Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

03« 2017 / 04 »05
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.

NOS4A2-ノスフェラトゥ / ジョー・ヒル 

サッカー日本代表に、奇跡は起きなかった…
しかし"奇跡"はめったに起こらないから"奇跡"なのであって、C.ロナウドのようなスーパースターでさえもそれを起こすことはできなかったのだ。手のひら返しのバッシングはちょっと気の毒というものだ。
ザックジャパンの皆さんは、お疲れさま!!!
残念ながら日本は敗退してしまったが、Wカップはこれからが本番。

そして、ウィンブルドンも始まった。
ナダルは2Rのロソルにリベンジできてよかったぁ!
さすがはナダル!
また、まだしばらく寝不足が続きそうな私なのだった。




nos4a2.jpgなんだかんだで読むのが遅れてしまった『ノスフェラトゥ』、これは、4月の翻訳ミステリシンジケートのコンベンションの出版社対抗ビブリオバトルで紹介されていた本で、その時から絶対読もうと思っていた。

「ノスフェラトゥ」とはルーマニア語で"吸血鬼の総称"として使われる言葉なんだとか。
ビブリオでは「吸血鬼の話」で「ロールスロイスが重要な役割」と聞いていたが、想像より、斜め上をいっていた(笑)
確かに「吸血鬼の話」というのは間違いではないが、あの太陽が苦手で血をすする"定番の吸血鬼"とはちょっと違うのだ。


本書は、一言でいうと「思考が持つ力の物語」である。

人には、誰しも自分だけの内的世界がある。それは、万人が共有している現実世界に負けないくらい"現実”だが、" そこ”には自分以外の人間は足を踏み入れることができない。

"それ"は幻想と呼ばれるものかもしれないが、人間はいつだって幻想を現実のものに造り変えることができる。頭に浮かんだリズムをもとに作曲したり、イメージをもとに絵を描いたり…。イメージトレーニングといったものも、人のそういった能力に着目したものなのだろう。
"幻想"とはいわば、命を吹き込まれるのを待っている"現実”だ。そして「強力な想像力」は、現実と幻想の間の壁を取り払ってその二つを合体することができるのだ。


さて、主人公はその「強力な想像力」の持ち主のヴィク(ヴィクトリア)・マックィーン。
彼女は「失くしもの」を見つけるできた。8歳のとき父親からもらった自転車を使って。
その蛍光ブルーの自転車を走らせていると、やがて「屋根付き橋」が出現する。その橋を渡れば、いつだって「失くしもの」がある場所に行けたのだ。両親の喧嘩の元になった母親のブレスレットも、祖母の写真も橋のおかげで見つけることができた。現実世界の「屋根付き橋」は大昔に取り壊されてしまっていたが、その自転車を使えばヴィクは橋を出現させることができた。橋はいつもヴィクを行く必要のある場所へと運んでくれたのだった。
13歳になったとき、ヴィクは橋を使っていった先で、自分と同じような能力を持つ図書館司書マギーに出会う。
マギー曰く、自分たちは「トーテム」を使って内的世界と現実を合体させる力を持っているのだという。マギーの「トーテム」はスクランブルの袋で、その袋に手をいれると必要なコマが出くるのだ。そのコマは「必要なこと」を教えてくれるのだという。

マギーはヴィクが自分の元にやってくことも知っていた。スクランブルのコマは「ヴィクなら"死霊(レイス)”を見つけられる」と教えるが、マギーはヴィクに「決して探しにいかないと約束して!」と懇願するのだった。ヴィクたちのような力を持つ人は、善人とは限らないからだ
"死霊”の「トーテム」は古い車で、それを使って子供たちをさらって何かをする
という。"死霊”は吸血鬼みたいに、自分が生き続けるために子供たちが必要なのだ。車から下りたとき、子供は子供で、いや、人間ですらなくなる。そして彼らは"死霊”の悪しき内的世界、クリスマスランドに放置される。

現実世界では、マギーの話を裏付けるかのように各地で連続児童誘拐事件が頻発していた。
マギーにあった直後、ヴィクは自転車を失くしてしまい、しばらく屋根付き橋をみることはでいなくなっていた。しかし、17歳のある時、偶然自転車を発見する。過干渉な母親に嫌気がさして家出を決めたヴィクは、再び自転車を走らせて橋を渡り"橇の家(スレイハウス)”にたどり着く。
その家は、何百ものクリスマスオーナメントが吊るされた樅の木に囲まれ、クリスマスソングが流れていた。そこには「NOS4A2」のプレートをつけたロールスロイス"レイス”があり、車のなかには幼い男の子がいた。

ヴィクは助けようするが、そこに"死霊"ことチャーリー・マンクスが現れて……



Joe-Hill.jpgジョー・ヒルは初めてなのだが、ひき込まれてしまった。
ヒルは巻末の謝辞で「思えば、生まれてからわたしはずっと父を追って父の裏道をバイクで走っていたのかもしれない。」といっているが、いわれてみればそこかしこに父親であるS.キングの影響が感じられる。

下巻になると物語の趣がグっと変わり、より面白くなる。ヴィクは母親となっており、物語は「子供を奪われた母親の闘い」になっていくのだ。

マンクスとの対決も迫力満点だが、子供の頃相容れなかった両親のことを理解していく様や、愛されなかったがゆえに夫への愛し方が分からない複雑な心の描写なども迫るものがあった。

コンベンションの時に翻訳の白石さんからも聞いていたが、ジョー・ヒルは母親に読んでもらい、その助言でラストを書き直したのだという。当初はどうするつもりだったのかなぁと再読してみるのもまた楽しいかもしれない。

巻末の解説は霜月さん。
私はジョー・ヒル初デビューで『ホーンズ 角 』などが未読なためにピンとこなかったが、作品に寓意性を持たせているというのには「なるほど!」と思った。
何か特別な力を行使すれば、必ずその代償が求められるものだ。作中でもマギーもヴィクも支払う犠牲は小さくなかった。

そういう意味ではW杯の日本代表も「奇跡」なぞ起こらなくて良かったのだ。次回、実力で突破すればいいではないか。



NOS4A2-ノスフェラトゥ- 上 (小学館文庫)</a>
NOS4A2-ノスフェラトゥ- 下 (小学館文庫)


ジョー ヒル (著), 白石 朗 (翻訳)
小学館 (2014/5/8)






関連記事

category: SF ファンタジー

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: モダンホラー    クリスマス  異世界 
2014/06/27 Fri. 15:48 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/381-7cd570c9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top