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読書日記、ときどき食日記

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熱く濃く!ミレニアム1『ドラゴンタトゥーの女』読書会 

台風一過で今日は青空が広がっているが、金曜の夜のムシ暑かったことといったら!そんな不快な湿気にも負けず読書会は行われたのだが、お盆直前とあって参加者は10名と少数だった。

スピンオフで10名って『あの夏、エデンロードで』読書会以来かな?

ということで、お馴染みさんオンリーでこじんまりとスタート。ただ、こういうのもたまにはいいかも!



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いつもは皆が一人一人感想を言っていきその都度雑談という感じで進行しているが、今回はあらかじめ少人数だとわかっていたのでちょっと趣向を変えてみた。
参加者にメールで事前資料とアンケートを送り、返信されてきたアンケートの回答に沿って進行しようと思ったのだ。そしてこのアンケートのまとめを当日の配布資料としたのだ。

ちなみに、右のが事前に配布した資料(※クリックでPDFが開きます。)
アンケートの項目は全部で5つ。
Q1、リスベットについて
Q2、ミカエルについて
Q3、ヴェンゲル家について
Q4、ヴェンネルストレムについて
Q5、読書会で取り上げて欲しいテーマ


Q4は不必要な気もしないでもないが、個人的にリスベットが最後に彼に対して行ったことについて皆がどう思うのか気になり、誰かそれに触れるかなと思ったけどやはり不要だったかも。
こうした事前アンケートは、皆の負担になったりするかな?と少々心配していたが、返ってきたのはどれもなかなかの熱の入りようで、長文も多かった。やっぱり読書会とかに参加しようという人は、基本、"語りたい人"なんだよなぁとつくづく思う。
私にとっては事前に皆の傾向を掴むことができて非常に有益だった。なぜなら時間は3時間しかないのだ。(結局延長したのだが。)
  20140811m20.jpg


進行については、今回は一人づつ感想を述べるというのは割愛させてもらった。
予定としては、まずリスベットについて、それからミカエルについて皆で話をし、その後皆がそれぞれに読書会で取りあげてもらいたいと思うテーマに入ろうと思っていた。リクエストのあったテーマは、下記の通りだ。

1、お気に入りの登場人物 2、映画について(スウェーデン版とハリウッド版はどちらが好みか?) 3、翻訳について 4、「押し花の謎」について 5、「密室孤島からの人間消失」について 6、『ドラゴンタトゥーの女』は中途半端では? 7、非英語圏のスウェーデン名の馴染みにくさについて 8、続編について

ただ、遅れてくる人もいたのでまずリスベットではなくミカエルから始めることにした。

◆ミカエルについて
殆どの人が「節操がない、魅力がない」と散々な言われよう…。節操がないのは、フリーセックスの国スウェーデンならではのことなのかもしれないが、それにしても女性陣だけではなく、男性陣にも評判が悪かった。まぁいわゆる「いいヤツ」かもしれないが、確かにあれだけの女性から迫られるほど魅力があるようには思えない。
実は『ドラゴンタトゥーの女』ではミカエルはリスベットと等分にページを割いてある。にも関わらず彼の魅力が乏しいと感じるのは、誰かも言っていたようにリスベットとミカエルで男女の役割が逆転しているせいかもしれない。すなわちリスベットが男性的ヒロインであるために、ミカエルが”添えもの”になってしまっているのだ。いうなれば、彼は『ミレニアム』においてのボンドガールだということもできる。ハリウッドリメイク版のミカエル役のダニエル・クレイグが「ボンドにしか見えない」というのは皮肉なことだが(笑)
他方、誰も傷ついてないのだから別にいいのかなとか、女性とフラットな関係を築ける男性として、上司や同僚、友人としてなら歓迎という声も。

◆リスベットについて
私は常々彼女をどう思うかで『ミレニアム』の評価は異なるだろうと思っていた。今回も一人くらいはあの奇抜な容姿がどうしても…という人がいるかなと思ったが、まさかのアンチなし。まあ、再読組が殆どだし、お盆前のこの時期に読書会にやってくるくらいなので当然といえば当然か(笑)
彼女は「サランデルの原則」という確固たる信念を持つ伝統的ヒロインであり、同時に社会的弱者でもある。そのアンバランスさが最大の魅力だ。あの目をひく容姿はスウェーデンの高福祉の手からこぼれ落ちている彼女の反逆の象徴と見ることもできるのかもしれない。
また、感情に乏しく、反面天才的ハッキング能力と映像記憶力を備えるリスベットに『攻殻機動隊』の草薙素子を連想したという人もいたし、そんな闘うキャラのリスベットがミカエルに恋をしてしまう”女の子としての一面”に萌えた人も多かった。
この日はほぼ肯定的なファンばかり。でも理由があるとはいえかなり酷いこともしていると思うけど(笑)

