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読書日記、ときどき食日記

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悪魔の羽根 / ミネット・ウォルターズ 

それにしてもギリシャはつい二日前まで、リスク回避っていうニュースだったのに一転デフォルトとか。何よ、それ…。
昨日は日経平均はMax612円も下げ、昨夜ダウもドーーーーーンと下げた。日経ちゃんは反発したが、中国もやばそうだし、まだヘッジは外せないなぁ。
とか言ってる間にプエルトリコよ、お前もか!!!

ウィンブルドンも始まったけど、ナダルはまだ駄目だろうし…。ゔ〜〜〜〜〜〜ぶるぶる
チャートを眺めていてもできることはないので、気分転換にこれを読んだ。(←現実逃避 = = 明日は美容院でもいこう)
人気女流作家ミネット・ウォルターズの『悪魔の羽根』である。日本では新刊だが、2005年の作品なんだとか。
深刻なPTSDを負った女性ジャーナリストが、ガッシャーンと切り返す物語なのだが、さすがはミネット・ウォルターズで、一筋縄ではいかないのだ。
この主人公みたいに、日経ちゃんもガッツリ切りかえそう!

挑戦的な試みがなされているサスペンススリラーで、好き嫌いは割れるだろうが、私はこれ好きかも。
こういうのを読むと、探偵小説を退屈に感じてしまうな。
そろそろ週末の読書会の課題本も読み直さなければならない。正直、面倒くさいが、すっかりさっぱりキレイにまるっと忘れしまってるからなぁ…。ただし、あれは定番ではないけれども。
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さて、主人公はロイター通信の記者コニー・バーンズである。
ジンバブエの農場育ちだが、幼い頃、ムカベの残党による農地略奪のため、家族で英国に亡命したきた。白人で背が高く、ブロンドにブルーアイの彼女は、今は30代半ばだ。彼女は人生の殆どをアフリカで過ごしてきたといって過言ではなかった。最初は子供として。次には報道機関に携わる人間として。
2002年、シレラレオネにいたとき、彼女は現地の女性5人がレイプされ殺害されたという記事を書いた。犯人は3人の元少年兵ということになったが、コニーは懐疑的に思っていた。
彼女が疑いを抱いたのは、ある英国人の傭兵だった。ジョン・ハーウッド。しかし、以前、キンシャサでも彼女は彼を見たことがあったのだ。その時はキース・マッケンジーという名だった。
その2年後、今度はバクダッドでコニーはマッケンジーと相見えることになる。彼はまた別の名を名乗っていたが、それだけではなかった。調べると、バグダッドの地でも、シレラレオネ同様のレイプ殺人が起きていたのだ。
身の危険を感じたコニーは、休暇をとり英国へ引き上げようとするのだが、その矢先に拉致監禁されてしまう。
3日後、コニーは一見無傷で開放された。
だが、彼女はその間のことを誰にも何も語ろうとせず、引きこもってしまうのだった。
彼女は明らかに何かを隠そうとしており、それが暴かれるのを恐れ、パニック発作を起こすようになってしまうのだった。
しかし、次第に、コニーの脳裏にはポール・ゴーギャンの言葉が浮かぶようになる。それは「生きるとは復讐の夢を見ることだ」というものだった。
深刻なPTSに苦しんでいたコニーだったが、借りている家の前の持ち主と懇意だったというジェスの助けで、イギリス西部の田舎での生活をスタートさせようとしていた。
だが、そんなとき、コニーの両親への無言電話が始まったのだった。
折しも、コニーが上司にかけあってマッケンジーの経歴詐称とレイプ事件の調査を始めたときの出来事だった。
マッケンジーの陰に怯えるコニーだったが…

berton house


これね、特に後半が面白いのだ。さりげないが、毒気もたっぷり!
実際のところ、コニーがどう決着をつけたかについては、いかようにもとれる。

コニーが友人に送ったメールのなかに、ある教訓話があるのだがちょっとそれを紹介してみよう。ある意味、これがコニーの選択肢なのである。
あるお金持ちの男が、あなたに殺人光線銃を見せ、そのボタンを押したら大金をやるという。それを押せば、中国のある老人が死んでしまう。しかし、その老人は家族から疎まれ、はやく死んでもらいたいと思われており、しかも、誰もあなたが彼を殺したということを知るものはいない。
この場合、あなたには三つの選択肢がある。
一つは誰かが死ぬのはデタラメだと信じてボタンを押し、裕福になること。
二つ目は、ボタンを押してお金をもらい罪悪感に苛まれながら生きること。
残る三つ目は、ボタンを押すことを拒否して、貰えるはずのお金をふいにすることだ。

