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読書日記、ときどき食日記

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最貧困女子 / 鈴木大介 

久々の新書だ。今年はエンタメ一辺倒になってしまったが、たまには新書も読まなくてはね。
「知る」ための読書というのは、エンタメでは得られないものがある。あらゆることを体験するのが不可能な以上、狭い自分の世界や障壁を打ち破るのは、知識しかないのだから。
ただ、仕方ないのかもしれないけど、新書ってそのページ数の割に高いと思いませんか(笑)

選んだのはベストセラーにもなっている"最貧困女子"
この言葉の持つインパクトはどうだろう。内容もこの言葉に劣らずショッキングだった。
女性の貧困が問題になっているのは知っていた。ただ、こんな現実があるとは…。

著者によれば、貧乏と貧困は違うという。確かに"プア充"という言葉が示すように貧乏でも幸福な人は多くいる。低所得で生活はギリギリかもしれないが、それを工夫し家族や地元の友人らと助け合いながら、幸福に暮らしている人は多くいる。それにひきかえ、貧困とは家族・地域・友人などのあらゆる人間関係を失い、もう一歩も踏み出せないほど困窮している状態を指すのだという。
そして、前者が存在するがゆえに、後者は無理解と批判のターゲットになりやすい。世間は、同じ所得層でも文句をいわず、幸福に暮らしているのに、それができないのは本人の努力が足りないからだという目でみるからだ。
そんな貧困におちいっている女性のなかでさらに、”可視化されない”ほどの困窮を抱えている女性たちを"最貧困女子”と名付ける。
そして、この"最貧困女子”は売春や性風俗といったセックスワークの中にいるという。中というよりも底の底といったほうが的確だろう。

著者は、20名程度この"最貧困女子”への取材を行ったというが、尻尾を巻いて逃げ出してしまったという。彼女たちを取り巻く圧倒的な不自由と悲惨と壮絶さに耐えられなくなったのだ。
多分、読者に先入観を与えないよう慎重に言葉を選んで書いたのだとは思うが、私も読んでいてたまらくなくなった。もし、身近にこの種の人がいたら、助けてあげたいという感情云々のその前に逃げ出してしまうことだろう。正直とても耐えられそうにない。こういうとあなたは私のことを薄情だと非難するだろうか…。しかしそれくらいの衝撃だった。
彼女たちは一様にその生い立ちから不幸に囚われている。多かれ少なかれメンタルも病んでいる。そればかりか、軽度の知的障碍も持ち合わせていることも多いという。何も与えられず育ち、適切な教育も受けられず、友人もおらず、容姿にすら恵まれていない。そもそも努力するベースもないし、さらに悲劇的なことにその気もない。
著者曰く、「彼女たちは本当に、救いようがないほどに、面倒くさくて可愛げがないのだ」という。ゆえに、彼女たちの痛みは可視化されることはなく、むしろ糾弾の対象になってしまう。
最も救うべき対象であるにもかかわらず、皆が助けたくないと思ってしまうのだ。人は助けてくださいと声をはっすることができる人、助けたくなる見た目の人を優先してしまう。それが人間のごく自然な感情だろう。助けようと手を差し伸べた時、睨みかえし拒む人を「それでも」助けるのは難しい。
だが、ここに"最貧困女子”のリアルがあり、今の世の最悪の残酷さだと著者は訴える。

貧困は連鎖する。同様に”最貧困女子”の苦しみも連鎖する。最終章には著者が考える負の連鎖を断ち切るための策もしるしてある。万能な策ではないだろうが、やらないよりはマシかもしれない。
先にも触れたように私には彼女たちを受け入れる度量がない。けれども、せめて非難の感情を持つことのないようにしたいと思う。



最貧困女子 (幻冬舎新書)

鈴木大介(著)
幻冬舎 (2014/9/27)

Kindle版はこちら→ 最貧困女子





出会い系のシングルマザーたち―欲望と貧困のはざまで

鈴木大介(著)
朝日新聞出版 (2010/03)






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category: ノンフィクション・新書

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2014/12/14 Sun. 13:42 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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