Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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久しぶりの… 

しばらく放置していたのだが、久しぶりの更新である(汗)
実は風邪をこじらせて寝込んでいたのだ。結構高熱がでたので、これは今流行りのデング熱か?と思いきや、感染性の肺炎だという。これ、確か数年前にやったばっかし。私の免疫はどうなってるんだろ…?
ゲホゲホしている間に世間では大変なことが起きている。神戸の小1女児遺棄事件に、御嶽山の噴火とエライことに…。山は怖いが、神戸というところもつくづく怖い土地柄だなぁと思う。まぁ東京だって横浜だって怖いんだろうけど。

寝込んでいた間、読んでいたのは専らKindeだった。寝て読むのにこれほど便利なものはない。あとは防水にしてくれたらもう無敵。ほんと全部新刊と同時にKindle化して欲しいわ。
読んだのは、黒川博行の『後妻業』『暗礁』、薬丸岳の『神の子』 、馳星周の『生誕祭』『復活祭』国内ミステリからはずっと遠ざかっていたのだが、これがよかった。翻訳ものに全く負けてないと思う。

『後妻業』は、今年直木賞を受賞した黒川博行氏の新作。すごいインパクトの装丁(笑)
『後妻業』とは、妻に先立たれた老人の後妻になり、その財産を搾取するという犯罪の手口である。
思えば、あの首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗のやり口と良く似ている。実際この事件を下敷きにしているのだろう。
女よりも男のほうが孤独に弱いのかもしれない。夫に先立たれた女は、比較的短期間に立ち直り自分の人生を謳歌しようとするが、その逆は傍からみていて痛々しいことも多い。
後妻業のターゲットはそんな妻に先立たれた老人たちだ。物語のなかでは91歳の耕造のを鴨にするのは69歳の小夜子である。これが例えば30代40代の綺麗な女なら老人本人も家族も警戒するのだろうが、騙すのも騙されるのも高齢者。4人に1人が65歳以上という高齢化社会の現状における問題がよく描かれていると思う。
好々爺になることを拒否しなおも"男"であろうとする彼らは、子供や孫に資産を残すよりも己の老い先短い現世に固執する。後妻業の女は、結婚紹介所を介して獲物を狙うのだが、前述のような老人たちは、
"紹介された相手の要望や気立てがどうであろうと、一言優しい言葉をかけられれば、例外なく交際を望み驚くほど容易に金を出す”
のだという。エグい表現だが、木嶋香苗の例をみてもその通りなのかもしれないと思う。
耕造の子供世代の私としては、複雑な心境ながらも介護問題よりは元気な分恋愛や結婚問題のほうが好ましい気もする。自分のお金なんだし自分の楽しみのために使えばよいと思うし。だが騙されて殺されるのでは元も子もないが。
老人は老いてなお盛んだが、反対に若い人たちは覇気がない。先日もテレビでまだ30代と若いのに一生「お一人様」でいることを覚悟している女性の特集があった。その年齢で既に「終活」すら終わらせているという。不要物の整理、葬儀の手配なども殊細かに決めていた。同じような境遇のもの同士、もしもの場合にそなえて家の鍵の交換もしているのだという。これ、どちらかが「やっぱり結婚するわ」とか言い出したら、関係が壊れるんだろうなぁ。まだまだ若いのだからそれを謳歌すればいいのに、と思うおばさんなのだった。


暗礁〈上〉 (幻冬舎文庫)
暗礁〈下〉 (幻冬舎文庫)

暗礁(上)Kindle版
暗礁(下)Kindle版

『暗礁』は直木賞受賞作『破門』と同じ『疫病神』シリーズ。なんとなんと黒川作品にここまでハズレなし。
ヤクザの桑原とヘタレコンサルタントの二宮のこのシリーズは、なぜか版元がバラバラでそのためKindle化もバラバラ。しかしシリーズものながら、その作品の都度都度丁寧に背景説明がされているので、どこから読んでも楽しめる。本書の題材は東京佐川急便事件。「運送屋とかデパートとか不特定多数を相手にシノギをする企業は弱い。リスクマネージメントが難しいからな。(中略)つまりはヤクザと警察の両方に食われ、さんざん食い荒らしたあとに、今度は利権漁りの議員どもが食いに入る。骨までしゃぶりつくされる構造ができとんのや」という桑原の講釈に納得。なんだか妙な事件というのはこういうことなのか。一番新聞に載ってなきゃいけないことは絶対紙面に載ることがない。我ながらなんと世間知らずなんだろうかと思う。
しかし、このシリーズを読む毎に警察不審になってしまう。神戸小1女児の事件の兵庫県警に対してちょっと疑問に思うのもこのせいか?なんだが証拠が出てくるタイミングが妙に気になるのだけども…。




