Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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ゴーストマン読書会@横浜スピンオフ 

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先月末熱海 de ポンでも読書会をやったばかりだが、今度は横浜読書会スピンオフ。
金曜開催だったので、仕事でこられない方も多く参加者は12名だったが、実はこれくらいの人数が一番盛り上がったりもする。
熱海の時はすっかり読書会のことを失念していたが、今回はちゃんと読書会に備え再読した。私個人としては改めて読むとやっぱりこれはスゴいじゃないの!と思ったが、横浜ではフィフティ・フィフティくらいで絶賛派と否定派に割れた。

   
今回で『ゴーストマン』読書会が三回目だという福さん、

もしもし?
熱海とは言ってることが180度違うんですけど…


担当編集者と翻訳者がいないから正直になったのか。はたまた、三回目ともなるといい加減飽きたのか(笑)



あと、気になったのは、ロジャー・ホッブスの顔写真を回覧したあたりから、女性陣の意見が辛辣になった感じもしたんだけど??

ええ、確かに我らがぽっちゃり君は、ほれ、ご覧の通り、ルックスでは、トム・ロブ・スミスにも、『ハリー・クバート事件』ジョエル・ディケールにも遠く及ばない。
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しかし、ジョエル・ディケールの
この卑怯なまでのイケメンぶりはどうよ…。



顔で勝負はできないが、ぽっちゃりにはぽっちゃりの魅力と良さがあるのである。
こういう彼が、こういう小説を生み出したというギャップがまた良いではないか。
といことで読書会レポ、スタート!


銀行強盗の蘊蓄などについて

◆蘊蓄がうざい。無駄な部分も多く鼻につく。

でも、その蘊蓄がまた面白いのでは?
また、それゆえの面白さというものも存在すると思うのだが…。いかがでしょう?

映画、ドラマの影響と映像化について

◆映像化を前提として書かれている
◆物語自体も後に残らないし、それなら最初から小説ではなく映画で良かったのでは?


まぁ、どうせ小説を書くならば、そりゃ誰だってついでに映画化権もせしめたいと思うにちがいない。それに読者も慣れているので、脳内で風景が浮かぶことが売れる小説の条件になっている。
でも、この小説の良さはゴーストマンの「語り」。これを映像で決められた時間内に表現するのは実際かなり難しいのではないか。

◆多くの犯罪小説と多 くの映画のそれぞれの良い部分の寄せ集めのような感じ

確かに、アトランティックシティでコンシャルジェが手配してくれたホイールマンは、『ドライヴ』の主人公を連想させる。また、タイヤ痕から、マツダのミアータでタイヤは純正などを当てるのも、少しCSI的な感じも。私自身はそれを楽しんたが、寄せ集め的印象は受けなかったけどな…。


後を引かせるテクニックについて

主人公の背景を殆ど描いていない。

背景をあまり描かず、「どういう人なんだろう?過去に何があって犯罪の世界に入ったのだろう?」と読者に思わせるのは巧いと思う。もしかして編集者のアドバイスがあったのかもしれない。
そういうところがあざとい。ちゃんと描きつつ、一冊で読者を満足させる小説もあるではないか。

◆レベッカ=アンジェラだったのでははないか?という疑いも単なる疑いのままで終わらせている。
◆「アジアン・エクスチェンジ」の真の真相は別にあったのではないか?マーカスとアンジェラは実はグル?


敢えて後をひかせる描き方は賛否両論あった。私は個人的にそれが本書の魅力だと思ったのだが…。
全てが明らかであることより、人は隠されるもののほうに興味をそそられるものだということを、著者はよくわかっていると思う。
続編がどう描かれているかにもよるが、後を引かせるテクニックは新人とは思えないほどだと思う。期待させるがゆえに、続編のハードルは上がってしまった。

逆に、深読みしなければ、そうは思えないという意見も。
また、この一作で誰にでもわかるようキチっと纏めてほしかったという声もあった。


主人公ゴーストマンについて
◆悪人が主人公というのが、個人的に好きではない。

好みの問題なので仕方ないが、限定してしまえば、必然的に楽しみの幅が減ってしまう。
世の中、正義の味方だけで成り立っているのではないし、悪人には悪人の事情やドラマがありそれもまた小説の面白さでもあると思う。ダークヒーローにはダークヒーローの魅力があるのでは?