実は『ミレニアム』(特に「ドラゴンタトゥーの女」)はミステリ部分に瑕疵もある。にもかかわらず、「ミレニアム」が世界で6,500万部も売り上げるほどのエンタメに押し上げているのは一重にリスベットの造形によるものかもしれない。

◆その他リクエストのあったテーマ
1、お気に入りの登場人物
リスベットとミカエルを除いては、エリカ、パルムグレン、アルマンスキーとリスベット側の人物が多かったが、意外なところではイザベルという声も!なんでもハリエットとの対面直後に死んじゃったことで、「勝ち逃げ」的印象とのことだったが、私は彼女は母親として自分の娘を愛することができなかった時点で不幸な一生だったと思うな。
エリカについては、貴族の家柄に生まれて好きな仕事をし、精神的支柱である理解ある夫に性的要求を満たすミカエルがいて「得な人生」というところが女性陣から支持された。

2、映画について(スウェーデン版とハリウッド版はどちらが好みか?)
これはハリウッド版が優勢だったかな。まず、リスベット役はなんといってもルーニー・マーラちゃんの好演が効いたように思う。それに、さすがは世界のデヴィッド・フィンチャーでカメラワークなどはやっぱり比べるまでもない。
スウェーデン版とハリウッド版では脚本も異なっていて、スウェーデン版はミステリに焦点があたっていたが、ハリウッド版は原作により忠実な気がした。ただしオーストラリアロケまではできなかったようだが。
ミカエル役は微妙でダニエル・クレイグは007の印象が強すぎて、かといってスウェーデン版のミカエル・ニクヴィストは、どう見ても女性受けするようには見えない。どっちもどっちという感じだろうか。
逆に、ハリウッド版は垢抜けすぎているため、スウェーデン版のほうが好きだという人もいた。

3、翻訳について
リスベットが「〜だわ」などという女性っぽい言葉を使うのに違和感を覚えたという意見も。
確かにキャラ的には中世的なほうがよりリスベットらしかったのかも。ただ、私は個人的にはリスベットが知性的女性であるということが強調されたいい訳だったと思ったし、佐世保のあの女の子みたいに、自分のことを「僕」とかは言わせてほしくないかなぁ。

4、「押し花の謎」について
これは私も納得がいかなかったところで、『ミレニアム』の瑕疵のひとつだとも思う。そもそも親は(親がわりだったヘンリックを親に喩えてもいいだろう)子供が失踪して何年たとうが、遺体でもでてこない限りは、絶対にどこかで生きていると思いたがるものではないだろうか?
それをなぜ、ハリエットは既に一族の誰かに殺害されてしまって、安直に誕生日に送られてくる押し花を犯人の嫌がらせだと考えるのか?嫌がらせならば、もっと残酷なやり方もある。

5、「密室孤島からの人間消失」について
これは、トリックでもなんでもないような…。

6、『ドラゴンタトゥーの女』は中途半端では?
三部作全部読まなければ、『ミレニアム』の良さはわからないのではないか?という声があったのだが、『ドラゴンタトゥーの女』は一応これ単独で一区切りの作品といっていいのではないだろうか?ミカエルはヴェンネルストレムへの復讐を、リスベットはビュルマン弁護士への復讐を果たし、ヴァンゲル家の闇とハリエット失踪の謎は解き明かされた。雑誌「ミレニアム」は経営が安定し、最後にリスベットはヴェンネルストレムのお金まで手にいれることができた。これはこれでよくない?
ただ、2部と3部は密接な繋がりがあるので、少しボリューミーだが来年のミレニアム読書会はひとまとめにしてもいいかなと思っている。

話は逸れるが、実は今回『ドラゴンタトゥーの女』しか読んでいない人や、『火と戯れる女』でストップしているというどんだけマゾなんだ〜!な人も(笑)

7、非英語圏のスウェーデン名の馴染みにくさについて
スウェーデンに限らず、北欧もの全般に言えることだけどこれは確かに覚えにくい…。

8、続編について
別作家による続編というのはあまりうまくいった試しが…

ということで、こじんまりとだが濃く熱い読書会となった。
かなり省略したのだが、それでもこんなに長くなってしまった。
読書が趣味だというと昨今では変人扱いされかねない時代で、読書会を月1でやってるなど言おうものなら、さらに色眼鏡で見られかねない。ここでまたもやKameさんの名言だが、「そんな私たちは、皆リスベット」なのだ。だからこそこういう変人の集まりのような会は貴重なのである。



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2014/08/11 Mon. 18:13 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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