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読書日記、ときどき食日記

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猟犬 / ヨルン・リーホル・ホルスト 

fredrikstad_norway.jpg我が家から「まぁ歩けるかな?」というところにビストロがあるのだけど、これが若いご夫婦が二人でやっているこじんまりとしたかわいらしいお店。
なかなか行く機会がなかったのだが、お天気のよかった日曜に散歩がてらランチに行ってみた。
この歩いていけるというのがポイントで、多少ワインを飲んで酔っても気持がラク。
美味しいお店なら常連になっちゃおうかなぁと思っていたのだが、結果は微妙なカンジだった。
うん、美味しくないわけではないのですよ。けれど頻繁に行きたいかといわれればそうでもない。
ランチで3,000円超ならば、もうちょい頑張って欲しかった。
オットなど、「サン○ルクのほうが美味しくない?」とまで言いだす始末。ファミレスチェーンと比べるのもどうかと思うが、確かにパンが焼きたてな分、あちらに分があるかも。

なんでこんな話をするのかというと、まさに本書がそんな感じだったのですよ…。

さて、主人公はノルウェーのラルヴィク警察に勤めて31年になるベテラン刑事、ヴェスティング。妻は他界し、今はスサンネという女性と暮らしている。
娘のリーネはノルウェーの大手タブロイド紙の記者をしている。彼女が担当しているのは刑事事件だ。ヴェステイングとしては、自分が残忍で下劣な事件を目の当たりにしてきただけに、娘にはそういったものと無縁であってほしかったが、好奇心旺盛な彼女にはぴったりの職場だ。彼の担当する事件を娘の部署が報道することも少なからずある。
schapendoes-0022.jpgそんな折り、リーネから「明日の新聞にパパのことが載るみたい」という電話を受ける。
聞けば、"セシリア事件"のことが関係しているという。
セシリア事件とは、17年前に起きた少女の誘拐殺人事件で、まだ若手捜査員だったヴェスティングが初めて指揮をとった事件だった。
この事件の解決をきっかけに、彼は優秀な捜査員だと見なされるようになったのだ。その事件の犯人として逮捕された男ハーグルンが、決定的証拠として採用されたDNA鑑定に意を唱えたのだ
鑑定されたタバコの吸い殻は、すり替えられたものだと証拠捏造を訴え、この度それが認められて釈放されたのだった。
リーネの新聞は、明日の一面でヴェスティングを糾弾しようとしていた。締め切りが迫り、リーネは父の記事にとってかわるような記事を求め、対岸のフレドリクスタで起きたばかりの殺人事件を追い記事を書いたが、デスクを翻意させることはできなかった。
果たして一面はヴェスティングの糾弾記事で飾られ、ヴェスティングは責任を問われて即時停職を言い渡されてしまう。
折しも少女の誘拐事件が起きたばかりだったが、今のヴェスティングには何もできない。
打ちひしがれる彼だったが、停職処分は形式上こうするしかない妥当な決定だった。これ以上警察の威信を損ねないためにも、当時の捜査責任者を解任するしか道はない。警察への信頼はこの上なく大事で、ヴェスティングは常にその信頼に応えようと努めてきたのだ。
彼には、当時ハーグルンが犯人だという自信があった。ハーグレンの目にはまぎれもない悪意が宿っていた。
自らの無実を証明するには行動するしかない。新たな目で事件をもう一度見直すのだ。ヴェスティングは、コテージで当時の捜査資料の見直しをしていたが、ある日何者かが侵入した痕跡に気づく。
一方のリーネは、父を心配をしつつもフレドリクスタの殺人事件を追っていた。しかし、その事件の被害者の家で彼女は何者かに襲われてしまう…。
誰が証拠品に手を加えたのか?そしてハーグレンは無実で真犯人が他にいるのか…?

jornlierhorst.jpg「ガラスの鍵賞」「マルティン・ベック賞」「ゴールデン・リボルバー賞」の三冠に輝いたというから、そりゃぁ私は期待していた。

だって、最近面白い警察小説なんてとんとお目にかかってないもの。

横山秀夫の『64(ロクヨン)』 と、あとは、ユッシ・エーズラ・オールスンの『特捜部Q 』のシリーズくらいだが、これもシリーズを重ねるごとに難しくなっていくだろうな。

だから三冠というからには、『三秒間の死角』 くらいの「きたで!コレ」感があるんじゃないの?と思ってしまったのだ。

かな〜りハードルが高くなってしまったせいか、正直ちょっと拍子抜け。
私とは逆に、Amazonレビューは相変わらずの超好評価。
みんな「三冠という釣書」にやられてるでしょ〜?!

