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読書日記、ときどき食日記

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監視ごっこ / アンディッシュ・デ・ラ・モッツ 

ストックホルム警察出身の作家というから、ま〜〜〜〜〜た例のアレかと思っていたら、これが全然違った。
例のアレとは、主人公が中年のくたびれた刑事の警察小説である。家庭は崩壊しており、人づきあいも巧くなく、出世の見込みもない。刑事としての仕事しか残されていないというパターン。
アレはもう飽きた。さすがにね…。

本書の原題は「geim」。そのまんまゲームである。私は訳者とは少し受け取り方が違い、市民による監視という感じはあまり受けなかったので、原題のほうがしっくりきたかな。

物語は、主人公HP(ヘンリク・ペテルソン)が電車の中で携帯電話を拾ったところから始まる。HPは失業中の駄目男だ。その携帯電話は最新の機種らしく、タッチパネルのスマートなデザインだった。HPがそれを拾ったのは、これなら5百クローネくらいにはなるはずだと踏んだからだった。
HPがその携帯を調べていると、ふいにスクリーンが明るくなる。「ゲームに参加しますか?」という文字が表示され、その質問の下にはイエス、ノーのアイコンが表示されていた。ノーのアイコンに触れ、メニュー画面を探すが、見つからない。そのうち再び文字が表示されるのだが、そこには「ゲームに参加しますか?ヘンリク・ペテルソン?」とあった。どうして自分の名前を知っているのか?不気味に思うHPだったが、今度はイエスを選んでみる。どうせ暇だし面白そうじゃないかと思ったのだ。
そこから、HPのゲームは始まった。
画面に表示される通りのイタズラをHPが実行すると、なんとお金が貰えるというのだ。
ゲームの参加者はプレイアーと呼ばれ、HPの他にも大勢いるようだ。プレイアーには番号が割り振られ、HPは128番だった。プレイアーはゲームの運営者であるゲームマスターから様々な課題が与えられ、それをクリアすると、ポイントが付与されて、そのポイントと同額のアメリカドルが口座に振り込まれるという仕組みだった。
最初は金目当てだったHPだが、HPの行為を撮った映像がウェブにアップされ、称賛のコメントが寄せられるとその賞賛のコメントが快感に変わっていく。
次第に課題の難易度はあがっていき、単なるイタズラの域を越え犯罪行為そのものになっていく。それとともに賞金は増え、賞賛の声も大きくなり、HPのランキングも上がっていくのだが…。

このHPの「ゲーム」と同時に描かれるのはレベッカ・ノルメンという警官の物語である。レベッカは身辺警護班のエリート部隊アルファ・グループに抜擢されたばかり、真面目すぎるほど真面目で、職場恋愛は絶対しないと決めているのだが、少し陰がある女性だ。
最初は別個に語られていたレベッカとHPの物語は次第に交差していくのだが、彼らの関係に騙された。だって、そう思わせるシーンがあるんだもの。こういうフェイクはお手のものなのだろう。最後の最後にも「ええ〜!」と驚かされる。

「ゲーム」というと、『ライアーゲーム』のようなものをつい想像してしまうが、それとは全然違う。もっと現実にあり得そうなリアリティが感じられる。
訳者は、市民による「監視」ということに着目したようだったが、私はたまに電車に乗るときに目にするのだがーそこにいる全員がスマホをみているという光景を思い浮かべてしまった。よく考えれば異様な光景なのだが、その異様さも次第に普通のこととしてとけ込んできてしまっている。
そして、彼らが単なるアプリだと思い込み自覚もないままに、こういう「ゲーム」に参加していても何ら不思議ではないなと思うのだ。現実にゲームが浸食するのか、そのまた逆なのか。そういう種類の怖さを感じた。

私同様、疲れた中年刑事モノには食傷ぎみというアナタには、気分転換にオススメかも。


監視ごっこ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

アンデシュ デ・ラ・モッツ (著), 真崎 義博 (翻訳)
早川書房 (2014/7/10)





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category: ミステリ/エンタメ(海外)

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tag: 海外ミステリ  北欧  ゲーム  駄目男 
2014/11/04 Tue. 19:12 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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