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読書日記、ときどき食日記

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ハローサマー、グッドバイ / マイクル・コーニイ 

あけまして、おめでとうございます!

お正月、いかがお過ごしだったでしょうか?
わたくしはハワイでゆっくり・・・

というのは真っ赤ウソで、実家に挨拶にいった以外は横浜の自宅で寝正月でしたわ。
「紅白歌合戦」にはじまって、Gacktが正解しまくる「芸能人格付け」「箱年駅伝」アベンジャーズのスピンオフドラマ「エージェント・オブ・シールド」の一挙放送!
まさにテレビ三昧!
なんという安上がりな妻なのでしょう…夫よ、感謝しなさい。

    2014120601.jpg
その怠惰でテレビ三昧の合間を縫って読んだのが、マイクル・コーニイ『ハローサマー、グッドバイ』 である。
本書は昨年末の横浜読書会の忘年会で"なっちゃんさん"からいただいた本。
新年一発目にふさわしい傑作で、「さすがは、なっちゃんさん!」と感心すること頻り。
1980年にサンリオSF文庫から出ていた本だったが、87年に同文庫が廃刊になってしまい絶版になっていたとのこと。それが2008年に河出書房の編集の方の強い希望で新訳復刊されたものだという。
なっちゃんさん曰く、「あま〜〜〜〜〜〜いSFミステリ青春恋愛小説」ということだったが、私はむしろ甘い部分よりも苦さのほうを強く感じたかな。
人間という生き物のの愚かさとや、男と女の違いについてなどなど色々と考えさせられた。

Pluto.jpg物語の舞台は、我々の太陽系以外のどこかの惑星である。
惑星は太陽フューの周囲を楕円の軌道で周回しており、我々によく似た異星人が暮らしている。彼らは外見も思考も私たちととても似通っている。文明の程度は、アルコール(蒸留液)で動く自動車はあるものの、電気や電話はない。
冬は厳しい。だから彼らは生まれつき皆寒さを恐れている。その身についた恐怖は、冬や寒さ、月のかわりに巨大惑星ラックスがのぼる夜が及ぼせる害を警告する手段として進化してきたという証左なのだろう。
そして、惑星にはエルカとアスタという二つの国家が存在してるが、両者は戦争状態にあった。
主人公はエルカに住む政府の役人の息子ドローヴ少年だ。物資は全て割当制の時勢にあって、ドローヴ少年の一家は恵まれていた。父親の広報大臣の事務局長という地位はある種の特権階級を意味しているからだ。
彼の一家はエルカの首都アリカに暮らしているが、毎年夏になると海辺の街パラークシに出かけていき、パラクーシが雨季になる頃に戻ってくる。しかし、この年の休暇旅行は勝手が違った。
ドローヴは、パラクーシで昨年から気になっていた女の子ブラウンアイズと親しくなる。幸運なことに彼女もドローヴのことを憎からず思ってくれていた。ブラウンアイズは、パラクーシの宿屋の娘だ。階級が存在するエルカでは二人は身分違いのカップルだが、ドローヴ自身は全く気にしていなかった。
夏が終わろうとし粘流(グルーム)が到来しはじめ、パラクーシでも戦争の影が色濃くなっていく。物資の割当や夜間外出禁止令などをめぐり、アリカから逃れてきた議会と地元のパラクーシの人々もまた対立を深めていた。
そんななか、ドローヴとブラウンアイズは愛を深めていく。しかし思いも寄らぬことが明らかになり…

Michael G Coney物語に入る前に、巻頭には「作者より」と題された短い文章がある。
これは、いうなれば、本書がSFであるということの断り書きのようなものなのだが、作者はまず私たちにこう語りかける。
これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにはもっと他の多くのものである」
少年と少女の初々しい恋はまぎれもない恋愛小説であろうし、戦争小説でありSF小説であるのは粗筋だけでもわかっていただけるだろう。
少年と少女の恋は確かに甘酸っぱいが、初体験の後その様相はガラリと変わる。少年は社会的な生き物たる男になるのだ。もう一度愛を交わしたいという少女の甘い願いよりも、町に戻って町と役人の争いを終わらせるという使命に思いを馳せる。そして、隠されていた真相が明らかになり二人のいる場所に隔たりが生じたときも、彼はそこから出て彼女とともに過ごそうとしない。
著者は本書を自分の自伝的小説だと言ったというが、甘さよりもむしろほろ苦さを思い出して書いたのではないだろうか。

楕円軌道が引き起こす粘流(グルーム)、それに続く雨季、ロリンという人間ではない毛むくじゃらの哺乳類…特にSFの設定には特筆すべきものがある。しかし、本書の最大の良さは、最後に述べられている「他のもっと多くのもの」なのではないだろうかと思う。まさしく人間のなんたるかも存分に描いているのであるが、これを、わざわざ自分たち人類と同じではないと断りを入れるという憎らしさ…。
最後の「どんでん返し」については、人それぞれの解釈がありそう。これも読書会をやると面白いかも。

オバさんに、ひとつだけ言わせていただければ、漫画チックな装丁はやめてほしかった。
若い人にはこのほうが売れるらしいのだが、私なんかは自分はこの本のターゲットじゃないという気分にさせられるのよね。


ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

マイクル・コーニイ (著), 山岸真 (翻訳)
河出書房新社 (2008/7/4)





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category: SF ファンタジー

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: SF  恋愛小説  戦争  復刻版 
2015/01/04 Sun. 17:13 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

ありがとうございます。
『パラクーシの記憶』も読もうと思ってますが、あの漫画装丁やめてほしいです。

塩漬け蕪は…現物ならいずれなんとかなるかも???

Spenth@ #- | URL | 2015/01/06 Tue. 23:03 * edit *

一応続編『パラークシの記憶』もよろしく!
それよりも自分の塩漬け株を何とかしてほしい!

by N #6gL8X1vM | URL | 2015/01/06 Tue. 22:41 * edit *

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