Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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7人目の子 / エリーク・ヴァレア 


ナダル負けたぁぁぁぁーー・・・

あああああうわ〜〜あああああああんんn・・・・(涙)
でも盲腸あけで調整できてないのにもかかわらず、よくここまで頑張った。
ベルディヒは絶好調だったもんなぁ。
私の全豪も終了。もう観ません…。
ナダルは気持を切り替えてクレーシーズンを頑張って!

こんな傷心の私に「負けたんだってね、ぷ・ぷ・ぷ」という心ないメールを送ってきた夫よ…
晩ご飯はありませんから。


さて、気を取り直して本書はデンマーク発のサスペンスミステリ。2012年のガラスの鍵賞を受賞しているという。
デンマークとえいばユッシ・エーズラ・オールスンの『特捜部Q』のシリーズだが、テーマは似ているかも。

Erik Valeur 物語の舞台は”コングロスン”という児童養護施設。「市民王」と呼ばれたフレデリク7世のために立てられた荘厳な建物で、デンマークでもっとも権威のある施設とされている。
2001年9月、その児童擁護施設にほど近い海岸で女の死体が見つかる。身元は不明だが身につけた着衣からオーストラリアからやってきたと推測された。
片目には大きな傷、遺体のそばには説明のつかないものが残されていた。天文学者が書いた難解なSF本、古い菩提樹の枝、処刑に使うような太いロープ、首を折られたカナリア。
担当した老刑事は、これが殺人事件なら犯人は精神を病んでいるに違いないと思う。
しかし、そのわずか数時間後に世界を揺るがす大惨事が起きてしまった。911テロだ。そのせいもあってその事件は捨て置かれることになった。
それから6年以上が経過した2008年の5月、後に「コングロスン事件」としてデンマーク中の関心を呼ぶことになる出来事が始まろうとしていた。
発端は国務省に届いた一通の匿名の手紙だった。同封されていたのは古い雑誌のコピーだった。太いペンで囲まれた記事はコングロスンが望まない妊娠をしてしまった妊婦の赤ちゃんを秘密裏に養子縁組してくれるというもので、錆茶色の古い屋敷とクリスマスツリーの下に座っている7人の幼い子供の写真が。そして、この記事には1961年の養子縁組申請書が添えられており、そこには「ヨーン・ビエルグラストン」という名が記されていた…。
次期首相の座を狙う国務大臣の参謀管理局長、オアラ・ベルントセンはその写真に見覚えがあった。自分自身も幼い頃コングロスンにいたことがあり、彼の母親が同じ写真を持っていたからだ。
同じ手紙を受け取っていたジャーナリストのクヌーズ・トーシンは、コングロスンが国の支援を受ける見返りに、特権階級のスキャンダルをもみ消す手伝いをしていたのではないかと疑う。50年から60年代、中絶は合法ではなく、ピルはまだ一般的ではなかった。ある権力者が過ちを犯しコングロスンを使ってもみ消したが、唯一消し忘れた痕跡が「ヨーン・ビエルグラスン」という名なのではないか。
Louise Rasmussenその写真の子供は5人が男の子で2人が女の子だった。7人目の子マリーを除き、みんな引き取られていった。そして、このマリーこそがこの物語の主たる語り手でもある。
マリーには生まれながらに重度の障害があった。そのため院長マウナ自身の里子となりコングロスンに留まることになったのだ。背中は大きく曲がり、足は左右を取り違えたようで幾度とない手術が必要だった。顔もまた特異だった。マウナ曰く、「首から上の半分がしぼんだペルー人の子供みたいだった」という。
そんなマリーが唯一親近感を抱けたのは、コングロスンのそばの屋敷に住んでいた老女マウダレーネだけだった。マウダレーネもまたマリーと同様の障害を持っていたのだ。マリーが8歳の頃マウダレーネは死んでしまったが、しかし彼女はマリーのそばにいて声をかけてくれている。そして、マウダレーネは幼いマリーに「ほかの子供たちがどこにいるのか見つけ出しなさい」とマリーにいったのだ。
マリーの目を通して、次第に明らかになる6人の養子たちの暗い過去…。
果たして「ヨーン・ビエルグラン」は誰なのか?
コングロスンの海岸の事件は誰の仕業なのか?

Domestic Canary『特捜部Q』よりもかなりウェット。様々な人生が複雑に入り組んだ重みのある作品だ。
なぜ一文がこんなにも重いのだろうかと思ったが、それは著者自身が養護施設の出身者であるからだ。
そして、本書は、著者自身がマリーが記した記録を基づいた物語だという複雑な形をとってる。実際、著者本人自身も昔、人士絵の一歩を踏み出した時一緒にいた仲間をみつけようと奮闘したことがあるというから、ある意味実話だといいっていいだろう。
「ヨーン・ビエルグラン」が誰なのかについては、勘の良い人はすぐにピンとくるかも。だが、最後の最後に明かされる真実にも驚かされることだろう。
また、そもそもがジャーナリストだというだけあって、移民問題や中絶問題などの掘り下げ方というか扱い方も上手い。ただし、どこからどこまでが現実なのかわからない部分もあるので、読みにくいと感じる人もいるかもしれない。それが醍醐味でもあるのだが。

環境的要因が担う大きさに社会の目が向けられるようになったのは、ごく最近のことだ。それまでは血、遺伝は今以上に重要視されていた。その遺伝がわからないというのはどれほど不安なことだろう。
しっかり「繋がっている」と感じられる両親がいる自分はなんと幸福だろうと思うが、同時に血の繋がりに執着するようにできている人間の本能に少し恐ろしさのようなものも感じてしまう。
どんなに愛情深い養母であっても、無意識に自分が産めなかったという反感を宿しており、子供はこの”怒り”を敏感に察知するという。この孤独という恐怖から6人それぞれの闇は生まれたのだ。
「人生の早い時期に負った傷は、傷跡にならずに自我の一部になるんだ。(中略)ぱっと見にはわからないけど、その人の活動や言うことやすることの全ての影響する」6人のうちの一人がマリーに言った言葉が心に残った。



7人目の子(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
7人目の子(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

エーリク ヴァレア (著), 長谷川 圭 (翻訳)
早川書房 (2014/10/24)

Kndle版はこちら→7人目の子(上)
Kndle版はこちら→7人目の子(下)




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category: 歴史・大河・ドラマ

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tag: 海外ミステリ  早川書房  ガラスの鍵  北欧 
2015/01/27 Tue. 18:53 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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