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読書日記、ときどき食日記

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ウェイワード 〜背反者たち / ブレイク・クラウチ 

陽射しは力強くなってきたけど、寒の戻りでさむい〜〜
でも明日からグンと暖かくなるそうで、週末はぼちぼちお花見もできそうなんだとか。
三渓園に元町公園、野毛山公園や三ツ池公園あたりが横浜のメジャーな桜の名所。アクセスがかなり悪いのが難だけど、三ツ池公園の桜は素敵なのですわ。
ただ、週末は混んでるんだろうなぁ…。

さて、本書は『パインズ -美しい地獄-』の続編である。
帯にもあるように「まさか、まさかの続編」(笑)で、本当に全然続編がありそうな話じゃなかったのだ。普通の作家ならあれで終わらせてたと思う。
一体どうするつもりなんだろう?と思って楽しみにしていたのだが、これが実にシレっと始まっているのだ。
やっぱりクラウチさんはただ者じゃない。スゴいす…。

ところで、この「ウェイワード・パインズ三部作」はFoxでドラマ化されこの5月から放送開始なんだそう。
日本でもFoxで観られるそうなのだが我が家はFoxは入ってないのよ…。WowowかHuluでやってくれないかな?
アビーがどんなのか観たいわ。


主人公は前作から引き続いてイーサン・バーク。元シークレット・サービス。
『パインズ』のラストで驚愕の事実に直面した彼は、本作ではウェイアード・パインズで妻と息子と共に暮らしてる。そればかりか、今はこの街の保安官なのだ。
彼が暮らすウェイアード・パインズは普通の街ではない。アイダホ州の山間の風光明媚なこの街の周囲には、しかし街の周囲にはぐるりと高電圧のフェンスがめぐらされ、その上常時スナイパーによって監視されている。
この街の住民には皆が皆、大きな事故に巻き込まれた後に意識を取り戻している。街の至るところ、家の中にいてさえも常時監視されており、彼らは職場も結婚相手ですら自分で決められない。
waywardss.jpgこの街を死後の世界だと思う者もいれば、監獄だと考える者もいる。
謎に満ちたいわば美しい終身刑といっていい
誰もがこの街から出て行きたいと夢見るが、しかしそれは不可能だ。与えられた境遇を受け入れるふりをし、ヴィクトリア様式の家が立ち並ぶ美しい街の幸福な住民を演じている。
フェンスの向う側には悪夢のような世界が広がっているが、イーサンはそれを知る唯一の住民だ。そしてその状態を保つのが今の彼の仕事なのだ。
ある夜、イーサンはこの楽園から抜け出そうを試みる隣人を阻止するために、森にでかけそこで女性の遺体を発見する。全身を滅多刺しにされ、全裸で放置されていた。
彼女の名はアリッサ、この楽園を作りあげた男の娘だった。イーサンはその男ピルチャーからアリッサ殺しの犯人探しと、アリッサの任務を引き継いでほしいと依頼される。アリッサは、住民の背反者のグループの潜入捜査をしていたのだった。殺害された夜、彼女ははじめて彼らの集会に参加することになっていたという。
彼らが保安官である自分を信用してくれるわけがない。イーサンは食い下がるが、かつてのシークレット・サービス時代の同僚で愛人だったケイトこそが、アリッサの窓口だったことを明かす。
ケイトは人殺しをするような人間ではない。だが、それは前世での話だ。物理的な拘束に加え、精神的にも拘束を受けており、そんな状況に長く身を置くことで以前とは別人になっている可能性もある。
アリッサを殺したのはケイトなのか…?

前作ではその異様な世界というシチュエーションに、ただただ圧倒された。だが、今回はそれに人間的なドラマが加わった感じ。この直前に読んだのが、ド定番の警察小説だったせいか、余計にこのハチャメチャぶりが楽しめた。
また、本書ではピルチャーの見方がガラリと変わる。前作はそれでも”理由”が先にだったが、本作ではそれがいかに狂気を孕んでいたものかが明らかになるのだ。

住民が皆、”謎み満ちた美しい終身刑”にあるという状況は、ディザスター・パニックものに似てはいるが、ウェイワード・パインズから脱出しては生きてはいけないというのだから、話はもっと複雑だ。そして、住民たちはそれがなぜなのかを一切知ることなしに、それまでの自分自身とは別の人生を演じ続けなくてはならない。なんだか妙だ、本物ではないと思いつつ、その世界を生きているという状況は、マトリックスの世界にも似ているかなとも思った。
映画「マトリックス」では、夢を見続けていた方が幸福なのではないかとも思ったのだが、本当の自分、リアルな自分でいたいと願うことは、人間の本能のようなものなのかもしれない。関係ないけど、スパイとか公安のモグラの人とか大変なんだろうなぁ。同様に、真実を知りたいという気持もまた本能的のようなものなのだろう。
イーサンの妻テレサを通じて語られる心の裡は、ほぼ全ての住民の心の葛藤でもあり、それが物語に深みを与えている。

ラストはこれまた「ここで終わるなんてズルすぎるよ…クラウチさん!」という後を引かせる終わり方。そもそもが滅茶苦茶なのに、「神」は怒り狂ったし、加えて男女関係のドロドロ必至なのだ。
一体全体どう収拾をつけるつもりなのか。本当にクラウチさんはただ者じゃないですわ。
訳者によると、三作目もそう時を置かず届けられそうだというから、楽しみである。



ウェイワード―背反者たち― (ハヤカワ文庫NV)

ブレイク クラウチ (著), 東野 さやか (翻訳)












パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)


ブレイク クラウチ (著), 東野 さやか (翻訳)
早川書房 (2015/3/6)

Kindle版はこちら→パインズ ―美しい地獄―





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category: サイエンス系ジャンルミックス

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 早川書房    ドラマ化 
2015/03/26 Thu. 15:34 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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