Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

04« 2017 / 05 »06
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

レッド・ライジング 〜火星の簒奪者/ ピアース・ブラウン 

風邪で寝込んでる間に日経ちゃん19,000円台とか。す、すごいな。
まるで火星なみの重力じゃないの。そういう私は大して儲かってないんだけども…。どういうことだ。

さてさて、火星といえば本書を欠かすことはできないでしょう。そうでしょう。
この間、読書会をやったばかりの『火星の人』 の著者も華々しいデビューだったが、このところSF界はなんだか火星づいている。
BrownPierce.jpg本書はAmazon.comの2014年ベストブックス20選に選ばれ、レビューサイトGoodreadersのベスト新人作家部門を受賞しているのだそうだ。Goodreadersの賞は読者によるものなのあり、一際その人気度が伺える。
それにしても、ブラウンさんイケメンすね…。
ええ、『ハリー・クバート事件 』ディケールもそう。白状すると
私はイケメンに弱いです。ハイ。

『火星の人』同様映画化も決まっているそうだ。読んだ感じでは、いくらハリウッドの予算が潤沢でCG技術が優れていようとも、実写よりも絶対アニメだと思うんだけどな。

物語の舞台は火星。2014年が太古の昔といわれるほどの未来。火星はテラフォーミングされ、人々はゴールドを頂点にした厳格な階級社会に暮らしている。
幾世代にもわたる遺伝子操作とバイオ改造とで、人々はその階層に応じ色属に分けられている。
オブシデイアン(鴉)は選び抜かれた精鋭部隊で、グレイは兵士、共にゴールドの足元を固め、階級制度への服従を確固たるものにしている。ホワイトはその正義を裁定し、ピンクは上級色族の家で快楽の奉仕をする。イエローは医学と科学を研究し、グリーンはテクノロジーを発展させ、カパーは官僚制度を運営するといった具合に。
各色属にはそれぞれの役割と目的がある。しかし、全ての色族はゴールドを支えるために存在しているのだ。ゴールドによって構成されるソサエティと呼ばれる政府を支えるために。
レッドはその階級社会の最下層に属している。さらにその下級レッドたちは、火星の地下深くでヘリウム3の採掘に従事していた。地下で生まれ一度も太陽をみたことのない彼らは、ソサエティによって過密な人口に苦しむ地球からの移住者を受け入れるため働いている火星の開拓者であると信じ込まされていた。危険極まりない仕事のために、レッドたちの寿命は短い。
そんな下級レッドのダロウはついこの間16歳になり、幼馴染みのイオと結婚したばかりだった。しかし、あることがきっかけでイオは処刑されてしまう。ダロウもまた処刑されるのだが、"アレスの息子たち”と呼ばれる謎の組織に救けられる。階級制度の転覆を目論んでいるこの謎の組織は、ある任務にあたり賢いダロウに白羽の矢を立てたのだ。それはゴールドの上層部に潜り込み、内側から崩壊させるというものだった。
従順を善として生きてきたダロウは反発するが、テラフォーミングの終わった火星の真の姿を目の当たりにし、ずっとソサエティに騙されていたことに愕然とし憤る。そして組織の任務を受ける決心するのだった。
成形師の手を借り全身に手を加え、ゴールドの身体を手に入れたダロウは、ゴールドたちのエリート養成学校の潜入に成功するのだが…。

Greek mythology色別に階級が決まってるとか、ゴールドは金髪で目もゴールドで剛健で美しいとか面白い設定だけど、ね、実写より絶対アニメでしょ?
訳者も指摘している通り、粗筋としては『エンダーのゲーム』に少し似ていて、養成学校に入学してからは、所属する寮同士の争いや友情や裏切りなども描かれているため『ハリー・ポッター』のホグワーツなんかも彷彿とさせたりもする。しかし、ホグワーツよりも遥かに残酷であり、そこは文字通り『バトル・ロワイアル』 やら『ハンガー・ゲーム 』な、色々と切り貼り感満載な小説なのである。
こういった「どこかで見たよね?これ」的な小説は、概して好きではないし評価もしないのだが、底をながれるテーマとして伝統的階級社会が描かれているため、直前まで読んでいた『21世紀の貨幣論』とそう遠からずで楽しめた。
伝統的階級社会も、貨幣に支配されすぎている現在の資本主義社会も駄目、現状、資本主義以外の制度は全てが失敗に終わったのであれば、次は何を目指すべきなのだろうか?ダロウたちは何を目指すのだろうか?

横浜読書会のKameさんからは、「最初は面白いけど、カタルシスがないんだよ」と聞いていたのだが、私は逆に中盤以降、養成校に入学し殺し合いが始まってからのほうが面白く読めたかな。確かにカタルシスはないかもしれないが、本書は三部作の一作目なのでそれは致し方ないかな?許してやってよ。まだまだ、ダロウの物語は道半ばなのだから

ただこの作品、冒頭でも述べている通りかなり漫画チックなのだが、実は企業小説的に見られるような重みも持っていたりもする。そもそもが立身出世の物語なのであるが、ゴールド養成校でのことは、企業内での出世争いに通じる策略や陰謀がある。
ダロウは最下層のレッドから一躍、最上級階級のゴールドの仲間入りを果たすが、その特権階級のゴールド同士での激しい争いがあるのだ。同じチームの者ですら油断はできない。奸計をめぐらしたり裏切りにあったりしつつ生き残るため闘う。ここで脱落したり、無能のレッテルを貼られてしまえば、ゴールドといえども将来はない。
その苛酷さは社会の現実にも通じるものがないだろうか。いい学校を出て努力しいい会社に入ってもそれで終わりではない。その先もまだ競争は続きライバルが優勝である分さらに苛酷になっていく。しかも実力だけの勝負というわけでもない。コネの力というものを痛感することも多いだろう。それが自分に有利につけ不利につけ…。そのこともまた物語で存分に描かれており、つい我が身に重ねる人もいるかもしれない。
ま、私自身はとてもダロウにはなれないけども…。

続編の『Golden Son』も既に米国では刊行されているそうだが、こちらも楽しみ。
粗筋を忘れないうちに、早く出してくださ〜い。




レッド・ライジング―火星の簒奪者 (ハヤカワ文庫 SF フ 21-1) (ハヤカワ文庫SF)


ピアース ブラウン (著), 内田 昌之 (翻訳)
早川書房 (2015/2/20)




関連記事

category: SF ファンタジー

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 早川書房  映画化  SF 
2015/03/13 Fri. 17:40 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/452-a3385adb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top