◆主人公が空疎でからっぽ。何も描かれていないので理解ができず、ゆえに魅力を感じない。

逆にその描かれていない事情や背景に興味をそそられた。
重複になるが、描かないのはおそらく敢えてのこと。秘すれば花ではないが、隠されると余計に知りたくなるのが人間の性でもある。
特に本書のようなスタンスの小説は、敢えて描かないことがポイント。どれだけ情報を出し惜しみするかだ。
そういう意味で、語り手である「私」ことゴーストマンは、"信用できない語り手"であるとも言える。


流行小説であることについて

「今日流行ったものも明日には消える」 プロジェクト・ランウェイのハイジの決めセリフではないが、本書のような流行小説には旬がつきもの。
時代設定を過去に置く『チャイルド44 』とはその点が大きく違う。テクノロジーも日進月歩で進化しているので、顔認識システムなどが飛躍的向上している可能性も考えられる。監視カメラ、空港での光彩チェックの義務化などが進めば、ゴーストマンも商売が難しくなるはず…。

犯罪が成功している犯罪小説は比較的稀で、それが非常に新鮮だったという声も。
実際、コトが終わってみるとウルフを嵌め、お金をせしめ、(グレイマンのような完治に半年以上もかかるような)怪我もせず、華麗にヨットで海に乗り出している。
くたびれた中年の正義のヒーローばかりだったミステリ界に読者は辟易している頃合いで、絶妙なタイミングだった。長らく待たれたダークヒーローの登場とあいなった。

アトランティックシティという舞台について

アトランティックシティは、ラスヴェガスなどに比べると確かに野暮ったく、さしずめ熱海といった雰囲気だろうか。(熱海の方、スミマセン)でも、犯罪を行うにあたっては、ラスヴェガスより、警備上の面からも成し遂げやすいという事情もあるのかも。
また、ウルフが支配する街という設定だが、ウルフ自体が大物というわけでもないのでアトランティックシティくらいが相応しいとも言える。


タイムリミットものということについて
「24」みたいという声もあったが、反面でゴーストマンは終始淡々とし動じず、また焦ることもないので、その赴きはあまり感じられなかったという人も。
私も後者と同意見。ゴーストマンはジャック・バウアーと違い、しっかり睡眠もとっているし(笑)


華やかな演出について
プライベートジェット、アンジェラの美術館で盗んだという豪華なイヤリング、ヨットでの優雅な逃走など意識的にハイエンドなものをとりいれているので、華やかさが増し、エンタメ度も上がっている。
アトランティックシティのコンシェルジェの容姿も所作も非常にエレガント。アメリカ人で筆記体が書けるのはアッパーな香りがした。
どういうものが人を惹付けるのかよくわかっていてやっていると私は思ったが、これも鼻についてしまい、あざといと感じた人も…。


文体について
文体についても賛否両論。読みにくさを感じた人と、勢いがあり、読みやすかったという人とに割れた。

ただ、「文体はトム・ロブ・スミスより上」「大人の男のVoice」など、文藝春秋の永嶋氏のキャッチに載せられてる感も多少あったのかも。
また、私はこれはこれで良かったとも思ったが、個人的には田口さんはウェットな作品のイメージがあり、そちらのほうが得意なのかもと感じた。

   
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否定派の急先鋒タケダ嬢がいたので、私は可能なかぎり擁護派にまわってみた。
けど、この手のスタイリッシュ小説は、結局はそのスタイリッシュさが嵌るか否かで全てが決まってしまうのよね。

とにもかくにも、
ぽっちゃり、頑張れ!!

私は続編も楽しみにしているわ〜!
そのまた続編も!

ということで、
それでは皆さん、次は忘年会でお会いしましょう。

ゴーストマン 時限紙幣



ロジャー ホッブズ (著), 田口 俊樹 (翻訳)
文藝春秋 (2014/8/8)





ハリー・クバート事件 上
ハリー・クバート事件 下

ジョエル・ディケール (著), 橘 明美 (翻訳)
東京創元社 (2014/7/30)

Kindle 上下合本版





チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

トム・ロブ スミス (著), 田口 俊樹 (翻訳)
新潮社 (2008/8/28)




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category: 読書会

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tag: 読書会  映画化 
2014/11/08 Sat. 16:49 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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