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読書日記、ときどき食日記

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カルニヴィア2 誘拐 / ジョナサン・ホルト 

Venezia えーとね、実は今年はイタリアに行くつもりだったのでありますよ。
そもそもイタリア旅行を思い立ったのは、『カルニヴィア 1 禁忌 』を読んだからで、「そういや、私ヴェネツィアに行ったことないわさ」と思ったからだった。
しかし、事情があって来年に延期に(涙)
ああ、行きたかった、ヴェネツィア、ナポリ、アマルフィーにアルベルベッロ…。
来年は絶対行くぞ。

その代わりにm行ったつもりで『カルニヴィア2 誘拐 』を読むのである。
本書は『カルニヴィア1禁忌』の続編で、カルニヴィア・トリロジーの二作目である。著者のジョナサン・ホルトは英国人だが、この物語の舞台はイタリアのヴェネツィアなのだ。とはいえ、世界に名だたる観光地を舞台にしながらもこの二部は全く観光的ではないのだが…。
著者ジョナサン・ホルトはヴェネツィアを休暇で訪れた際、空港で多くの米国軍人を目にし、意外に感じたことからこの物語を思いついたとのだいう。私も知らなかったのだが、ヴェネツィア郊外のヴィチェンツァには大規模な駐留米軍基地がある。

image2.jpg物語はピオーラ大佐が夜中に上官から電話で起こされるところから始まる。
ヴィチェンツァの米軍基地建設現場で人骨が見つかったというのだ。発見したのは建設反対派の若者だという。人骨には銃創があり、ポリオによる骨の変形がみられた。つまり1950年以前のポリオワクチンが普及する前のものというわけだ。しかもどうやらそれは共産党系のパルチザンの人骨らしい。しかも元からそこに埋められていたのではなく、どこからかわざわざ運ばれてきたらしい。
同じ頃、ホリーの勤務するヴィチェンツァ基地の少佐の娘ミアが誘拐される。ホリーは憲兵隊のカテリーナに協力をもとめ、二人は捜査に乗り出す。"純潔を守る会”に入っていた16歳のミアは、しかし”カルネヴァーレ”と呼ばれるスワッピングパーティの場で誘拐されていた。
そして、誘拐犯はカルニヴィアのミアのアカウントを乗っ取りダニエーレを挑発する一方、カルニヴィアからミアを拷問する様子を撮影したビデオを全世界に配信するのだった。
ビデオには簡易ソフトでつくったおぞましいキャプションが添えられていた。
「捕捉後は囚人を拘束し、耳当てやゴーグル、およびフードで囚人の視力と聴力を奪う」何かの手順のようだ。キャプションの後その通りに、身体を縛られ、袋をかぶせられて横たわっているミアと思しき人物が映る。
最後にミアの口から彼らの要求が語られたが、それはヴェネト州で住民投票を実施し、米軍基地建設工事の可否を問い、北イタリアから米軍撤退を求めることだった。
そして、ビデオが送られてくるごとにミアへの責めは厳しさを増していくのだった。
ミアへの拷問は、厳密にCIAの尋問手法に乗っ取っていた。ビデオのキャプションは、あるCIA局員から司法省法律顧問のダン・レヴィンに送られたファックスに書かれていたものと一字一句同じであり、2009年にメディア公開された”CIAメモ”と呼ばれているものだったのだ…。
ビデオがカルヴィニアを通して配信されてることで、当局はダニエーレにカルニヴィアの閉鎖を迫る。
果たしてミアは助かるのか?
基地建設地に投げ込まれた人骨とミア誘拐は関係があるのか…?

Paul VI前作同様、今回も歴史的事実を下敷きにした壮大なミステリに仕上がっている。そして、The Abductionというタイトルも伊達でなく、ミアの他に最後の最後思いがけない人物までもが誘拐されてしまう。その拷問の過程は、詳細に描かれていないのにもかかわらず生々しい。
これにも驚くが、さすがにフィクションだろうと思ったことまでもが事実であるということにさらに驚く。ヴァチカンの大物にまつわる陰謀だ。物語の核心に近いことであるので詳細は省くが、「歴史的背景」として著者の手により巻末に記してある。
なんだかね、昔あったことは今もありそうな気もするけれど…。
物語中、ミアが訪れたスワッピングパーティーに趣いていた老政治家が言うセリフに「結局は政治も犯罪もさして変わりがないんだよ」というのがあるのだが、まさにその通りだと思わせる顛末である。

また、登場人物たちにも今回変化がみられた。壮大なミステリの他に登場人物たちの心境の変化といったものもまたカルニヴィアの物語の魅力といっていいだろう。特にダニエーレは幼少時誘拐され、両耳と鼻を失い大きなトラウマを抱えているため、自閉的傾向が強い人物だ。それが今回はホリーとの関係に大きな前進がみられる。ただ、どうもこのまま簡単にいかないのがダニエーレらしいのだが。
ディテールもよくて、あのダニエーレがホリーになんと手料理を振る舞ったりもするシーンもある。蘊蓄もまたいかにもダニエーレ的で、曰く、美味しいゆで玉子を作るコツはゆでないことなのだという。
ホリーがいささかカマトト優等生的ならば、真逆なのがカテリーナ。『禁忌』では上官のピオーラ大佐と関係を持ち、挙げ句セクハラで訴えるという暴挙に出たが、そんな彼女のビッチぶりも健在。本当にまぁ、この人は…。やっぱり彼女だけはどうにも苦手だわ〜。

今回消化しなかった伏線もあるしで、次回も楽しみ。でも本当に次で終わってしまうのかな???


カルニヴィア2 誘拐 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ジョナサン ホルト (著), 奥村 章子 (翻訳)
早川書房 (2014/9/10)








カルニヴィア 1 禁忌 (ハヤカワ・ミステリ 1875)

ジョナサン ホルト (著), 奥村 章子 (翻訳)
早川書房 (2013/9/5)






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category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 早川書房  海外ミステリ  陰謀 
2014/10/21 Tue. 14:58 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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