さて、あなたならどうする?その老人がもしも極悪人なら?
そして、コニーはどれを選んだと思うだろうか?
私も最初は迷ったが、コニーについては解説の松浦氏と同じ結論に至った…。

もっとも、コニーの場合はそう単純ではなく、彼女は拉致監禁の被害者で、拉致監禁の後遺症だけではなく自分自身とも闘わなくてはならなかった。丁寧な心理描写は読ませるし、私たちに考えさせる。
虐待の現場では、被害者はきまって自分を過小評価してしまい、虐待する側の知性と力を過大視してしまうのだという。自らが作り上げる記憶の改ざんに、また苦しむことになるのだ。レイプ被害者の女性たちはこういう風に苦しむのかと思い知る。
私も女性なので、ついついコニーに肩入れをして感情的に読んでしまったのだが、実はかなり毒の効いた物語でもあると思う。なにせ、最終章のタイトルは「深淵」なのだから。
コニーは当初、被害者として尋問された時には、何も語らないことに不審感をもたれたのに、二度目には平然としすぎていることで、刑事に疑いを持たれる。この二人は同一人物かと思うほどその態度は違うのだが、この対比もまた面白いと思った。

また、コニーの物語だけで終わらないのが、さすがはウォルターズで、何かとコニーの助けになってくれるジェスにも入り組んだ問題がある。この問題の根っこ自体はヘヴィなものだが、解明のプロセスには少しコージー的な風味もあったり。
あまり書くと楽しみを削いでしまうので、これは読んでのお楽しみ。

しかし、巻頭に、マデリーンという名を使わせてもらった友人への謝辞があるのだが、よくあのキャラに使うことをOKしたな(笑)

悪魔の羽根 (創元推理文庫)


ミネット・ウォルターズ (著), 成川 裕子 (翻訳)
東京創元社 (2015/5/29)



Kindle版はこちら→ 悪魔の羽根







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category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  英国   
2015/06/30 Tue. 17:47 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、こんにちは!

naoさんは風邪ぶり返しか。
私もなんかだか頭痛がします。

PTS!!!!!
そうです。どれだけ私が動揺していたか、お分かりでしょう?!!!(笑)
ヘッジしたはいいけど、1552を処分するタイミングが…
あれは劇薬でした。
それもこれも、全部ギリシャのせいだわ!
本当にいっそユーロ離脱して、アク抜きしたほうがいいと思うんですけどね。
PTSはこっそりなおしておかなくちゃ…。

もうさわればさわるほど、状況を悪くする気がするので、しばらく口座は放置することにしました。
ギリシャだけでも心労なのに、ナダルが弱いんですよ!全く、もう。
サーブもフォアもなってない!

今日、勝てるのかな…。

バーゲンでも行ってこよ・・・(←現実逃避)
naoさんもお大事に〜


Spenth@ #- | URL | 2015/07/02 Thu. 13:38 * edit *

恢復したかにみえた風邪がぶりかえし、
また寝伏しております。
み~んなギリシャ!あいつらのせいです。
(自分の健康管理のマズさ・不注意にほかなりませんが、
 何か別のものにその責任をおしつけると、
 精神衛生上気分がいい・・
 ダメ人間のする思考ですな)

記事にある「深刻なPTSを負った女性ジャーナリスト」のPTSはPTSDのこと?
PTSは即夜間株取引のことに結びつきます(昔一時期取引していましたが)。
そしてギリシャ・ショックで、自分はPTSD的ダメージを負ったかも。
日経は戻っても、監視株はいまだ斃れたままなのでした。

ウォルターズ作品の刊行年と本国とのタイムラグはなんとかなりませんかなぁ。
アーヴィング作品の翻訳の遅延(?)について、
村上がどこかで苦言を呈しているのを読んだことがあったような。
作品の持つ時代性に、出版社はもう少し注意をはらって欲しいぞ。
『悪魔の羽根』は、もちろん読む予定でおります。

そう、『悪意の波紋』エルヴェ・コメール読みました。
ではまた!

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/07/02 Thu. 13:16 * edit *

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