りの父親と暮らしているが、父娘の仲は良好とは言えない。
レンとオコナーに見られる相関関係と対を為すのが、ダイナがチャーリーに対して抱く感情で、この物語ではダイナの意外ともいえる一面を見ることができる。

cougar ある時、レンとチャーリーともう一人の仲間スタッシュの三人は隠れ家にいたが、その時スタッシュがコパー川を流れていく死体を目撃する。それ”を目にしたのはスタッシュ一人だったため、チャーリーとレンは、夜、改めてコパー川に死体を探しにいくのだが、そこで怪しげな船と出くわしてしまう。追いかけられた二人は這々の体で家に逃げ帰ったのだった。
翌日レンは父子家庭のチャーリーの家に朝食の差し入れにいくが、そこで彼女の父親の遺体を発見してしまう。彼は無惨に撲殺されており、凶器はチャーリーのバットとみられた。そして、チャーリーの姿はどこにもなかったのだ。
父親との関係と凶器のバットから、警察はチャーリーの犯行を疑っていたが、レンにはどうしても信じられなかった。
そんな矢先、湖で10代の女の子の遺体が見つかって…



本書と前作『闇の記憶』を終始流れるのは「家族」というテーマである。ただ「家族」と書いてしまえば陳腐に感じるだろうが、クルーガーが描く家族間の問題は心に沁みるのだ。誰にでも当てはまる普遍的な問題であることもよいのだろう。主人公の悩みが自分のものとして深く理解できるから。

ところで、クルーガー作品は、派手なアクションがあるわけでもなく、ものすごいトリックが隠されているというわけでもない。売りは、アメリカの中西部、カナダ国境と面する辺境の地の広大な自然の美しさと、主人公オコナーとその周囲の人々の素朴さといったところだろうか。今回目を引いたのはクーガー(ピューマ)の存在で、それが事件のキーになっているところなどは心憎いかぎり。

コーク・オコナー自身が言うように、「自分自身のあり方と持てる知識を注ぎこんだとき、最高の作品は生まれる」。まさにこのシリーズは、クルーガー自身のあり方と持てる知識が注ぎ込まれたものなのだと思う。
前作から引きずっているジャコビ問題に関しては、少々「やっつけ感」は否めなかったが、それを差し引いてもいい作品だと思う。
時には歯を食いしばり、変えられないものを受け入れなければいけないというコーク自身の決着のつけ方も現実的な意味で男らしい、コークらしいと思ったし、ミシガンの森の香りと美しいクーガーの獣臭さえ感じられたことにも満足した。


希望の記憶 (講談社文庫)

ウィリアム.K・クルーガー (著), 野口 百合子 (翻訳)
講談社 (2011/11/15)








闇の記憶 (講談社文庫)


ウィリアム.K・クルーガー (著), 野口 百合子 (翻訳)
講談社 (2011/6/15)




関連記事

category: スパイ・冒険・ハードボイルド

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2014/06/03 Tue. 14:57 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/376-4a80587e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top