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読書日記、ときどき食日記

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億男 / 川村元気 

昨夜ですね、オットが内階段でコケて、どうやら捻挫したらしいのです。
それもこれも、6年もスポーツクラブの幽霊会員をしているため、体重管理がなっとらんからですわ。
仕方なく付き添いで整形外科に行ってきたのだが、月曜のしかも整形外科となれば、そりゃジジババで混み混みさ。まぁ待たされるだろうということで、DLしたのがこの『億男』なのである。なんでもこの間決まった本屋大賞のノミネート作品だとか。(大賞受賞は上橋 菜穂子『鹿の王』

本書は、宝くじで3億当たった男が、どうしよう、どうしようオロオロ、という本で、お金ってつまるところ何なんだ〜ということを描いたエンタメ小説。
ちなみに、2時間待ちの3分診療だったオットの足は、やはり単なる捻挫とのこと。湿布だけもらってそのままカイシャにいきました。

お金に関する本で最近読んだのは『21世紀の貨幣論』だが、あれがフルコースならば、本書はファストフード。Kindleなのでボリュームが掴みにくいが、はやい人でだいたい2〜3時間で読める。個人的には、もし時間があるのなら、やはりフルコースのほうがいいと思うな。

なんでも雑誌BRUTUSに連載されていたらしいのだが、ブルータスってまだあったんだ(←失礼!)
ブルータスなので、マガジンハウスなので、テイストはいかにもそういう感じです。


主人公は一男という男である。
昼間は図書館で司書として働き、夜は夜とてパン工場でパンを丸めている。百貨店に勤める妻と9歳になる娘がいるが、家族とは別居。今はパン工場の寮に独り住まいをしている。
そもそもの別居の原因は、一男の弟が3,000万の借金を残して失踪してしまったからだった。両親には経済的な余裕がなかったため、一男が肩代わりをすることになったのだ。妻も妻の両親も援助するといってくれたが、自分で返そうと心に決めていた。しかし、次第に妻とは口論が絶えなくなり、ついには娘をつれて家を出て行ってしまった。つまり、一男の今の状態の原因は"お金”にあった。
fukuzawayukichi.jpgところが、偶然商店街の福引きで貰った宝くじが当選していたのだ。しかも3億円という大金だ。
「うまくお金を使うことは、それを稼ぐのと同じくらい難しい」というビル・ゲイツの言葉を証明するかのように、ネットには高額当選者の悲劇が溢れていた。
銀行もその3億が一男にもたらすであろう不幸についてさんざん警告する。たくさんの人がお金によって不幸になっているという現実がそこにはあった。
一男はそれにとまどい、かつての親友にして今は億万長者の九十九に連絡をする。15年ぶりのことだった。あることがきっかけで、一男と九十九は疎遠になっていたのだが、一男にとって親友と呼べるのは九十九しかいなかった。九十九は今、億万長者だ。お金と幸せの答えを教えてくれるのは、九十九をおいて他にはいない。
しかし、九十九は一男の3億を持ったまま失踪してしまうのだった…。

えっとですね、私の感想は、一男はオロオロしてないでまず借金返そうよ?ということである。日々利息つくでしょ…。
そもそも弟の負債を兄が負う義務はない。勘違いしている人は多いんだろうけど、例えば兄ば亡くなった場合の相続は、当然のことながら兄の妻子、その妻子がいなければ親、親も鬼籍に入っていれば、ようやく弟に順番がまわってくる。法的には兄弟姉妹ってそういう扱い。
それに、なんの担保も財産もない人間に大金を貸してくれるほど世の中は甘くない。なので、駄目な弟の借金というのもリアリティ乏しくないだろうか。こういう設定は、よくドラマとかでもでてくるけど、そもそも担保でもなければ銀行や消費者金融はそんな大金は貸さない。ビジネスでだって、信用のない個人との取引なら、100万単位だって現金取引を要求されるのじゃないのかな。

主人公を金銭的な窮地に立たせるためなのだろうが、安直設定はちょっとラノベちっく。
一男自身も優柔不断だし、家庭を壊してまでして借金を肩代わりしたりする愚直な性格なのだが、これまた一男の妻も類をみないほどお金に欲のない人なのである。このあたりがどうもやはりリアリティがない夢の世界の人々というかなんというか。現実味がいまひとつ。
妻が、弟の負債を夫が背負うことに了解したのも不思議だし、お金を得た夫から、やり直さないかといわれて断るというのも、なんだか立派すぎる気がした。「問題はお金じゃないから」という人はそうはいないと思うんだけど。DVとかじゃないかぎり。
いっそラノベかゲームストーリーだと思って読んだほうがいいのかも。

