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読書日記、ときどき食日記

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アンダルシアの友 / アレクサンデル・セーデルベリ 

どうしようかなぁ読もうかなと思ってた本だが、これがよかった。
実はこれの前にフィンランドで初の"ガラスの鍵賞"を受賞したという作家の小説を読んだのが、私は断然こちらのほうが好み。特に暑いときはこの手のもののほうがいい。

スウェーデンものには珍しいド派手なジェットコースター・クライム・スリラーで、三部作の第一弾ということなのだが、是非続編も読みたいと思う。


Andalucía主人公は看護師のソフィー。15歳の息子とともに亡き夫の遺産で比較的裕福な生活を送っている。
彼女は入院患者のエクトル・グスマンと親しくなる。出版社を経営しているというエクトルは、40代半ばのスペイン人だが、どこか北欧人らしさが漂う見目のよい男だ。交通事故による大怪我を負いながらも、立ち居振る舞いは優美で堂々としている。そんなエクトルは入院してきた時からソフィーのお気に入りであり、彼もまたソフィーに好意を持ったようだった。エクトルが退院した今では、食事誘われる仲に発展していた。

そんな彼らの関係に目をつけた者がいた。スウェーデン国家警察の女警部グニラだ。エクトルはただの経営者ではなかったのだ。彼の父親は"善玉”グスマンと呼ばれるビジネス界の大物だった。彼は慈善団体への巨額の寄付で知られる人物だが、彼の"ビジネス”には、大掛かりなマネーロンダリングやコカインの取引も含まれているのだ。
グニラは強引なやり口でエクトルの弱みを握ろうとする。彼女には独立した捜査が認められており、その方法が違法だろうがおかまいなしなのだ。
都合よく使えるパトロール警官のラーシュをチームに引き入れ、ソフィーを盗聴させるのだが、元々人格的に問題のあったラーシュは美しいソフィーに惹かれ暴走を始める。

一方、武器証人のイェンスは、厄介なロシア人三人組との取引のため、貨物船で"商品”を輸送していたが、洋上で銃撃戦に巻き込まれてしまう。イェンスが輸送に利用した貨物船は、グスマンのコカイン輸送船で、襲撃してきたのは彼のコカインのパイプラインを乗っ取ろうとするドイツ人方の敵だったのだ。
このどさくさでイェンスはドイツ人に"商品”を奪われてしまう。"商品”を取り戻すため、わずかな手がかりをもとにイェンスは行動を開始するのだが…

物語はソフィーを中心に、彼女からエクトルの弱みを握ろうと目論む国家警察のグニラの部下のラーシュ、武器証人イェンスの視点から描かれ、物語はクライマックスへと突入する。



alexandersoederberg.jpgこれまでの陰気なスウェーデンミステリとは一線を画すほどの派手さ。
北欧ミステリは一部を除けば、これまで「陰気で猟奇頼み」の一言で片付いたものだが、エンタメ度が上がったなぁとつくづく思う。
美しく清楚なヒロインに銃撃戦、カーチェイス…これはもろハリウッド好み、と思っていたら、案の定映画化権は売約済みなのだそうだ。

著者のセーデルベリは、小説家デビュー前はドラマの脚本家だったという。この北欧らしからぬエンタメ性はその影響もあるのかもしれない。
ただ、この作家はそれだけではない。もしかして趣味はマンウォッチングなのではないだろうかとそんな気がしてしまう。登場人物の造形と心理描写の巧いのだ。私のお気に入りはラーシュで、彼が崩壊していくさまは圧巻だ。しかも皮肉にも、崩壊をはじめてからのほうが、より人間的で好ましい人物になっていくのだ。

逆に、通常の作家ならばもっとも書き込むだろう主人公ソフィーの心理は、少々控えめかもしれない。そのため少々掴みどころがなく感じる人もいるかもしれないが、本当の彼女は続編で明らかにされるのだろう。


アンダルシアの友 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

アレクサンデル・セーデルベリ (著), ヘレンハルメ 美穂 (翻訳)
早川書房 (2014/1/10)





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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  早川書房  映画化 
2014/08/18 Mon. 20:22 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、こんばんは。

『アンダルシアの友』は…もうすっかり内容忘れてしまったかも(笑)
でも、割と面白かった気がするなぁ。
北欧系のミステリ賞三冠の『猟犬』は、私はそれほど「すご〜」とは思えず…。

> Amaのひと評では、傑作「その女アレックス」にも比肩という高評でしたが、

uuuuummmm
私はなぜこれを『アレックス』と比べるのかが謎でしたね(笑)
全然違うタイプのものですし、比肩するとはどうにも思えない。確かに悪くはないですが、『アレックス』ほどには訴求ははっきりとしていないので、駄目だという人も多そうな気がします。

> 意外なことにSpenthさんはラーシュがお気に入りだとか。

ええ、そうなんですよ。私は意外とラーシュ・ケプレルは好きです。
とはいえ、『契約』はあまりに冴えず、その後は読んでもいないのですが・・・
北欧系はさすがにもう…とう気がするし、割とパターンなので食傷気味でもあるのですが、そういいつつ『猟犬』も読んでしまいましたよ。

日経ちゃん、なんだか怖いですね。
3月26日を過ぎたら、ドカーンと来そうな気もするのですけど、どうでしょうか。
私はいいとこは半端なとこで全て利確しちゃったので、ただただ指を加えて見ているのみ。
懲りずに再度手を出してしまった4564が残ってますが、またもや日経ちゃんなどとは無関係に地下深く潜っているし。半年くらい放置して漬込む予定です(笑)

Spenth@ #- | URL | 2015/03/23 Mon. 18:40 * edit *

「ノア・P・シングルトンの告白」・・また重そうな内容の本。
Amaのひと評では、傑作「その女アレックス」にも比肩という高評でしたが、
まぁ、本の感想などさまざま(多彩)な反映のうかがえた方(賑わった方)が愉しい。
こういう死刑囚ものというか、死刑制度関連にも関わるもので、
映画「ライフ・オブ・デヴィッド・ゲイル」(アラン・パーカー監督)など、
ミステリ面ほか諸問題も組み込んだ佳品でありましたよ。

上記の本は読んでないので、こちらの読んだ本に移動。
本作の警察側の人間(組織)の荒廃(トンデモ)ぶりは、
北欧ミステリの中でも特異なありさまでしたなぁ。
意外なことにSpenthさんはラーシュがお気に入りだとか。
女性読者の大半はこの陰気くさい暴走男(下着ドロだし)を嫌うはず。
他にカッコいい登場人物いたように思いますが。
(ちょうど去年の今頃読んだので記憶不確)。

でも自分もこの負の生彩(!?)を放つヘンな奴(ラーシュ)に最も注目し、
影の主役とも思ったのでした。
(翻訳者は好きになれないとのことでしたが・・ツイート返信から)。
あまりいい評判が聞こえてこないし続編刊行はないのかなぁ。
自分はひそかに期待しているのですが・・。

日経よ何処へ(どこまで)行く・・ドレードを初めてこんな高値は未経験。
三月の成績は低調・・ではまた!




nao #6gL8X1vM | URL | 2015/03/21 Sat. 19:33 * edit *

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