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読書日記、ときどき食日記

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さよなら、ブラックハウス / ピーター・メイ 

11月最後の三連休、皆様いかがお過ごしだっただろうか。
私はディーラーと家具屋めぐりをしていた。車とベッド、どちらもそろそろ買い替え時なのだ。。。
7〜9月のGDP発表は芳しくなかったが、みなとみらいは買い物客でメチャ混み。企業のボーナスも増加傾向にあると聞く。
暖かかった連休とはうってかわり今日は冬の雨。師走も近づいてきた。

the blackhouse Lewisさて、連休中読んでいたのはピーター・メイ『さよなら、ブラックハウス 』と、『脳科学は人格を変えられるか?』という本である。
本書『さよなら、ブラックハウス』は、英国スコットランドの過疎の島、ルイス島を舞台にした小説なのだが、当初イギリスでは版元がみつからず、フランスで出版したのだそうだ。しかしフランスでは刊行されるやいなや高評価を得、イギリスでも刊行、一躍ベストセラー入りしたのだという。ル・アーヴル“黒い錨”ミステリ・フェスティヴァル賞、CEセザム文学賞、LP賞、バリー賞を受賞している。

northern gannet 主人公はエディンバラ市警の警部フィン。数週間前に事故で息子を亡くしたばかりで、そのショックから休職中で、夫婦仲もしっくりいっていない。そんなフィンに上司からルイス島での殺人事件の捜査の命がくだる。
ルイス島は、スコットランド北西岸に位置する小規模な農業や羊の放牧が主である島だ。ハリス・ツイードで有名なハリス島とは地続きになっており、南部がハリス島,北部がルイス島と呼ばれている。
ルイス島はフィンの故郷だった。そして被害者は昔なじみの男、アンガス・マクリッチ。粗暴な大男で地元の嫌われ者だった。このマクリッチ殺害の手口が、フィンが担当していたエディンバラで起きた殺人事件のそれと酷似していた。HOMES重大事件照会システムにそれが引っかかったのだ。船小屋で発見されたマクリッチの死体は、梁から首を吊られていて、その腹は端から端まで切り裂かれて内蔵を引きずり出されていた。そこで、フィンに白羽の矢が立ったのだった。
「時間は充分与えた。戻ってくるか、辞めるかだ」という上司の言葉に、フィンは気が進まないままにルイス島へ向かう。妻から逃げ出したいという気持もあった。戻ってきても彼女はもういないかもしれなかった。
島へ帰郷するのは、18年ぶりのことだった。フィンはルイス島の出身だが、本土のグラスゴー大学に進学したのだ。結局、途中でやめてしまったのだが…。
Lewis Iland島でのフィンの相棒となるのは、地元のジョージ・ガン刑事だ。
被害者のマクリッチは多くの人間から恨みをかっていた粗暴者だ。ごく最近も、”グーガ狩り”をめぐり、動物愛護運動家に暴力事件を起こしたり、レイプのかどで訴えられたりしていた。
”グーガ”とはゲール語でシロカツオドリの幼鳥を指す。フィンの地元クロウボストの男たちは毎年8月になるとルイス島の北部の岩場に行き、二週間かけてこの鳥を狩るのだ。そこは世界で最も重要なシロカツオドリの営巣地で、岩場は8月は巣作りをする鳥とその雛に覆い尽くされる。激しい雨風邪が吹き付ける300フィートの崖での狩りは文字通り命がけだ。かつては村民を養うために行われていた狩りだが、今は法律で年間2,000羽と狩猟量が決められている。だが、汁気の多いクーガの肉は、村では大変な需要があった。
フィンもかつてグラスゴー大学に進学する直前、"クーガ狩り”に参加したことがあった。そしてその時起こった出来事は、フィンにとってつらい記憶となっていた。
捜査を続けていくうちに、フィンは懐かしい幼馴染みたちと再開する。家が隣同士で一番の親友だったアーシューター、初恋の相手で苦い別れ方をしたマーシャリー、いじめられっ子で、少年時代の事故のために今は車椅子のカルム、牧師の息子で少年たちのリーダー格だったドナルド…。
物語は、少年時代と現在を交錯しながら進んでいく。
そして、フィンが記憶の隅に追いやり封印していた過去の出来事が明らかになったとき、事件の真相が明るみに出るのだが…。

peter may意表をつかれた!
これをこういう結末に持っていくとはね。
「苦く切ない青春ミステリ」などと簡単に評してはいけないだろう。ベストセラーになるのも納得、おそらくあなたの想像以上に深く余韻を残すことと思う。誰にでも幼馴染みはいるものだし、事の重大性の差こそあれ、誰しも自分を守るために記憶の隅に追いやってしまっている秘密の一つくらいはあるはずなのだから。
殊に、アーシャリー、フィン、アーシューターの関係には胸に泥を詰められたような気分になった。どうしようもなくやるせなく息苦しくさせる。近しい関係であればあるほど、また憎悪も膨らみやすいというのは残酷な皮肉だ。
救いとなっているのは、訳者もあとがきで指摘している"ルイス島の自然描写の美しさ"である。シロカツオドリの鳴き声が聞こえ、海の深い青さが目に浮かんでくるようだ。いっとき精錬な気分にさせてくれるが、その実、同時に美しさが物語の悲劇性を引き立ててもいるとも言える。

さらに驚いたことに、なんと本書には続編があるという。
これはこれで終わったほうが良い類いの物語のような気がするのだが、現在シリーズ三作まで刊行されていて、なんとイギリスではシリーズ累計100万部なのだとか。


さよなら、ブラックハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ピーター メイ (著), 青木 創 (翻訳)
早川書房 (2014/9/10)



Kindle版はこちら→さよなら、ブラックハウス




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category: ミステリ/エンタメ(海外)

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tag: 早川書房  英国 
2014/11/25 Tue. 17:22 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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