ただ、所々差し挟まれる著名人のお金に関する金言はとても興味深かった。トルストイ、ビル・ゲイツ、チャップリン,etc,etc こうした金言や、一万円冊のリアルな大きさや重さなどをちゃんと調べてあるのも感心した。
お金のことを知らずにお金に好かれたいと思うな、という九十九のセリフに、「おおう、その通り」と納得してしまった。

九十九にお金を持ち逃げされた一男は、その行方を追ってかつての九十九の同僚を訪ね歩く。その3人はかつて九十九とともに会社を立ち上げたメンバーであり、その会社の成功と買収で今では九十九同様億万長者なのだ。
彼らのそれぞれのお金に対するスタンスは面白い。お金から自由になったと思っているが、逆に絡めとられている十和子。百瀬は常にアドレナリンを求め、賭けを続けている。お金を持ってるということの恐怖とたたかうためだろう。また、千住はお金というものの実体のなさに取り憑かれている。
彼らに共通しているのは、形こそ違えど、皆、お金を恐れているということだろうか。
「お金と幸せの答え」について最後に一男がたどり着いたのは、あなたの予想通り。常識的ではあるが、使い古されているものだった。ありきたりでさえある。
だが、これよりも良い答えは見つからないのかもしれないなとも思った。

さて、さて、あなたにとってのお金と幸せの答えとは?
私? 私はね、何を隠そう、6億の使い道を常に妄想している人間なので…。

億男

単行本 – 2014/10/15
川村 元気 (著)

Kindle版はこちら→ 億男






******************************************
『ミステリクッキング』は、引き続き募集してますので、是非是非!


※4月27日をもちまして、締め切らせていただきました!



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category: ミステリ/エンタメ(国内)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 本屋大賞     
2015/04/20 Mon. 17:23 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさんこんばんは!

>それ程内容あるものではない感じですなぁ?
『21世紀の貨幣論』に比べれば、やはりボリュームも内容も薄めではあります。
マガジンハウスだし、ブルータスですからね。お察しください。
結論は…なんとなく予測できると思うのですが、たぶんご想像の通りです。


>何かSpenthさん階段に細工しましたな・・で旦那さんを・・
ちょっと、ちょっと(笑)
我が家はいたって円満ですのよ。オホホ
ていうか、6億の生命保険って掛け金いくらなんですか〜!


>最近読んで物語らしい物語に浸れたのは『古書の来歴』くらいです。
おお、今はなつかしき、ランダムハウス
私もこの本大好きでした!!!


最近面白いかも?と今期待して今、読んでいるのは、「クロニクル4部作」の第1弾目「クロニクル トルコの逃避行」です。
う〜ん、超長篇だし複雑なので、4部作全部読まないとなんとも言えないかも。
なんでも5、6、7月と連続で刊行されるらしいです。
でも、naoさん好みじゃないかな?
その次あたり、他に何もなければルヘインかな。

そうそう、5月の終わりだったかな、カズオ・イシグロの新刊長篇『忘れられた巨人』がでるそうですよ。
6月に来日するそうです。この早川のイベント参加できるようならいってきます。

>自分の保有株は光も届かぬ深海を潜航中。
同じく・・・私のほうがあと数年は駄目かも。
もうね、みんかぶから毎日届く今日の終値メールなんて見るのも嫌ですよ。
トホホ

Spenth@ #- | URL | 2015/04/20 Mon. 21:36 * edit *

この本はラジオで紹介されていて(なかなか上手な紹介)おもしろそうにも思ったのですが、
それ程内容あるものではない感じですなぁ?

それはともかくトシ取るとちょっとしたことでケガにつながりますなぁ。
そして今回のお金がらみの本の記事を合わせ読むと、
何か家庭内の不穏な景色が見えてくるような・・。

何かSpenthさん階段に細工しましたな・・で旦那さんを・・
その生命保険の金額(総額)が6億円(!)とか。そして・・
「何を隠そう、6億の使い道を常に妄想している人間なので…」
との告白(オチ)につながる・・ほくそ笑む黒いSpenthさん。
こわいね女性は・・。

・・などと、ヘンな妄想を膨らませるのはやめて、
最近おもしろい新刊ミステリなにかありましたか?
こちら(田舎)には何の情報も伝わってこないのでした。
最近読んで物語らしい物語に浸れたのは『古書の来歴』くらいです。
(「火星の人」はそろそろ順番回ってきそう)。

日経は雲を突き抜け20000超えたとか・・勝手に騰がりやがって。
自分の保有株は光も届かぬ深海を潜航中。
ではまた!

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/04/20 Mon. 20:55 * edit *

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