いや、うちの近所のビストロ同様、悪くはないんですよ。悪くは。
物語自体も、基本に忠実で素直な直球ストレート、綺麗に纏まってる。勧善懲悪的だしそういうのが好まれる傾向の横浜読書会ではブラボーされるかも。
でもねぇ…それって超フツーじゃない???
なんでもこの作品は、ヴェスティング・シリーズの第8作!らしいのだが、主人公の造形は警察小説のセオリー通り。ベテラン刑事が危機に陥るという状況に加えて、伴侶であるスサンネとの間もギクシャク。
主人公の「警察の信頼に価すべく努める」という警官としての矜持と、スサンネの「あなたがどんなに頑張ったって、有り難く思う人なんていないのよ!」という不理解の不協和音は、何もこの小説の専売特許というわけではない。薄味なヴァランダーという感じが否めないのよ…。

猟犬というタイトルに、視野狭窄に陥りがちな捜査官を重ねる表現が何カ所かでてくるのだが、これもストレートすぎてやや野暮ったい。ホルストさんも純朴そうだもんなぁ…
それにしてもハヤカワよ…。装丁の水玉はどうなの?
ただ、北欧ミステリでもノルウェーの作品というのはもの珍しく(ジョー・ネスボもいるけど)、警察の組織とか内部の不正を審査する委員会とか、法制度なんかに関心を惹かれた。なんでもノルウェーでは、偽造された証拠に基づいて有罪判決を受けた人が5年を超えて刑務所で過ごした場合、その被告は21年以下の懲役に処せられるのだそうだ。
日本でも大阪地検特捜部が証拠改ざんした事件があったが、あの検事は懲役1年くらいで、執行猶予がついたんじゃなかったっけ?執行猶予がついてる分、ホリエモンよりも軽いのか…。



猟犬 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ヨルン リーエル ホルスト (著), 猪股 和夫 (翻訳)
早川書房 (2015/2/5)





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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  早川書房 
2015/03/24 Tue. 17:04 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、こんばんは。

>Spenthさんクラスの読み手になると、相当ハードル高いからなぁ。
>でも自分が読む分には十分に愉しめる作品だと思うな。

う〜ん、悪くはないんですよ。でも三冠とか言われると、それほどかなぁ?というのが正直な感想かな。
私的には、本当に単にフツーでしたね。
まぁ、だいたいにおいて警察小説はヴァランダーでマンケルがやってしまった感があるので、何かこの作者だけの「惹き」みたいなものがないとなぁ…という感じでした。

>この話をするとあの頃(時)はみんな腹減っていたから美味かったんだ
という当然の帰結(結論)になるのですが・・しみついた貧乏?

お腹が空いてるのが何よりの調味料といいますからねぇ。
若い時は、ガッツリいきたいですしね(笑)

『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン』私的には駄目でも、naoさん的にはいかがでした?
『ありふれた祈り』は、横浜読書会では散々でした(笑)
私は、自分の体験と重ねたせいもあって、大好きでしたけども。
歳をとると、段々と「死」というものが身近になるし、大切な人を失ってしまうこともあると思うんです。
あの本はそういう体験のある人の胸には響くのじゃないかなぁ…

>また話がかわりますが、ル・カレは最高ですなぁ。
あの味わい。本当にそうですよね。
映画はゲイリー・オールドマンのあの抑制のきいた演技がいいんだ。また。


私の持ち株は、もう地球の裏側まで潜ってる感じです(笑)
もう悲鳴もあがりませんわ…。
アベノミクスで30億儲けて脱税してる人もいるっていうのにねぇ。
もういいです…。2〜3年じっくり漬込んで、それでも助かれば御の字といったところ。

では、では。

Spenth@ #- | URL | 2015/03/27 Fri. 00:51 * edit *

ほう・・「猟犬」は高評価が並んでおりますがいけませんでしたか?
Spenthさんクラスの読み手になると、相当ハードル高いからなぁ。
でも自分が読む分には十分に愉しめる作品だと思うな。
その話は置いて、ブログの記事を読んで今更ながら
文章をおもしろく読ませるその筆致というか語り口というか、
もうエッセイストのそれのように手慣れた感じで・・改めて感心しました、
(何を今更!・・と怒られるかも)。

ランチで3000円かぁ・・まぁそうなんだけど。
食事の金額(レストランでの食事限定)のことになると、
今も吉野家の牛丼の並(大盛)の金額と比較してしまうのでした。
牛丼の何杯分かぁ・・と頭の隅で計算(割り算)。
正しい言葉の意味とは離れて、自分にしか解らない(通じない)、
いわゆる『どんぶり勘定』。
金欠の学生時分に食べた牛丼の美味かったこと・・幸福感!
それに見合った味に、いまだレストランにおいては味わえていないのでした。
この話をするとあの頃(時)はみんな腹減っていたから美味かったんだ
という当然の帰結(結論)になるのですが・・しみついた貧乏?
一生直らないであろう自分のこの『どんぶり勘定』。

最近北欧ものでは『模倣犯 犯罪心理捜査官セバスチャン』読みました。
おそらくSpenthさんは主人公に怒髪天でありましょう。
週末『ありふれた祈り』読む予定です。

また話がかわりますが、ル・カレは最高ですなぁ。
『ティンカー、テイラー・・』読みながらDVDで映画も再見。
オトナの読み物だなぁ・・と、しみじみ。

エライ長くなりました。
お互いの持ち株だけが急騰し、その他の株は全部急落しますように!
ではまた!

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/03/26 Thu. 20:34 * edit *

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