神の子 上 単行本
神の子(上)Kindle版

神の子 下 単行本
神の子(下)Kindle版

高齢化社会とともに最近クローズアップされているのが、無戸籍の子供の問題。
少し前にNHKの番組でも取り上げられていたが、これをスポットをあてているのが薬丸岳の『神の子』である。
Kindleでまずサンプルだけ落として読み始めたのだが、やめられなくなって上下購入した。

NHKで取り上げられていた「無戸籍」の人は、その背景に母親が受けたDV・ドメスティックバイオレンスがあり、前の夫を恐れるあまり、新たなパートナーとの間に生まれた子どもの出生届を出せず、無戸籍になってしまったというものだったが、本書の主人公の"ひろし"の場合は母親に同情の余地はない。ヤク中で母親らしさは一切持ち合わせておらず、ただ産み捨てたという表現がぴったりだ。しかし無戸籍になってしまうのはDV問題だけでなく、案外"ひろし”のようなケースも多いのではないだろうか。

義務教育を受けることもできず育った少年には、しかしIQ161という脅威的な頭脳があった。しかも直観像記憶を持っている。自らの武器はそのズバ抜けた頭だけ。それを利用して闇の世界で生きていたが、あるとき知的障害のある幼馴染み、小沢稔をかばい殺人事件の容疑者として逮捕される。
未成年だった彼は少年院に入れられる。そこで彼ははじめて町田博史として戸籍を与えられたのだった。しかし、闇の世界は博史を放っておいてはくれなかった…。

不幸な生い立ち、直観像記憶に脅威的な能力。いかにも男性版リスベットといった感じで、社会問題を絡めて描かれているところなども少し似ているかも。少々厨二的ともえる要素を交えつつも、社会問題を浮き彫りにしている。それでいて希望を見出せるようなラストは多くの人が好感を持つだろう。
そういえば薬丸岳氏も乱歩賞作家だが、これはさすがだと思った。




生誕祭〈上〉 (文春文庫)
生誕祭(上)Kindle版

生誕祭〈下〉 (文春文庫)
生誕祭(下)Kindle版




最後は馳星周の『生誕祭』と『復活祭』。前者は80年代バブル景気を背景した若者たちの暴走と破滅を描き、後者はその10年後のITバブルを描いている。バブル世代にはたまらない欲望渦巻くコンゲームだ。
主人公のディスコで黒服の彰洋が、幼馴染みの麻美と出会うところから物語は始まる。彼女は地上げの神様と呼ばれていた波潟の愛人になっていた。その彼女が彰洋に紹介してくれたのが青年実業家の美千隆だった。美千隆の元で手段を問わない地上げをし、二十歳そこそこで大金を動かす快感に酔いしれる。クリスチャンだった祖父の「嘘をついてはいかん。人を騙してはいかん。人の物を盗んではいかん」という言葉に苛まれつつも、汚い世界に足を踏み入れる。土地の値上がりとともに体温は上がりつづけるが、誰もがこの異常な好景気がいつかは破綻することを知っていた。そして知っていてなお、それまでにどれだけ稼ぐことができ、自分以外の誰かにババをひかせることを考えていた…。他方、麻美も自分の立場を危うさに焦りを感じるようになる。波潟の娘で大学の同級生の早紀を巻き込み、暴走を始めるのだが…。

この『生誕祭』を読むと、続編の『復活祭』を読まずにはいられない。そしてもう一回くらい続編があるのかなぁと期待してしまう。
特に私が着目したのは麻美だ。本当に愚かでどこまでも厭な女なのだがなぜか魅力的。彰洋と美千隆の結びつきの強固さと、麻美と早紀の嘘だらけの友情の対比も面白かった。
馳星周ならではの疾走感ある文章に人間の際限ない欲望、哀しみと裏切り。これもさすがですわ。

翻訳ものは後日また!
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category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: Kindle    後妻  知的障害  バブル 
2014/09/30 Tue. 19:58 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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