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読書日記、ときどき食日記

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逆さの骨 / ジム・ケリー 

今年のウィンブルドン、ナダルは決勝まで行けると思ったんだけど…
残念…

ディミトロフ、ラオニッチなど若手の台頭も目覚ましかったけど
決勝は、結局オールドカードのフェデラーVSジョコビッチ。
ラッキードローのおかげもあるだろうけど、まさかフェデがここまで復調するとは!

フェデラー優勝に優勝してほしいな!!!(モウジョコハイイガゲンニイイデショ)
その決勝は日本時間の今夜。どうなることだろうか。


Jim-Kelly.jpgさて、本書『逆さの骨 』ジム・ケリーの"フィリップ・ドライデン"シリーズの三作目である。
実は私はこれがシリーズものだとは知らずに購入してしまった…
当然のことながら前二作品を読んでいないのだが、全く影響ナシ。
前作の知識がないがためにわからないところも、特になかった。



さて、主人公のフィリップ・ドライデンは、イングランドはイーリーの地元新聞「クロウ」の記者だ。
数年前の自動車事故のせいで、妻ローラは「閉じ込め症候群」に陥り未だ入院中だ。「閉じ込め症候群」の患者は、ある程度までは意識があるものの、肉体は全く動かない。だが、彼女は空気管を吸ったり吐いたりしてアルファベットを操るCOMPASSという機器のおかげで、外の世界に意思を使えることができるようになっていた。今ではインターネットに接続することによりEメールを送ることさえできる。

その事故がもとで、ドライデンは車の運転かできなくなり、今は専らハンフのタクシーに頼っている。ハンフはドライデンにとっていわば非公式のお抱え運転手みたいなものなのだ。
イーリー唯一のツードアのタクシーで、座席は錆のために前方で固定され、窮屈この上ない。しかもハンフは運動不足と過食のせいで医者から早急に体重を20Kg落とすよう言われている始末。二人の人生はどこへむかうでもなく、ブックエンドのように対になっている。
Ely Cathedralドライデンがネタを求めて立ち寄る先の一つに発掘現場がある。
元捕虜収容所だったこの場所からは、鉄器時代の遺物が発見され、今ではアゼーリョ・ヴァルジミーリ教授指揮のもと国際的発掘調査が行われていた。イタリアのルッカ大学からやってきた洗練された容姿のヴァルジミーリ教授は、意外にもこの地方の出身だったのだ。
あるとき、その発掘現場で骸骨が発見される。トンネルらしき穴で見つかった骸骨は、50年くらい前のものと推定された。額には弾丸の痕がみられ、手にしていた防水布の中からは、真珠のネックレスと大きな燭台がみつかった。
このトンネルは、かつて捕虜収容所だった頃に、密かに捕虜たちの脱出用に掘られたものと考えられた。しかし、不思議なことに、その骸骨は収容所の外に向かってではなく、中に向かって這い進んでいたのだ。
戦争当時、収容所に囚われていたのは、主にイタリア人捕虜だった。ドイツ人捕虜と違い、彼らは戦後もイーリーに留まって独自のコミュニテイを形成している。
ドライデンは調査の過程で、1944年にオスミントン屋敷に強盗が押し入り、美術品が盗まれ人が殺されたことを知る。当時、疑いをかけられたのはイタリア人捕虜たちだったが、彼らには有刺鉄線の向うにいたという鉄壁のアリバイがあったのだった。
トンネルの骸骨が所持していたのは、その屋敷から盗まれたものではないのか?
そんな矢先、発掘現場でまた殺人が起きて…



the moon night本書が「英国本格ミステリ」であり、真相から展開を逆算して精巧に組み立てられた作品であることは異論はないが、だからこそ、逆に、途中で真相が分かってしまう人も多いのではないだろうか?
だが、それで本書の面白さが削がれたりはしない。それが黄金期の「本格」とジム・ケリーの違いだと思う。

本書のキャッチは「英国本格の精華」とあるが、著者の狙いはフーダニットにもファイダニットにもないと思う。本書は「本格ミステリ」としてというよりは、小説として優れているのだから。
ドライデンとCOSMOSSを通じて意思の疎通が可能になったローラの葛藤もさることながら、謎の真相の部分にかかわってくる"近くて遠い関係”のドラマは読み応えがある。

原題は「The Moon Tunnel」、作中何度か満月を狂気に結びつける描写がでてくるのだが、その月のもたらす「狂気」こそが物語の重要な鍵なのだ。
日本語版は、どうしてタイトルを変えてしまったのだろう?
骸骨がトンネルの逆方向を向いていたというのは、副次的なものにすぎない気がしたので、少し残念に思えてしまった。

ところで、物語の舞台となるイーリーは、イングランドで三番目に小さい都市だそうである。
著者も「辺鄙な小さい街を舞台にする場合の問題のひとつとして、フィリップ・ドライデンの物語がいくらか事実に基づいていると誰もが確信してしまうことにある」といっているのだが、その通りなのだろう。
イーリーに行けば、ポケットから砂まみれのポークパイを出して頬張るドライデンや、カプリのタクシーのなかで居眠りをするハンフの姿が見られるのではないかと思ってしまうのだ。それは、それだけ登場人物がしっかり描かれているということの裏返しでもあるが、迷惑を被る人もいるのだろう。
それにしても、常に食べ物が入っているドライデンのコートのポケットはどうなっているんだろうか?あまり衛生的でないことだけは確か…



逆さの骨 (創元推理文庫)

ジム・ケリー (著), 玉木 亨 (翻訳)
東京創元社 (2014/2/28)






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category: クライム・警察・探偵・リーガル

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tag: 英国  本格  ドライデン   
2014/07/06 Sun. 16:35 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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