Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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波の音が消えるまで / 沢木耕太郎 

クリスマスも終わってしまった。

もういくつ寝るとお正月…
換気扇の掃除がまだなのだけど、終わるんだろうか?

それにあと二営業日で大納会…
塩漬け中の4564はなんとかなるんだろうか?

・・・厳しそうだな。

Lisboa Macau

さて、沢木耕太郎といえばノンフィクションだが、本書は長篇小説。なんと初のエンタメのだという。
実は私は初・沢木耕太郎なのである。学生時代のBFが沢木耕太郎の大ファンだったのだが、ぶっちゃけその人の趣味はかな〜り微妙だったので、手をつけなかったというわけ。
しかし、読んでみるとこれがなかなか良い。
なにか身につまされるものがあるのだわ・・・。

baccarat.jpg物語は香港返還の前日1997年6月30日のマカオから始まる。28歳の航平は、1年に及ぶバリでのサーフィン生活に見切りをつけ、日本に帰国しようとしていた。
香港を経由するチケットだったこともあり、2〜3日香港で美味しい中華でも堪能して帰国するつもりだった。
しかしその日は香港にとって特別な日だったのだ。
イギリス領最後の日とあってホテルはどこも満室。少し足を延ばしマカオまでいけば、ずっと安く泊まれるだろうということでマカオにやってきたのだった。
そこで航平はバカラに取り憑かれてしまう。
もっと言えば、バカラに淫してしまったのだ。
航平は元々、ギャンブルは好きではなかった。以前助手をしていた大御所カメラマンの”巨匠”は博打好きで、「博打の基本は見ることにある。だから航平は博打は強いはずだ」と言っていたものだった。だが、当時の航平には博打の面白さがよくわからなかった。なのにバカラの波に飲まれていく。
バカラの掛け方はごく単純だ。客はバンカーかプレイヤーのどちらかにチップを賭ける。勝敗は配られる二枚もしくは三枚のカードの合計数で決まる。十の位除いた一の位の数が大きい方が勝ちだ。マカオではバンカーを庄、プレイヤーを閒(間の元字)と呼ぶ。
庄と閒、庄が連続で三回続くこともあれば、その逆もある。勝負の結果はあたかも波のようだ。観察することで航平は流れを掴むのに成功する。しかし、そのせっかくのチップを白髪の男に横取りされてしまう。それが劉さんとの出会いだった。そして、劉さんとの出会いによって航平はさらなる深みに誘われていく。
バカラの台は緑の海のようであり、そこには人生の極北があった…。

sawakikoutarou.jpg「果ての果てまでいった人にはどんな風景が見えるのか?」著者はそう思ってこの物語を書いたという。この感覚、すごくよくわかる。
昔よく、高層ビルから飛び降りる瞬間に見える景色はどんなものだろうかと空想した。自殺願望があったわけではない。単なる好奇心だ。見られないものほど見てみらいし、手に入らないものほど欲しくなる。もちろん実際にはそんなことはできないし、やらない。だが、その景色はおそらく他の一切のものとは全く違うものなんだろうと思う。
そういったあまり健全とはいえない好奇心のある人には、とても面白い小説だと思う。
王子製紙の御曹司がマカオのバカラに嵌って、会社の金を使い込んだ挙げ句実刑判決を受けたのは、まだ記憶に新しい。ギャンブル依存症という病気のせいだということで片付けてしまうこともできるが、もしかしてこの種の不健全な欲望もあったのではないかと考えてしまう。
なんといっても、バカラとはイタリア語でゼロを意味する言葉であるという。バカラという博打ではゼロ以上に悪い数はないというのも不思議な説得力を持っている。

「バカラをやっていると、なんだか自分の心を覗き込んでいるみたいな気がするんです。」
バカラの師となった劉さんに航平はこう言うのだが、確かに偶然が支配する賭け事にはこういう側面がある。あの時どうして自分は賭けることができなかったのか?なぜ流されて賭けてしまったのか?
ゆえにバカラの絶対の必勝法を模索するということは、人生の必勝法を探すことに他ならない。
劉さんが航平に残した「波の音が消えるまで」というのは、一体どういうことなのか?航平はバカラの必勝法を見つけることができるのか…。
自分の人生では決して見ることのできない果てを、本書で航平になりきることで少しだけ覗き込めたような気もする。本当の自分ならば、劉さんのように最後まで勝ってしまうかもしれない。だが、もしもそうしてしまったならばそれからの人生は意味を失い砂を噛むようなものになるのだろう。

ラストも好きだ。あのバージンロードの歩みで、航平の人生はモドリ目をむかえるのだろうか。
ただ、航平は少し恵まれすぎじゃないかという気はするけれども…。

最近また国内作家のエンタメもぼちぼち読み始めたけど、実力のある作家のものはやっぱりいいですね〜




波の音が消えるまで 上巻
波の音が消えるまで 下巻

沢木 耕太郎 (著)
新潮社 (2014/11/18)









今年はひときわ寒いせいか、トシのせいなのか肌も乾燥しまくり。
これ、いいですよ。香りも好き。


ハウスオブローゼボディクリーム(越冬クリーム)

価格:¥ 1,296




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category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2014/12/26 Fri. 22:09 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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